3.少女屋
「どうぞ、お茶ですわ」
「ありがとうございます…」
私たちが彼女に用があると伝えると「立ち話もあれですし、私の家で茶と菓子を食べながらお話ししましょ」と楽しそうに私たちを彼女の家に入れた。
「なんで俺まで……つか、婆様!?なんであんなところにいたんですか!??今掃除中って聞きましたけど!!」
「え、えーーっと…」
「ほーら、ダメですよ」
眉間にシワを寄せながらナリュシュキは私を問い詰めようとしていた。が、それを通り魔の女性が割り入った。
「なんだよ、てめぇは!!」
「てめぇではありません、私はハナル=ドルットです。先程から聞いていれば、貴女は女性でありながら、なんて口の聞き方…更には「私」ではなく「俺」と…………あぁ、私は悲しいわ…そんなにシワを寄せて、野蛮な男の真似事なんて宜しくないわ」
「ん、だとぉ!!?」
「もう、そこは、「はい」でしょ?良いですか、淑女たるもの、言い訳はせず…………」
「あの…ハナルさん?」
「はい、なんでしょうか?校長の魔力を持った貴女?」
ナリュシュキの発言行動に女性らしさが無いと怒ったり泣いたりしているハナルさんにこのままでは要件を伝えることなく、日がか暮れそうだったので声をかけた。すると彼女は満面の笑みを浮かべながら、此方を向いた。
そのあとの会話は校長に任せた。私はそれをじっと聞いていただけだ。
彼は今、私と言う名の邪神の一部として生きていることを彼女に包み隠さずは話した。彼女は驚いたが、直ぐにニコリと微笑みながら、二人は話し合いをした。
そして、二人の話し合いを聞いていると以下のことがわかった。
ハナル=ドルットさん。28歳の彼女は産まれ付き生き物の魔力の流れが見えていた。
そんな彼女は気が付けば魔力の虜になり、魔力の美しさで人の好き嫌いをきめているらしい。
彼女は魔力の次に好きなものは女性。嫌いなのは男性らしい。
校長は魔力がよかったため、嫌いでは無かったらしい。
何故、彼女が切り裂き魔をしていたかと言うとそれは魔力のせいだった。
魔力は血の中にあり、
どうやら、血と共に流れる魔力の儚く空気中に散る魔力のその姿に心を打たれ、もう一度見たい、もう一度見たいとそれはそれは中毒患者のように欲し、気が付けば切り裂き魔と化していた。
なんと迷惑なはなしだろうか。
彼女は実は仕事をしていた。
それは、少女屋と言って、人形、ドレス、お菓子、アクセサリー等々、女の子が好きなものだけを販売する店だった。勿論、全て彼女の手作りらしい。
校長は、彼女の仕事の腕を見込んで、依頼をしに来た。
それは、動く人形を造ること。
ただ、動くのでなく、彼がその人形の中に入り、彼の力を思う存分発揮することのできる、彼の器を作れということだった。




