27.カルルラス
僕が最初に彼女と目が合った時
世界がグルリと変わった
いつも思っていた
風に吹かれサラサラと絹のように滑らかな白い肌に被さる夜の空のような漆黒の髪にはキラキラと宝石のように輝いた優しい瞳を持った彼女
彼女と接していると色んな彼女を知った見たことのない文字を書く彼女、この世界のことをなにも知らない無知な彼女、僕の些細な話を楽しそうに聞く愛らしい彼女
謎が多い彼女だが
呼び名を決めて頂いた時は天にでも昇るような感動を覚え、気付けば彼女に会うのが日常になってしまっていた
僕は彼女に恋をしていた
『ふっ……なんとか、退けたな』
崩壊した建物の瓦礫から小さな影が現れる
それは先程インフェルオヴィンに食らいつくされたはずのカルルラスだった
カルルラスは本体の半分を囮として食らわせ、残りの半分と槍は瓦礫の下に息を潜めインフェルオヴィンが去るのをただじっと待っていた
『さて、これからどうするか………まさかあの小娘がインフェルオヴィンだったとは……』
半分も食われたカルルラスの体は赤子と同じくらいの小ささになってしまい、力もかなり弱まってしまったが……
『インフェルオヴィンには1つ力を盗られたがもう1つの力はどうやら、健在のようだ……それにインフェルオヴィンにこの力を使った、これでいつでもあいつを……ん』
カルルラスが瓦礫から完全に出ることができた時だった、インフェルオヴィンに盗られてしまった記憶の力で高い権力を持つ貴族の血族になったカルルラスの元によく来るその貴族の子どもがジッとカルルラスを見つめていた
「ねぇ、あの小娘ってイーちゃんのこと?イーちゃんがインフェルオヴィンってどういうこと?
鳥さん?」
子どもの見開いた目がただカルルラスだけを見ていた、眼球は全く動かず他に目線を全く向ける仕草すらしなかった
『おぉ、いいところにきた。私はカルルラス
あのイオンとかいう小娘は実は邪神で先ほど孤児院の子どもたちを虐殺し、次は町を襲おうとしているのだ…私がなんとか倒そうとしたのだが邪神の力は膨大で私ではどうすることもできなかった、しかし君となら忌々しい邪神を一緒に倒し英雄にな…』
「イーちゃんを倒そうとしたの?つまりイーちゃんを傷つけたの?ねえ傷つけたの?」
カルルラスは目の前にいる子どもに甘い誘惑で誘いそして食らおうとしていた、子どもは柔らかくて美味だが希望と夢、幸福に満ちた子どもはもっと美味だ、なのでカルルラスはこうして夢を子どもに与え夢に満ち溢れた子どもを食らおうと考えていたが突然子どもはカルルラスの首を両手で掴み、そのまま上に上げた
「ねえ、イーちゃんは女の子なんだよ、なに傷つけているの?なにしてるのかな?次の町を?なにそれ、それってつまりイーちゃんはもうここにいないってこと??なにしてくれるの?ねえ、僕が今日こんなに遅れたせい?なら今度からもっと早くするからちゃんとイーちゃんに会えるよね?」
『いや…あれは邪神で……』
「邪神とか関係ないイーちゃんはイーちゃんだよ
よくも僕とイーちゃんを引き剥がしてくれたね」
子ども瞳は先ほどからずっとカルルラスを見つめていた、歪んだ笑顔をしながら
『ヒ…ヒィ!?』
気付けばカルルラスは子どもに恐怖していた、この子どもは希望も幸福も夢すらない、あるのは憎悪だけだ己れに向けた憎悪だけ
「ところで、カルルラスって神様なんだよね
神様になったらイーちゃんの元にいけるよねぇ」
一瞬子どもから夢が芽生えた、カルルラスはそれを逃すことなく恐怖を覚えながら誘う
『そうだとも!わ、私と共に奴の元にい、いくこともで、でき……るぞ!』
「そっか」
カルルラスの言葉をきいた子どもは夢、希望を芽生えさした……が
「神様って美味しいのかな?」
『え』
ニッコリと微笑む子どもと血の気が引くカルルラス
「僕が神様を食べれば、イーちゃんに会いに行けるイーちゃんとずっと一緒に入れれる、ずっとずーっとイーちゃんとイーちゃんとイーちゃんとイーちゃんとイーちゃんとイーちゃんとイーちゃんとイーちゃんとイーちゃんとイーちゃんと……」
『グェッ』
壊れたようにブツブツと呟く子どもの握力はどんどん強くなりカルルラスの首が絞まっていく
『な、なぜそ、そこまで……す…る』
ピタッと子どもは呟くのを止め、カルルラスをグッと目と目が付きそうなほどの距離まで近づけゆっくりと目を細め、子ども…ユリウスは口を開ける
「愛してるから」
グチャ……グチュ……




