第1話 出会い
うるさい目覚まし時計が部屋全体に響き渡った。
うるさい。静かにしろっ…
目覚まし時計を必要以上に叩いた。
青年がムクリと体を起こした。細いまゆ毛に整った顔立ち。世間ではイケメンと言われるだろう
朝は眠気という強力な悪魔が宿る。
高校2年生の網野ノボルは鉛のように重い瞼をこすりながら登校していく。
部活は入ってない。クールな性格が人と交わることを拒む。
長い授業が終わり部活の時間になった。ヒラメのような顔をした担任の先生が近づいてきた。
「ノボル、お前最近たるんでるな〜。男ならシャキッとしろ! 裏山までランニングいってこい」
「…(そのまま帰ろ。)」
しぶしぶと走り始め学校が見えなくなったあたりから歩きだした。
まだ桜がわずかに咲き誇っている。
誰もいない公園のベンチに座った
澄み渡る空に真っ白な雲。
目をつむると体全体が心地よい。
「…(このまま寝るか)」
半分意識が飛び始めたとき、背後に人の気配がした。
「これが…日本?」
とっさに飛び起きた。
「誰だ?」
見るとスラリと高い身長の若い男がたっている。25歳くらいだろうか
服装は
浅黄色に白いダンダラ模様の羽織。
「…?(…どこかでみた気がする。)」
「どうも。私は沖田総司です。」
「俺に何の用だ?」
…
「あれ?…あなたは驚かないんですか?私は新選組一番隊組長の沖田総司です。」
「だから俺に何の用だ?」
「…まいったなあ。信じてもらえてないのかな」
ノボルはベンチに座ったまま下を向いている。自然に目線が青年に向いた。
青年の足元はゆらゆらと揺れていて透き通っている。
「あんた…幽霊か?」
「みたいなものです。あなたにお話があります。」
ノボルはまた下を向いた。