16.初めての杖
あれから一年が経過しました
そんな一年の間に変わったことといえば
キロ君やジャファー君の背がかなり伸びたこと、保健室に出入りする生徒が男女ともに多くなったことしかない
あとコシュリュコアの体を乗っ取っているからか
無意識にどんな人にも適当な返事や人の名前や言われたことをすぐに忘れてしまう、さらにはどんな場所でも居眠りをしてしまうようになってしまった
そして、変わらないことといえばコシュリュコアを目覚めさせる手がかりが全く無いということ
しかし、ちゃんと毎日朝昼晩ご飯を食べているお陰で肉がつき、健康体になることができました
あっご飯は全て子どもたちが作っています
私がご飯を作ろうとすると「母さんに無理をさせたくない」「ご飯は私たちが作るから」からと言われた時は涙が出そうでした
…良い子だわー
「ねむぃ…」
今日は私以外の皆は街の中で一番大きいと言われる広場に行っています
それは今朝ナシキとキシナが突然その広場で行われる大きな大会に出たいと言い出したのです
その日は仕事があったため、残念ながら私だけは行くことが出来ませんでした
その大会は一体、何の大会かは知りませんが…
双子の二人が出れる大会なのでしょうかね?
手品ショーみたいなものかな??
こう…二つの箱を使って、誰かが棒を振ると別の箱に瞬間移動するアレみたいなの…
「あ」
一年かけてやっと覚えた学校までの道のりをのんびりと歩いていると朝早くから出店が出ていました
「すみませーん」
登校時間まで時間が少しあったので、興味本意で中を覗いてみることにした
「いらっしゃい、ね…にぃちゃん!」
店の中には、中年の少し髭を生やした男性が品出しをしていた
「ここは何のお店ですか?」
「おう!ここは魔法道具屋だよ、にぃちゃんもどうだい?安くするよ」
「ほんとですかー?ありがとうございます!」
魔法道具屋!!?素晴らしい!素敵!
どんなものがあるのかな!?
目を輝かせながら、拝見させていると…
…ん?!これは魔法の杖!おぉ!!漫画でおじいさんが使っていそうな大きな杖だ!欲しい!欲しい!
「この杖!いくらです!!」
手持ちの硬貨は金の硬貨が一枚に銀の硬貨が三枚
価値はわかりませんが、金ですからかなり持っていると思います!
「お目が高い、そいつはそこらでは取れない硬度の高い魔法石をふんだんに使って作った最高級品だ!本当なら白金一枚だが、最初のお客様だ!金貨は五枚でどうだ!!」
ほー、魔法石がこの杖の中に入っているのかー
だからこんなにキラキラと輝いて……
……え?白金??なにそれ…
しかも、金貨五枚…確か私の手元には金が一枚と銀が三枚
あっ価値がわからなくてもわかります
全然足らないよー……うぅっ
ちらっと他の商品を覗くと先ほどの杖にはかなり劣るがとても大きな木製の杖が私の心を撃ち抜いた
「やっぱり、あっちのください!」
「え?あれか?確かに良い質の木材で作られた杖だがあの中の魔法石は全て魔力切れで使い物にならないが……にぃちゃんがそれでいいなら、銀貨五枚でどうだ?ついでにその杖と同じ木材で作られた子杖を一つおまけするよ」
「買う!!」
やったー!銀より金の方が価値があるから買える!
初めての杖だ!!
「まあ、このまま処分されるよりもにぃちゃんみたいな変わり者に買われた方がこいつらも嬉しいだろうし……にぃちゃん、可愛がってくれよ!」
硬貨を支払うと、男性はニッカリと笑いながら杖と子杖をゆっくりと優しく私に渡す
…嬉しいけど、これどうやって使うのかな?
合唱などで使われる指揮棒のような形をしている
子杖をローブに付いているポケットにいれ
私の肩に届くほどの大きな杖を両手で抱えながら学校へ行くことにした




