22.約束は守ろう
女性の言葉に耳を疑った
…私が…戦う?
『先程、その娘が刺されなかったのはお前の強い願いによって作られた防御壁だ。
触ると、防御壁を貼られた者以外どんな生き物でも細胞が分裂し、溶ける』
『わかったか?今のあなたはもう、人ではない
あのカルルラスと同じ神様なのよ
神様は神様でしか殺せない』
女性はゆっくりと私から離れ、唐突に私が今座っている車椅子を蹴ったのだ
「うわぁ!?」
蹴られた車椅子は床に倒れ、私も床に倒れる
女性は立てなくなった私を見下しながら
手を差し出す
『さあ、私の手をとればあなたは戦うための知識を得ることができる、あなたの神器も得ることができる、そして歩くための足も手に入る
ほら早くしないとカルルラスが本来の姿に戻っちゃうよ』
「イオンさん…あ、あれ!!」
床に倒れた私の後ろに寄りかかってきたリチェーコちゃんはカトゥーさんのいる方向を見つめながら
指を指す
「…な、にあれ」
リチェーコちゃんが指を指したところにはカトゥーではなく巨大な赤黒い鳥の形をしたなにかがそこにいた
『あーぁ、もうすぐ本来の姿になるよ』
「…うそ」
『さあ決断の時だ、インフェルオヴィン。
石になった童らとそのガタガタと震えた小娘、そしてお前もこのままあいつに喰われるか、それとも
こいつらを守るために戦うか…どっちだ?』
…こわい
なんで、私がこんな選択をしなきゃいけないの
いやだよお…いやだよぉ
もう…このまま食べれた方がいいよね
だって、メリーちゃん、カーリーちゃん、ノノちゃん、キロ君、サガ君、カナット君、ジャファー君、
メトル君、そしてロリエちゃんは助かっても肉体がない…精神だけ……
もう、触ることも話すことも出来ない
いいよね…だって、もう私が出来ることもやるべきこともないもん……
少しだけど楽しかった
…でも、もう…
「イ…イオンさん!!!」
……あっ
リチェーコちゃんの泣き叫び声を聞いた瞬間
突然私の脳裏に彼の言葉が甦る
わ、笑った顔がみたいなら!お前がおれを笑わしてみろよ!!…おい、約束しろよ!!
お前は俺を笑わす!
俺は守るためにすげー強い騎士団隊長になる!!
ぜったいだよ……?
私と君の約束、守ってね
「…バカみたい」
約束を守ってって言った癖してなに自分から約束破ろうとしてるのよ私ってば…
それに、リチェーコちゃんを見殺しに出来ない
あの子達ももしかしたら元に戻れるかもしれないのに…なにを諦めてるのよ
「さあ、私に戦う…いや、この子たちを守る力を下さい!!」
私は力一杯に女性の手を握る
『良かろう、さあ受けとるがいい。
ーー邪神『インフェルオヴィン』!!』
私の周りに突如黒い球体が浮かび上がる
それは私を包み込んでいく
ソウス君へ
私はもう人間ではありません
本当に神様になってしまったようです
人間ではない私は何者でもありません
早くこの世界から消えたいです
でも、君との約束は守らなきゃね
君はとても強い騎士になろうとしている
きっとリチェーコちゃんを守るためになるんだよね
なら…私にできることは
君に殺されるために生きていきます




