14.最初のママ
すこしながいです
「あ、ママだ」
「ママおかえりー」
「ママー」
私がユリウス君と別れ、孤児院のリビングに入るとロリエちゃん、ノノちゃん、カナット君が私の胸に飛び込んできた
「え、ママ??」
今朝まで「イオンさん」と言っていた三人が突然
「ママ」と私のことを呼び始めるこの状況が全く理解できない私が口をあんぐりと開けているとキッチンからゆっくりとこちらにカトゥーさんが笑いながら歩いてくる
「イオンさん、すみませんねぇ実は今日ノノとカナットの誕生日でして「なにがほしい?」と聞くと「いつもママみたいなイオンさんを今日だけママになってほしい」と答えたので、すみませんが今日だけ子どもたちのお母さんになってくれませんかね?」
なんと、私みたいな母親でいいならいくらでもなって差し上げましょう!!
「わかりました、よーし!ノノちゃん、カナット君、ロリエちゃん今日から私がママだよー!!」
「わーい!!」
「やったー!」
「ただいま」
「なにやってんの?」
3人の頭を撫でたり、部屋で追いかけっ子をしたり、女の子たちの髪型を三つ編みにしたり、人形ごっこなどをしていると森で食料を調達していたほかの子たちが戻ってきました
「あ、お帰りなさい」
「きいてー、今日からイオンさんがママなのー」
「ねーママ?」
ガタガタガタッと木の実がかごから落ちる音がしたので、そちらに目を向けるとソウス君が口をあんぐりと開け真っ青な顔をしていました
「え…あんた、カトゥーと、け…け…けっこんを…」
「あー、違う違う結婚してないよ、今日ノノちゃんとカナット君が誕生日で「今日だけママになって」ってお願いされたの」
まぁびっくりするよねー
ちらっと他の子を見てみると私をチラチラと見ていた。ははーん、この子達もお母さんがほしかったのかしょうがないなー
私は両手を広げニッコリと笑いながら
「ジャファー君、メトル君、メリーちゃん、サガ君、キロ君、カーリーちゃん、ソウス君、リチェーコちゃん今日から私があなたたちのママだよ!」
さあ!さあ!胸に飛び込んでおいで!
「わーい!やったー!!」
「かーちゃんだー!」
一番にメトル君とサガ君が勢いよく抱きついてきました、そんなに欲しかったのかーよしよし、ところでなんかさっきから胸揉んでない??気のせいかな?
「いーな、サガとメトル…かあさん俺ももん…あ、何もないです」
「ばか」
次にジャファー君が抱き付こうとしましたが、キロ君に睨まれ抱き付こうとしませんでした。キロ君はサガ君とメトル君に拳骨を食らわして私から離しました
イケメンだなー、女の子にモテるよキロ君
「ママ欲しかったから、うれしいなぁ」
「イオンさんがママならいっかなーイオンさんみたい な優しいママ欲しかったし」
と、メリーちゃんとカーリーちゃんがゆっくりと優しく抱きしめてきました。可愛いなぁ良い旦那さん見付かるといいね二人とも
リチェーコちゃんとソウス君は、リチェーコちゃんだけ抱きついてきましたがソウス君と彼女だけは私のことを「ママ」とは言いませんでした、二人には両親いるから私は不要だもんね
そのあとカトゥーさんがノノちゃんとカナット君の誕生日のために豪華なご馳走を用意してくれ、皆は目をキラキラさせながらご馳走をバクバクと食べていきました、流石にケーキはありませんがカトゥーさんが焼いたクッキーに「カナット君とノノちゃん誕生日おめでとう」と書かれた(私には読めませんが)巨大誕生日クッキーを皆で仲良く食べました
やっぱり、一人でケーキを食べるよりも皆で仲良くクッキーを食べた方が美味しいですね
「あのね、ママ」
「なぁにノノちゃん?」
ご馳走をお腹一杯食べたノノちゃんはうとうとしながらなにかを背中に隠しながら私の元にやってきた
「私ね、私のほんとのパパとママの顔を知らないの」
「うん」
カトゥーさんの話によるとノノちゃんは赤子の時に孤児院の門の前に捨てられていたらしい
「それでね、さいしょのママにこれを渡すってきめてたのだから、はいっママにあげる!」
「私に?」
「うん!」
彼女は背中に隠していた物を私に差し出す、それは真っ白で汚れひとつない布だった、ただの布ではなく正方形の形で一つの辺に長いリボンが通されていた
「これは?」
「ママがそういうのを頭につけているのを聴いたから作ってみたの!」
なるほど、バンダナ…しかも手作り
こんなに素敵なものを貰ったら絶対お母さん喜ぶよ、私もいま凄く嬉しいもん、本当にノノちゃんのお母さんになろうかな…
