19.おねむ青年の目覚め
俺の父は元貴族だった
父は周りの市民たちにとても親切で優しかったし
身分の低い人にもどんな人にも優しかった
そして、誰よりも強かった
ガラッ
「あ?」
俺は席から立つと隣にいた少年の寝首を掴み、そのまま少年を肩に担ぎながら窓を開ける
「なにするだ!?きさま!」
耳元が騒がしいが放置しよう
窓を開けた俺は真下に誰もいないことを確認して窓から飛び降りた
飛び降りるというほどの距離ではないので足は痺れなかった
「きさま!一体なにをしているかわかっているのか!!」
先ほどから耳がキンキンしているのでその原因を近くにあった広場に投げ捨てる
「っ!……なにを」
「弱い、ちょー弱いね君」
三つ編みに編まれた髪をほどきながら地面に尻を着いている少年に言うと少年はみるみるうちに眉間にシワを寄せながら顔を赤く染めていく
「き……きさまぁぁ!!!」
少年は腰にかけていた刃のある剣を抜き取るとそのまま俺に向かって切りにかかる
「あんな安い挑発に乗るとか…ほんとーに弱い」
たまたま近くにあった掃除用の箒を片手に取り少年の攻撃を箒で受け流す
「それに、刃のある剣を人に向けると言うことは殺し合いをするってことだよ?」
「うるせぇ!!」
少年はどんどん俺を追い詰めようと必死に攻撃をする、かなり腕は良いがまだまだだ
「ほら、そこ」
少年の攻撃を交わしながら彼のほんの少しの隙に箒を叩き込む
「ぐっ!!?」
「ほらほら痛がってる暇があったら避けることに集中集中」
叩き込まれた痛みによって出来た隙に次々と箒を叩き込む俺
「君、本当に弱いね?親に頼りすぎだよ」
最後にボロボロで立っているのもやっとの少年にデコピンを食らわせてやると彼は倒れた
「く…くそ!俺は強いんだよ!!」
「君ね、家が身分良いからって調子乗り過ぎだし
世界観が狭いよねこの学園には自分より強い生徒はもっといるってことわからないの??ばーか」
こんなのが、あのお方を終わらせる人か……
確かに子どもだけども…ちょっと弱すぎだよこれ
「うるさい!!お前なんて父様に言いつーー」
「自分が倒せないからって親の力を使うのか?別に良いがこれからの人生全てがそう上手くいくと思うなよ??」
地面に倒れた少年をゆっくりと起こし、懐から小さな救急箱を取り出し中にある薬を少年の痛む部分に塗る
「なにを」
「これでも保健の先生だから、手当てくらいさせてよ…あ、回復魔法は使わないからなアレめんどくさいから」
「……とさてと、君にお話がある」
手当てを終わらせ、救急箱を片付けながらボロボロの少年に話し掛ける
この少年は嫌いだ
父とは真逆の人間だから嫌いだ
きっと少年のウザさに俺はあのお方の意識を撥ね飛ばし、俺は意識を取り戻した
そのくらい俺は少年に怒りを感じていたらしい
今すぐに首を跳ねてやりたい……
でも、今俺の命の恩人はこの少年を必要としている
「なんだよ……」
可愛いくない子どもだなぁお礼一つも無いのかよ
…激薬塗ってやればよかったし
「君は強くなりたそうだから、俺が君を鍛えてあげよう」
怒りの感情を隠しながら微笑む俺
「本当か!?」
少年は目が飛び出るかというくらいまで目を見開き少し頬が緩んでいたが
「あぁ」
「よし、ぜってーお前を倒してやるんだならな!」
勘違いするな君のためではない
あのお方のためだからな
「……う」
「どうしたんだ?」
突然、体が重くなっていき目が開けられないほどに重くなり目の前が少しずつぼやけていく
…こ、これは…
「…眠いから、寝る…あんた負けたから俺を保健室送って」
「は?」
あ、もうだめだ
でも少しはあのお方の役に立てたかな?
……おやすみなさい




