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41.金色



外に出ると青空だった。



アレを持っているからか右手が痛い。

腹部に刺さっていた物を左手で抜き取ると左手がじわじわと焼けていく痛みがする勿論、腹部も痛かった。でも、今の私はそれを気にしている余裕は無かった。

「……」

地面は豪華なカーペットでは無く赤く染まった草むらの上には何かの赤い何かがぽとりと転がっていた。

それは子どもたちの体だった…影で造られた体は特殊で例え頭を貫かれても、心臓を刺されても、バラバラにされても子どもたちは生きる。影の体はすぐに再生もするようにしている。


そう、生きる……精神というなの魂が有る限り。



「あら、出れたのね?ざんねぇんだわ…まさかユニヴェートを吸収してあいつの神器を使って出てくるなんて本当にざんねぇん…」

顔を見なくても判るほどその声は低く落ち込んだ声だった。顔を見ようとも返事を返さず私はあるものを捜す為、周囲を見渡すがその捜し物は見つからない。

「捜し物はこれかしら?」

「!」

声の女は私の目の前であるものをヒラヒラと見せ付けた、それは私が捜していたもので私はすぐに女に目線を移した。

その声は聞き覚えがあった、誰かは覚えていない

しかしその女の顔を見た瞬間記憶の底に眠っていた記憶が沸き上がってきた。


金色の髪に金色の瞳、神々しい雰囲気を漂わせている女性。

それは

この世界に来て一番最初に出会ったあの人

私を邪神にした人。



「自称…神様のひ…と……」

「んー、自称じゃないっていってるよね?ほら、さっさと殺り合いましょうよ」




「なんで……ここに……あっ」

自称神様の女性は呆れた顔で呟くが私には彼女が手に持つソレに目がいっていた。

「それ…返し……」

私が手をソレに向けて伸ばそうとした時だった。

「どーせ、貴女は殺りたくないって言うわよね。だからぁ……あむっ」

女性は愛らしい声を発しながらソレを口に入れ、口をぐちゃぐちゃと音を立てながら飲んだ



「うーん、微妙な味だわ……」

そう唾を吐き捨てながら、女性は口元を歪ませ私を上から見下した。


私はその光景に目をただ見開いていた。

呆然としている私を見た女性は嬉しそうに頬を赤らめるが口元は歪んだままだ。

「ねぇ、これで殺る気になるでしょ?」


「ところでさ、目の前で子どもが食べられる気持ちってどうなの?」





その言葉を聞いた瞬間、影が女性の頭を飛ばした。私は別にそうしろと言っていない、ただ影が何を思ったかはわからないが女性の頭を飛ばした。

血飛沫を私に浴びせながらグラリと地面に倒れそうになった時、突然私の体に金色の鎌が肩に刺さり私は地面に倒れた。

「い″っ!?」

倒れるかと思われた女性だったが、彼女の腕には私に刺さっている鎌が握られていた。地面に着かないように私に鎌を引っかけ、踏み留まっていた。

「貴女なんかに膝を着きたくないのよ…」

気が付けば女性の頭は再生しており、苦虫を噛み潰したような表情で女性は鎌に力を込める、力を込められた鎌は私の肩を抉っていく。

「あ″っあ″あ″あぁ!!!?」

肩から激痛と高熱が生まれ、それが私の体中に伝わっていく、骨がバキバキと折れる音も体から聴こえてくる。

「昔っからあんたのこと大っ嫌いだったのよねーいっつもいっつも!!私を見下してさ!何よ!なんでこんなちんけな生き物なんかを助けるのよ、あんなのはただの私の食料なのに!!虫酸が走るのよね、本当にあんたには!!」

女性が鎌に力を込めた瞬間、私の右腕がぼとりと転げ落ち鎌は地面に刺さる。

「がはっ…!?」

何を思ったか、女性は不満そうな顔をすると今度は私の治りかけていた腹部に蹴りを入れた。

「あんたを殺すタイミングを…伺ってたのに…なのにあんたが死んでさぁ!私が殺したかったのに…勝手に死んで!ふざけやがって!!」

女性が言っているあんたとは、きっとフェルルさんのことだろう……。私はただ彼女の攻撃を受けることしかできなかった。


…大丈夫、あの頃から蹴られるのは慣れてるから、大丈夫。



「でも、あんたがたまたま来てくれたお陰で殺れるからありがとねぇ、あの時は色々と頑張って準備して私を良い人ポジションにしようと頑張ったんだからねぇ!」

なぜ、そんなことをやったのだろう?

「なん……で、そ…んな……こ、と…を?」

不思議に思い、私は聞いた。

「はぁ?そんなの決まってんじゃん!!」

地面に刺さっていた鎌を引き抜き、私に刃を向ける。

「あんたを絶望させてやるためだよ!!そうだ、ついでに教えてやるよここはどっかの島の中、助けは来ないわ。そして、私の能力でお前とユニヴェートを会わせ殺し会うに差し向けたのも私だ!」

何故、邪神の皆さんは優しそうな見た目をしているのにこんなにも怖いのでしょうか、怖い、怖いはずなのに全く怖くありません。

多分、今の私は恐怖より違うものが身体中から込み上げているのでしょう。



この込み上げてくる感情……先ほどと同じもの…いや、それよりも強い感情だ。


金色の鎌、彼女の神器が私の首を跳ねようとした。

このまま彼女が何も言わなければ私は首を跳ねられたかもしれない、でも彼女は言ってしまった。


「助けを呼んでも無駄無駄、だってここは誰もいない島だからね!さっさと子どもたちのところへ行ってこいよ、あっ子どもたちは私のお腹の中だったねあはははっ!!」



「……。」



私の影が彼女の神器を飛ばした。

少し離れたところに金属が地面に刺さる音と共にベチャリと何かが潰れ落ちる音がした。

私の影は彼女の腕ごと飛ばしたのだ。


「え?」

女性の間抜けな声が聞こえた。



私は子どもたちの本当のお母さんになりたいという気持ちがあった。


子どもたちと仲良く平和に暮らしていきたい大切な私の子どもたち、そう思っていた、でも……




そんなことを考えなければ、思わなければ辛い思いをしなかった。


女性は何かを言っている、神器を飛ばされて怒っているのだろう。私の腕はまだ治りかけだが一応飛ばしたのだからお互い様ですよ。




子どもたちから頂いた服は血で赤く濁り、破れているところもあれば焦げているところもある。

これは、もう服とは言えないただの布切れ……。


影から私が望んだからだろうか、私の神器が現れた。代わりに影は右腕と共に地面に落ちたユニヴェートの神器を包み消した。


『やめとけ、これをやれば…お前は……』

「うるさい」

目の前で騒いでいる女性の声ではない、男性の声が私の中から聞こえる。


そんなことはどうでもいい。





「アナタだけは……絶対に…許さない!!」




赤い赤い私は目の前にいる女性にそう叫ぶと私の心臓に私の神器を刺した。




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