29.めんどくさいこと
お昼休み
廊下を歩いていると三人組生徒が押し掛けてきた
話を聞いてみるとあの方の教え子だとわかり仕方がなく個別授業を行った後のことだった
「…ゼェゼェ…そういや、先生知ってますか?」
「ん?」
荒い息を吐きながら地面にベッタリとはり付いている三人組の中のタゥロという剣を杖代わりに扱いなんとか立っている生徒が俺に話しかける
「毎年、ここを卒業する男子生徒数名が行方不明になるって噂」
「あ…おれもその噂きいたきいた」
「奇妙ですよね…その行方不明になった生徒の捜索願いなんて全く出てないからデマじゃないかって話もあるし」
「へー」
…行方不明かぁ暇なときに調べてみようかな
「僕らあと五年で卒業だけど、ちゃんと卒業できるかな…?」
「大丈夫だってーの、コシュ先生のお陰で武術と魔術は中の上なんだからさ!」
「そうそう!自信持てよニース!
先生の魔法攻撃に堂々と立ち向かったお前は勇敢だきっと将来スゲー人になれるぜ!!」
弱音を吐いていたニースの肩を力一杯叩きながらまるで強者を倒したかのような満面の笑みを浮かべるウォルター
友の将来の勇敢な姿を想像するタゥロ
「…なぁ」
俺はなんとなく自分からめんどくさいことを言ってみた
「お前らの将来の夢はなんだ?」
「夢?」
「将来…」
俺の質問の答えに戸惑うニースとウォルター
所詮は何も考えずにただ親に進められここに入学した坊っちゃん達か…
俺が三人組に失望していると
「俺は美人な令嬢と結婚することだ!」
高らかに彼はそう答えた
その答えは俺が想像していた答えとは全く検討違いのものだった
しかし彼の答えはまだまだ続いた
「そして国王の側近騎士として国王を守って、勲章貰って父上と母親に見てもらい誉めて貰って…あと魔物を沢山倒して色んな人に俺の武勇伝を聞かしてやるんだ!!」
どうだ凄いだろ!!…彼は高笑いをしながらその答えを俺に聞かせていると戸惑っていたウォルターとニースもタゥロに負けないくらいの大きな声で俺に答えを出す
「俺は最強の傭兵になってバンバン活躍して俺の活躍を絶対に歴史書に入れてやる!!」
「僕は未知の魔術を発見して色んな魔術の勉強をしたり作ったりしたい!!」
彼らは馬鹿みたいに大声で答えが出し、答えが終わると辺りは シン…と中央広場が静かになるが小さく女子生徒たちの小馬鹿にした笑い声が彼らの顔を赤く染める
「バカらしい…アホくさ」
俺はハッと鼻で笑う
あまりにもバカバカしい…夢を見すぎている
こいつらはまだまだ子どもだ絶対に大人になってこの世の酷さを目の当たりにして後悔するやつだ…
もっと周りを見ろよこの坊っちゃんらは…
でも…
「…そんなお前らの夢、俺は嫌いじゃないぞ」
ポカンと口をあんぐりと開けた三人組の頭をグシャグシャに通り撫でをし、そのまま彼らに背中を見せながら歩く
「今日で俺の授業は終わり…ちゃんと将来の夢に向かって頑張れよ……」
これであの方が一年間かけて教えたことを全く活用してなかったら……ぶっ飛ばす
流石に一日で四人相手と犯人探しはめんどくさいからなぁ…
ここで三人の授業を無くせたことは良いことだ
…五年……頑張るかぁ…
たった一年だけだったけど、あいつらの腕中々良かった…あれで卒業は確実だろうな
ローブのポケットの中から羅針盤を取りだし犯人探しを始めようと目の前の扉にてをかけた時だった
「コシュリュコア先生!少ない期間でしたがありがとうございました!!」
彼らの息の合った声が俺の耳に入り脳に響く
気が付くと俺の口元が笑っていた
邪神様、出来れば貴女様が聞いていて欲しかった
そして案外めんどくさいことも良いかもしれません




