39.絶望へのカウントダウン
女は身体中が穴だらけになり一面影で覆われた床に倒れ落ちた男に女の影から細い紐のような形の影が現れると、男の腕、足に巻き付く
そして、女は静かに男を冷たい瞳で見下した
ジュゥ…ジュゥ…
男の体から肉体が再生する小さな音は静かになったこの空間に微かに響いていたがパキリと何かが割れる音と共に子どもだった男女たちの女を呼ぶ声が彼女の耳に入る
<かぁさぁぁぁぁん!!>
<かあさん!!>
<おかあさーーん!>
「ん?」
呑気な声とともに女の瞳はきょとんと丸くした暖かな瞳になっていた
あれ?私何してたっけ……んー確か校長先生を倒したんだっけ??だから、皆出てこれたんだなぁ
「みんな無事?」
<うん!>
<無事だけど、母さんの方が全然無事には……>
<お母さんボロボロだね>
<俺が渡したイカした布ボロボロじゃねーか>
今私が着ている服をチラリと見てみると確かにボロボロだ、穴だらけで血で汚れていた
「あららっ皆ごめんね…」
せっかく頂いたのに……こんなにボロボロにしてしまった…
そう思うと頬が熱くなり、目から何かが溢れそうになる
<大丈夫大丈夫!また縫えばいいし>
<そうそう、汚れなんてすぐに落ちるって>
<うん!だから大丈夫だよ、ママ>
子どもたちは私の元に駆け寄り、私に慰めの言葉をかけてくれた
五年も立ったお陰で私より小さかった子たちは皆私より高くなっていた。
立場……逆転されちゃったなぁ
ん……あれ、この前のカルルラスさんの時は破けても再生していたのに…なんで再生しないのだろ?
「く……そ…」
足元に倒れている校長先生が荒い呼吸をしながら私に向けて殺意を向けて言った
近くに落ちていた彼の神器を手に取るとその手は焼けるように痛い激痛が走るがなんとか耐えながら彼に神器をいつでも心臓に刺さるように向ける
「なんでだよ……、お前ら…とつ……ぜん」
「ごめんなさい…死んで」
「うちの…きょう、しをころ…して、と……つぜんやってきて…」
……え?
うちの教師を殺して……突然…やって…きて?
突然??
彼の神器を影からいつもの大蛇を一匹呼び出し、神器を食べさせ、イヤイヤ言っていたけど保管してもらった
「突然って、あなたがここに突然私たちを連れて来てハマーラ先生を殺したんじゃ…」
「はぁ?……おれは…なにも、して…ないぞ、ここに…いた……らおまえらが……突然…」
校長先生は何か呆れたような声で問いを返す
<え?やっぱり母さんがやったの?>
<やっぱり?>
「ちがうってば!!」
「おまえ…じゃないの……か?」
<そうだよ、母さんだよきっとー>
「だーかーーらー!!!」
そう言い争っている時だった
「お母さん!!」
カーリーちゃんが目を丸くし、震える声で私を呼んだ
「どうしたの?」
「タゥロ君が起きた!」
「!」
よかった!!
少し離れたところにカーリーとタゥロ君はいるため彼が起きたかどうかはここからでは確認できないので近くに寄らなければいけない、しかし今私は校長先生を影で拘束しているため動くことができない
少しでも離れてしまえば、彼は何らかの手段で拘束を解いてしまうかもしれないからだ
「みんな、ちょっとタゥロ君の様子見てきて?」
私の側にいるカーリーちゃん以外の子どもたちにそうお願いすると、<任せて><わかった>と笑顔で笑いなからカーリーちゃんのところへ向かってくれた
残された私と校長先生は静かに先程の話の続きを始めた
「……じゃあ、校長先生と私じゃなかったら一体誰が…?」
一体ハマーラ先生は一体誰に殺されたのだろうか…
さらに、私たちはどうして校長先生のところに来ているのか
もしかしたら、これは校長先生の嘘かもしれない可能性が……
「知らねーよ…それ……よりも、この紐を……はずせ、よ」
彼は突如起き上がると、私の胸ぐらを掴みかかる
「ひっ!?い、嫌!外したら怖いですもん!」
「はぁ?いいからはず…!!」
グチャァ……
「え?」
「あ?」
何かが潰れる音がした
そちらを見ると子どもたちがいた
子どもの真ん中に二つに割れた赤い人がいた
赤い人は頭が真っ赤になっていた、顔が見えないくらい
赤い人の隣にはその赤い人の手を握るタゥロ君がいた
赤い人の可愛らしい服装は見たことがある、赤くなっているがあの髪色も見たことがある
「カーリーちゃ……」
「グァ!?」
彼女の名前を呼ぼうとしたときだった
腹部に激痛が走る…校長先生の神器より遥かに痛い
校長先生の悲痛な声が聞こえた、彼も腹部に私と同じものが刺さっていた
私の腹部に刺さったものはそのまま胸ぐらを掴みかかっていた校長先生の腹部まで貫通していた
そして、突然周りの景色が私が作った先程の一面影で被った時とは別の何もない黒い景色が現れる
「あ……」
暗くて、少し手を伸ばすとゴツンと壁のようなものに当たる
ここは……暗くて狭い
ゴッポリと口から生暖かい血がボタボタと流れるのが肌へと伝わってくる
そして…
<いやぁぁぁぁぁ!!!>
<たすけて!!ママ!いやぁ!>
<うわあああああ!?>
<嫌だ!死にたくない!助けて母さん!!>
「あ″…あ……あああぁ…!!!?」
暗く、狭いなか…
子どもたちの悲痛の叫びが嫌と言うほど身体中に伝わってくるのだった




