第6話 菊一文字則宗
この物語を書き始めてから日本の歴史を再び学ぶようになったなあ
高校時代は歴史の授業が嫌で仕方なかったが…
人間 時が経てば変わってくるんだね
さて
本編へどうぞ
虎の紋章が入った短刀…手がかりはこれだけだ。
天井裏から物音がした。沖田は瞬時に抜刀し、天井を突いた
天井から肩を突かれた黒忍び装束をきた男が塊のように落ちてきた
「誰に頼まれてここにきた?」
沖田の表情が鬼のようになっている
「話さなければ命はないぞ」
黒忍び装束の男は
「九郎…処理」
それだけ言い残すと隠し持っていた毒薬を飲んで自害した
後鳥羽上皇と宗則はその様子を唖然としてみていた
「見事なり!沖田殿! おぬしの剣術は誰に習ったのじゃ?」
宗則が感嘆の声をあげた
「天然理心流です。私は道場の塾頭をしていました。」
ノボルは今度ばかりは寒気がした
あんなに穏やかな沖田が刀を抜いた瞬間鬼のようになったのだ
「ノボルさん。あなたにもいずれ習得してもらいますよ。我が天然理心流剣術を」
沖田はニコリとノボルに話かけた
宗則は後鳥羽上皇となにやら話あっている
「ノボルさん。どうやらこの時代にはいないようです。再びタイムスリップします。そろそろ行きましょう」
外からはウグイスが美しい音色で精一杯鳴いている
沖田たちが屋敷を出ようとしたとき
後鳥羽上皇が呼びかけた。
「待たれよ。沖田殿。こちらへ来るがよい。そちに渡したいものがある。」
宗則が刀を持ってやってきた
「これは菊一文字則宗。後鳥羽上皇様によく似合う菊の紋章と我が名前 則宗から取った名を付けた刀だ。受け取られよ」
吸い寄せられるような見事な刀だった
「ありがたくいただきます。大事に使わせていただきます。先を急がねばならないので私たちはこれにて失礼いたします。」
宗則と後鳥羽上皇は暖かく見送った
「沖田さん。言わなくていいのか?あの後鳥羽上皇って人、乱が起きて戦にまけるぞ」
「私たちがここにいること自体あってはいけないはずなのです。これ以上、歴史を変えるわけにはいきません。」
乱とは 世にいう承久の乱である。
鎌倉幕府と朝廷の戦だ。
この戦で朝廷側は負け、後鳥羽上皇は流刑になる
しかし二人は伝えることができなかった
今、二人は日本の歴史を歩いている。
人は定められた死を必ず迎える
一刻も早く目的の悪霊を探さねばならない
手がかりはあの黒忍び装束が残した言葉
「九郎…処理」
二人は初めにたどり着いた山の中に着いた
突如、再び時空間が出てきた
「ノボルさん。行きますよ。怖くありませんか?」
「沖田さん」
「なんです?」
「あんたに菊は似合わないな」
ノボルは時空間に飛び込んだ
沖田は菊一文字則宗を見つめた
「私は桜のほうがお似合いですかね」
ニコリと笑って沖田も時空間に飛び込んだ
第6話ご愛読ありがとうございました。次作もよろしくお願いします