2.言いにくいあの子と会った
彼女の中に入って数日が立った。
少しつい最近までは、荒れていた彼女の中は穏やかに過ごしやすい環境へと変わった。
だから、こそ今彼女の過去が見ることができる。
誰も知らない彼女の過去。子どもは数年前しか知らない、足が何故無いのか、それ以上は誰も知らない。
突然現れた四神の彼女。
柄にもなく悪役を演じるも、上手く出来ず私に頼む彼女。あの忌々しい女に騙された哀れな彼女。
まぁ、結局はあの女はただ、前の四神に憧れていただけなのかもしれない、いつかは越えたいと願ったのかもしれない。
そういえば、彼女の記憶の中のあの眼鏡の男、記憶を2つ書き換えられていたが、一つは彼女の瞳が鍵となり、この前は私が代わりをしていたからか、上手く解除されなかったようだ。彼女の体でも彼女自身の瞳ではないと駄目だと言うことだ。
しかし、もう一つの鍵は一体なんなのか、それはこの世から消え去ったあの女にしかわからないのが心残りだ。
「いいか、ここからは裸足で歩け」と、屋敷からこっそり抜け出し、フードを深く被りながら、町の中を車椅子で移動していると校長が細い人気の無い裏路地に向かって私に話しかけてきました。
細いから、車椅子ではいけないならわわかりますが、何故裸足なのでしょうか??まぁ、言われるまま裏路地に入り、人の目が無いことを確認して、車椅子と靴を影の中に収納して、裸足で歩いていきました。
すると、歩いた跡、踏んだ地面から緑の草が生えてきたのです。更には少し立つと草の中から花が1輪咲いたではありませんか、これはこれはで私は瞳をギョッとさせました。
「それは俺の心の中に種を植える力の副作用だ、裸足で地面を歩くとそうなる」
「スゴいですね」
「それを帰る道しるべにして、行くぞ」
「成る程、迷子対策ですね」
「そうだな…しかし、変わった花が咲いてるな、なんだ?見たこと無いものばかりだ」
「え?…………あ」
後ろを振り向き、踏みしめた跡を見るとそこには「秋桜」、「朝顔」、「クローバー」、「鈴蘭」と私には顔馴染みの花たちが咲いていたのです。更には…
「……… カランコエ…」
小さな赤いカランコエが咲き乱れていました。何故でしょう、一瞬ですが、あの子の顔が頭の中で過った気がします…………気のせいでしょうか?
「変な名前だな」
「…………そですね」
「ほら、先に進むぞ」
「はい…」
風に吹かれ小さく揺れているは花を横目に私は奥へ奥へと進んでいった。
奥へ奥へと不安になりながらも進んで行くと突如目の前にフリル満載のピンクと白の女の子らしいドレスをきた二十代くらいの長い青色の髪を持ったまるで淑女のような女性が「あら!!その魔力は色男の校長ですわね??」と上から現れたのだ。
今の光景が無ければ「きれいなひとだなー」と私は思っていただろう…が、今の光景は異常過ぎて何も思えなかった私が今ここにいる。
女の子らしく可愛らしいドレスは血塗れ、淑女のような品位のある、しとやかなお顔には似合わない血が頬にべとりと付着、手には最も似合わない血塗れのナイフ。
「え…なにこれ」
「これが切り裂き魔だ」
ケロンッとした何もない何が起こった?と平然なこ声で爆弾を私の頭の上に落とす校長。
「ん?でもちがいますねぇーちょっと、校長とは違った魔力がありますねぇぇーなんでしょー?んんーあ!もしかして、校長ご妊娠ですか?!それは、おめでとうございますですわ!!」
「いやちげーからな!!!」
あっと、彼女の言葉に反射神経のように気が付くと校長が私の体を乗っ取り反論をしていました。
「でもぉ、今私はーお楽しみの最中に邪魔をされたのでぇー少しむかぁーなんですわ、あっむかぁですけど、私の愛しの方は女性だから、大丈夫ですわ。怒ってない怒ってなーい。寧ろ心が弾みますみたいなー?そんな感じですわー女の子の魔力とっても可愛らしいから好き、血が流れた時のあの、魔力が一瞬で消えるあの光景がとても綺麗なのですわ!」
あ…駄目な人でした。何言ってるかよくわからないけど駄目な人ですね、これは…流石校長のお友達です。
「おい!いつまで喋ってんだ!!このアマ!?」
「ですがぁ彼女は、言葉使いがとてもお下品、見た目も全然ダメダメですわ。最も体を大事にしなきゃいけないわ、良い顔立ちなのに勿体ないですわ」
切り裂き魔さんともう一人誰かが交戦しているようですが、すこし背の高い切り裂き魔さんのせいでよく見えませんが、なんだろ、この声聞き覚えがあります。
「るっせえな!!さっさとお縄につけって言ってんだよ!!」
「さぁ校長、私と楽しく美のお話を…………あれ?校長って、こんなにも小さく、可愛らしいお顔でした??」
「いやあの」
「聞けよ!」
切り裂き魔さんが私の前から横へ移動し、私をジロジロと観察し始めた。そのお陰で交戦しているもう一人の顔を見ることができた。
「あ」
少し薄暗い裏路地のせいか、彼女の髪色は黒っぽく見えてしまう、記憶とは違うが彼女はどうやら髪を伸ばして女の子のような姿だが、目は何故か人を睨み続けていたのか、鋭く尖った瞳へと変わっていた。
姿はとても変わった。あの頃の彼女とは真逆だから
でも、私にはわかった。
「ナリュシュキ?」
とても言いにくい名前のあの子だから




