第2話 霊界からの任務
お楽しみください
「あなた名前はなんというんです?」
ニコニコしながら沖田は話かけてきた。
「……ノボル。 」
そうつぶやくと
ようやく顔をあげ、ぼんやりと沖田のほうを見つめた。
「ノボルさん。日本が好きですか?」
「…べつに」
「私がこの時代に来た理由をお話します。この時代の日本の歴史。それを根底から変えようとする悪霊が現れました。私はそれをこの時代の人間に伝え、その悪霊の正体をつきとめ、一緒にその悪霊を封印する任務を背負って霊界からやってきました。私は死んだ人間です。今、この時代で生きている人の力が必要なのです。ノボルさん、力を貸していただけませんか?」
突然の話にノボルは黙って耳を傾けていた。
「…(なんで俺が?)」
「信じられないかもしれませんが本当なのです。このまま放っておくと 現世にまで影響がでます。私を信じて力を貸していただけませんか?」
ノボルは口を開こうとしない。
辺りは薄暗くなってきていた。
「とりあえずウチについてこいよ。あんたの姿…見えるのは俺だけか?」
「ノボルさんだけですよ。この時代では私が選んだ人間、あなたにしか姿は見えません。…それじゃ、おじゃましようかな。この時代の日本人はどんな暮らしをしてるか楽しみだな〜」
つい先ほどまでの深刻な顔とは一変、沖田の顔は再びニコニコ陽気な顔になっていた。
「沖田さん」
「ん?なんですか?」
「…廃刀令違反だ」
ノボルは静かに立ち上がり歩き出した。
「ん〜。まいったなあ。」
沖田は嬉しそうにノボルのあとをついていった。
家についたのは夜8時過ぎ。帰ってきて早々にノボルは黙々と夕飯を食べる。
「あはは。ノボルさんおなかすいてたんですね。それにしてもこれが家?現代人はなんて贅沢なんだろう。ん〜ご飯は昔とほとんど変わりないなあ。これは何ですか?」
「…ハンバーグ」
「ふうん。変わった食べ物だな〜。」
母親が不思議な顔でこちらを見ていた。
「あんた大丈夫かい?1人言なんかいっちゃって」
ノボルは食べ終えるとさっそうと二階へ上がっていった。
「ノボルさん。時間がありません。準備をしましょう。時空を超えて過去へいきます。この光の扉…」
ノボルはベッドに寝っ転がっていた。
小さないびきが聞こえてくる。
沖田は微笑んだ
「よろしくお願いしますよ。未来の新選組隊士さん。」
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