37.低い声
「このっ…!」
矢先に影の盾を直ぐ様張ることでなんとか攻撃を回避することは出来たが先ほどの影も砂のように消えていった
……校長がまさか…一神だったなんて、うぅ短い間だけどお世話になったこともあるから殺りにくいし、確か、ほかの神様を消滅させるには食べるか殺すかなんだよね…ほかにないのかな?殺さないで済む方法は?
グルグルと頭を回転させ、最善策の方法を考えながら足元の影から神器を取り出そうとした時だった
「おっと、ソレは駄目ですよ!」
校長のその声と同時に私の足元がグラッと揺れ、そしてホコリ一つない絨毯がひかれた床に中の木や土が見えるほどの地割れが私の足場を襲った
「ひやっ!?」
「お気に入りの絨毯でしたが…しょうがないです
貴女に神器を使われると面倒ですからね」
直ぐに近くにあった本棚の上に避難した私は隅っこで虚ろな瞳で校長を見つめている青年たちの姿を発見する
彼らにも親や恋人がいるはず…こんなところにいたら絶対に悲しむ人たちがいるはずなのに……!!
「校長先生!私は本当は貴方と戦いたくありませんだから、やめましょうよ!そして彼らを解放してください!!」
「いやだ」
私の訴えは意図も容易く拒否された
「なんで…」
目を大きく見開き、口をパクパクする私を見て彼はクスクスと笑いながら私に向けて弓矢を引く
「だって、彼らは私のもの…私のものなのになんで解放するのですか?それに私には貴女と戦う意味がありますし……」
「意味…?」
私の問いに気が触れたのか校長は笑いを止め、目付きを鋭くし、眉間にシワを寄せながら叫んだ
「よくも私からコシュリュコアを奪いやがって…やっと見つけた最高の子だったのに、よくも…よくも……奪いやがって!!!しかも今度はタゥロまでも絶対に許さない!!」
そして、彼が弓矢を引き放すと無数の光の矢が私に襲いかかる
本棚を盾にしようと床に着地するがまたしても着地時点が突然真っ二つに裂け、地割れが起きるそして本棚は地割れにより激しい音を立てながら崩壊していくと目の前、そして真上から無数の矢が私に向かってきていた
「くっ……!!」
氷の壁を左右上下を護るため床から作りなんとか護るが、足元がかなり不安定のせいで壁にヒビが入る
そのヒビに矢が打ち付けられていく、それは釘をどんどん木に打ち込んでいくように…
そして…
「ひゃぁぁぁぁ!!?」
壁を貫通し、彼の矢が私の体に通過する
ドスドス、そんな音を立てながら私の全身に矢が突き刺さった
光の矢は私の体を焼き殺すかのような痛みを通過したあともじわじわと与える
あまりの痛さに声も出すことができず、ただパッタリと床に崩れ落ちた
「あぅ…」
後ろから子どもたちの叫び声が聞こえる
……ごめん、皆…これはやばいかもしれない
意識が朦朧とする中、校長のこんな声を聞く
「うるせぇガキだな…お前らみたいな小汚いのはいらねぇんだよ、生まれてこなくていいのに折角ですから、邪神と一緒に串刺しにして殺してやあげましょうかね…」
身体中が激痛に襲われながらも子どもに危険が近づいていることに気づいた私は己の身体にムチを打つように貫かれた体から血をダラダラと流しながら私は子どもの方を向く
「…………ん?あ″あ″!!なんだこの女、汚い手で俺のタゥロになに触ってんだよ!!!」
そこには意識のないタゥロ君を守ろうと彼の体をぎゅっと抱きしめ、校長をじっと睨み付けているカーリーの姿とそのカーリーに向けて矢を向ける校長
小汚い……
生まれてこなくていい……
汚い手
殺す??
私の大切な子どもたちが汚い?殺す?
「あ″?」
私の声からこんなに低い声が出たのは生まれてはじめてのことでした




