プロローグ
こと人生において、大抵の事は『金』で解決出来るというのはあながち間違いではないと思う。
言うなればその人間が持つステイタスのようなものだと。
逆を言えば持たざる者はそれだけステイタスが低い。
そう、色々な制限が加えられるというか……。
まあ、俺の経歴とか家柄を考慮してそんな事を言おうものなら顔面をグーで殴られること請け合いなので、友人、知人には口が裂けてもこんなことは話したことは今まで無い。
そんな事をふと考えて、俺は眼前に迫るリザードの大群を見据える。
数は千に近い。一匹一匹はさほど驚異性は無いが、これだけの数となると、国の一戸師団を総動員して討伐するレベルのものだ。
一般の冒険者がひとり対峙するこの状況。傍から見れば自殺行為としか見られない。
だけど、俺はあえて今回の討伐を単独で志願した。
それはやれる自身があった事と、やらないと死活問題になってしまう事から来ている。
「ギガエクスプロード・エクサ……!」
口早に呪文を詠唱する。突き出した右手から赤の魔法陣が展開される。
円の中心に向けて魔力が収縮されていき――次の瞬間にはドラゴンの伊吹のごとき業火が放たれ、リザードマンの大群を容赦なく吹き飛ばした。
……俺の『生涯年収』を引き換えに。