「あー!ノノなにしてんの!!」
「ママにプレゼントしたの!」
カナット君が何かを背中に隠しながら私の方まで走ってきました、おや?これはもしや…
「え!?ノノに先越されたー!最悪だー!!」
「えっへーんだ!」
「まあいいや、はいママ!!さいしょのママに渡すって決めてたんだぜ!」
彼も私に笑顔で背中に隠していた何かが入った袋を私に差し出してきます
「いいの?」
「ああ!さいしょのママって決めてたから!!大丈夫ノノよりは丁寧に出来てるぜ」
「なによそれ!!カナットのはただ買っただけじゃんか!!」
「うっうるせぇ!」
袋を貰い開けてみると真っ白な長い長い布が入っていました、ただ真っ白な布ですがとても綺麗な布です
「カナット君、これは?」
「おう、なんか街で女の人がよく両腕に巻いてたから買ってみたんだよ綺麗だろ!」
うむ、どうやらこの世界の女性のファッションの一部らしいですね…女性のファッションに気を使える男のこは良いよモテるよカナット君
「ノノちゃん、カナット君ありがとね」
なんとか堪えていた涙が一粒ポロっと出てしまったが笑顔で二人にお礼がいえた
「ううん、ママになってくれてありがと」
「そそ、こっちこそだよ
「あー!!!」
「えー!!!はやっ!」
「うそー!!!」
ドタドタとサガ君、メトル君、メリーちゃん、
カーリーちゃん、キロ君、ジャファー君が大声を出しながらまたしてもこちらに走ってきました
「ノノとカナットはやいよ!」
「えへへー」
「ざまー」
ま、まさか…
「まぁいいや、はいイオンさんこれあげる
私とカーリーが作ったのよ、最初のママにあげるものだから一生懸命つくったんだから!!」
「そーだよ、丁度サイズぴったりっぽいし」
「二人ともありがと」
メリーちゃんとカーリーちゃんから頂いたのは
夕焼け色の男子中学生が着る学ランのようなものですが生地は薄くとても可愛らしいお洋服で肩からは生地が無くなっていますが、腕の股ら辺から薄い桃色の長袖が付いていました
「ありがと!二人ともすごいわ!」
「そーよ!ほめてほめて」
「偉いわ、二人とも!!すごいすごい!」
「おいおい、そんなものなかんより俺らのほうがすげーからな!」
「そだそだ!!」
メリーちゃんとカーリーちゃんの頭を撫でているとサガ君とメトル君が私に何かの模様が描かれた布を膝に置いた
広げてみると、龍のような何かがうねうねしていて蛇のような何かががうねうねしている男の子からみたらとてもカッコいい刺繍がされている厚く長い布だった
「あら?」
ポロっと中から短パンとスパッツが出てきた
「あら、これも頂けるの?ありがと。あとこの布とてもカッコいい刺繍ね」
「だろー!俺らセンスいいからなー」
「どこがよ、こんな変な刺繍なんか貰いたくないわ」
「つか、なんなのあの短いズボンは?
キモいんだけど、どんだけママの太ももみたいのよ」
「なんだと!?」
「イオンさん…」
カーリーちゃんとサガ君がいがみ合っていると、今度はキロ君とジャファー君がキラキラしたものを私の膝に置く
「これは?」
「皆と同じで最初の母さんにプレゼントするものです、俺とジャファーで作りました」
「森の洞窟で俺とキロが見つけた石を削ったものとチェーンは町にあったいらない鉄を曲げて丸めて作ったんだぜ、あと石の飾りの布はメリーたちの余り布な
キロってば最初の母さんになるひとにはちゃんとしたものを作りたいって言いながら頑張って作ったんだぜ、勿論おれも」
「よ、余計なことをいうな!」
恥ずかしそうにするキロ君はジャファー君に拳骨を落とした
二人が作ったのは腰につけるアクセサリーのようなもので、チェーンに三つの緑色の宝石のように輝いてとても美しいものだった、また石から出ている布がいい味を出していて私は好きだ
「私みたいなお母さんでよければ、ずっとみんなのお母さんになりたいなぁ」
「マ…マ…」
「ん?」
横から服をちょいちょいと引っ張られて振り向くとロリエちゃんが私に手に持っていた真っ黒で大きな布を私に渡した
「なぁにこれ?」
首をかしげながらゆっくりと優しい声のトーンでロリエちゃんに訪ねる
「さいしょのマ…マ…にあげる…スカート…作ったの…着て…く…く…れるか…な?」
少し縫い目がほどけているけど、そんなのはどうでもいい
「ええ、着させてもらうわ、ありがと」
「皆の最初のお母さんになれて私とってもうれしいよ、ありがと皆」
私は今この世界に来てよかったと思っています
だって
今、とっても幸せだから…!!




