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3.楽しい楽しい鬼ごっこ

女性の叫び声を聞いた瞬間乗っていた車椅子を影の中に入れ、ニュルっと影が飛び、私の右足に侵食し、近くの屋根に飛び込みそのまま屋根上を走った

〈ママ、なんか警察っぽい人がきたよ〉

〈あ、騎士もきたーかっけー〉

〈なにあのでかい動物、かっこいい!〉

「ひいいいぃぃ!?」

早いよぉ早いよぉ…!叫んですぐに来るなんて仕事熱心だね!!うん!こわい!!後ろ振り向く勇気すらないよ!

後ろから複数の足音と動物の鳴き声が聴こえる

屋根上だよ、屋根上なのにもうこんなに人が追っているの!?

〈ママ、止まれって言ってるよ〉

〈あの剣かっけー〉

〈剣持ちながら走ってるかっこいー!〉

〈母さん、目元にそんな布巻いてて前見えてるの?大丈夫?〉

〈大丈夫だよあれは薄い布だから前は見えるよ!〉

子どもたちの呑気な実況中継を聞きながら私は今久しぶりに走っていた

うぅ…あの時の鬼ごっこ以来だなぁ……



んっ鬼ごっこ……あ!


「ねえ、みんな!」

〈なになに?〉

〈なーに?〉

〈あそぶの?〉

「うん、皆今から後ろにいる人たちと鬼ごっこしてきてほしいの!」








「うわあぁぁぁぁ!!?」

「ぎゃああぁぁぁぁぁ!?」

「な、なんだこれは!??」

私を追っていた人々は今、屋根の上に芋虫のような動きをしながら倒れている

近くにある煙突に腰かけていると私の隣で楽しそうにはしゃいでいる子どもたちの笑い声

〈みてみてー、私は《右足》をとったよ!〉

〈へっん!俺は《左足》と《右腕》だぜ!〉

〈わたしは……《親指》と《薬指》…〉

〈俺らすげーな!騎士を倒したんだぜ!!〉


「凄いよ、皆!強いね!」

ただはしゃいでいるのではない、追手の急所以外の体の一部をそれぞれ手に持ちながらはしゃいでいるのだ

体の一部を盗られた追手に痛みはない、血だって出ていない、ただその場からその一部だけが取り除かれているだけだから



神様だった女性から頂いた知識の中に私だけの特別な力の使い方があった、それの力の名前は『奪う』ととてもシンプルで分かりやすいもので、誰かから何かを奪い最初から無かったものにし、そのあとそれを破棄するか、もとに戻すか、取り込むかを選ぶことができる


子どもたちは私が作った器の中にいるから、私の力を子どもたちが使うこともできる

なので、子どもたちに私の力で彼らに触れた部分を奪われることになる

私はこの力に名前を付けた、元の世界でよく遊んでいた遊びの名前だ


「どお?皆『影鬼』、楽しかった?」

〈うん!母ちゃん、影鬼って楽しいね!〉

〈初めての鬼ごっこだよ〉

こうして、影鬼によって手足を失った追手たちは私を追うことは不可能になった、動物たちは私と目が合うと尻尾を巻いて何処かに行ってしまった…犬っぽい生き物だったなぁ……触りたかった


「皆、それ暫く持っててね」

〈はーい〉

〈らじゃー!〉

大丈夫ですよ!追手の皆さん、あとでちゃんと帰しますから安心して下さい!

突然手足が消え、恐怖のあまり泣き叫ぶ追手にお辞儀をしたあと、私はまた走るのを再開する







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