俺の冷凍庫と異世界
こう……、カッコいいの書きたいなって思ってたら、真逆のができました。
あと会話多めね。
テンポよくやりたかったから。
読みにくかったらごめんなさい。
ちょっと手直ししました。些細なとこです。
突然だが、俺の名前は端田祝詞フツーの大学生だ。なんで急に自己紹介をしたかって?それは聞いてほしいことがあったからだよ。
俺は2日前に北海道旅行から帰ってきたんだ。んで昨日北海道で買った蟹が届いた、から冷凍庫に入れて寝てその次の日大学行ってからの晩、つまり今日の今だ。
冷凍庫を開けてビックリ、なんかスゴイことになってる。具体的に言うと冷凍庫の中が石造りの建物の一室くらい広くなってる。うん、俺もよく分からん。
「あの〜」
どうしたものかと腕を組んで考えていたら冷凍庫(?)から黒いベールをかけた女の顔が出てきた。は?
「ハシダノリトさん、ですね」
え?なんで俺の名前知ってんの?誰?多分その時は俺の脳のキャパシティをオーバーしてたんだと思う。何も言えなかった。
「貴方は女神様に選ばれた勇者です。どうか私たちの世界を救ってください」
ゴンッ
女は訳の分からんことを言って頭を下げようとした、が冷凍庫の枠に額を思いっきりぶつけた。
「〜〜〜〜ッ‼︎」
女は頭を冷凍庫に沈めて、俺からは姿が見えなくなった、けど声は聞こえる。聞こえるのは声にならない悲鳴だけど。
そこで俺は冷凍庫(?)に頭を突っ込んでみようと思った。なんで?って好奇心と痛みに悶える女とキャパシティオーバーのせいかな。まともな思考が出来なかったんだろう。俺は冷凍庫の枠に手をかけ頭を冷凍庫(?)に入れた。
するとそこは壁が白い石で作られた広い部屋だった。椅子が大量に同じ方向を向いて置かれている。その先にはなんかの石像。教会の造りに似ている。あと床に悶えるシスター。俺の顔は木箱から出ていた。多分傍目から見れば晒し首みたいになってるな。
一通り辺りを見回して満足した俺は冷凍庫(?)から顔を出した。よく分からん世界だった。さっさと閉めたほうがいいだろう、きっとこれは夢なんだ。そう思って冷凍庫の戸を閉めようとしたらシスターの顔が出てきて、
ガンッ
シスターは後頭部を上の段にぶつけた。痛そう。
「あのっ、ハシダ、ノリトさん、ですね。貴方は、女神様、に、選ばれた勇者、なんです」
シスターさんは後頭部を抑えながらツギハギに言葉を紡いでいく。もう一度同じこと言うんだ。あ、涙目だ。その様が痛々しい。言動もな。
「どうか私たちの、世界を救ってください‼︎」
よく最後は一気に言えたな。でもさ、
「なんで?」
これは世界を云々、だけではなく今起こった色々なことに対してだ。
「えと、貴方が女神様に選ばれた勇者だから……」
「それで?」
「え、あ、その、私たちの世界を救ってほしいなっ、て……」
ほう。これは小説やらゲームとかにあるアレか。異世界に誘われる的なアレか。
とは考えられたらいっそ楽しかったのかもな。幻覚とかだったら良かったのだが、さっき思いっきり頭をぶつかってたしな。で、俺に世界を救えと、なんの冗談だよ。そんなの厨二の時に来いって話だよ。よって結論は、
「NO、だな」
「なっ、なんでですかっ‼︎⁉︎」
「答えは簡単、危なそうだからだ。それにそこまでする義理は無い。さっさと冷凍庫を戻せ、俺は蟹が食べたいんだ」
シスターはこの世の終わりがきた、みたいな顔をしている。俺そんなに酷いこと言ってないぞ?
「そんな……世界が……終わってしまう……」
あ、本当に終わるんだ。いや、そんなこと言われても……、待て俺、今助けてやろうかな、とか考えなかったか?違うだろ、他所の世界がどうなろうと知ったことではないんだ。そう、俺は一般人。
「ひっ、ぐすっ……、うっ」
泣いてるっ⁉︎ちょっ、泣くな。冷凍庫から顔出して泣くとかシュールすぎる。え?なにこれ?俺のせい?……いかんいかん、ほだされるな俺。女の涙は怖いって女系家族に習っただろっ!あの姉妹の顔を思い出せ、女の涙は怖い……。
「ゔぁぁぁあ〜〜〜あ〜、あ、ああああ〜〜〜‼︎‼︎」
うるせっ。なんだこれこの声量尋常じゃないよ。あ、横の部屋から壁ドンが聞こえる。
「分かった。話は聞くから‼︎とりあえず泣き止んでくれっ‼︎」
「本当、でしゅか?」
今までの悲鳴が嘘のようにピタリと止まった。え?嘘泣き?いや、声も鼻詰まり気味だし涙の量スゴイし嘘ではないだろうけど、大分あっさりだなオイ。あ、鼻水。
「ちょっと待ってろ」
「え?ハシダさーん」
ティッシュ取りに行くだけだから大丈夫だよな。なんかもうぐずってない?
「ほら鼻水すごいぞ」
「うぅ、すいません」
ついでにゴミ箱も持ってきてある。かんでは捨てみたいな状態だな。なにしてんだろう俺?
「あの、」
こっちを伺いながら控えめな声でシスターが話し始める。
「私はイクス教本部司教、メルクル・フェルトと申します。メルとお呼びください」
ガンッ
また頭を下げようとして枠に頭をぶつけたな。今度は勢いよくではなかったから額を片手で抑える程度で済んだらしい。
「あのですね、今私たちの世界は大変な危機に直面しているのです」
「と言うと?」
「魔王が復活してしまいまして「人類を滅ぼしてやる」って言ってきたんですよ」
「大分子供っぽい声明文だな」
「そして各地で決起した魔物達が暴れて被害が出ておりまして、それを【女神の騎士】であるハシダさんになんとかしていただきたいのです」
「無理」
「なんでですか‼︎⁉︎」
いや、普通に考えて無理だろ。俺もう二十歳なんだよ?そんなヤンチャできる歳じゃないんだよ。
「俺喧嘩なんてしたことないし、闘うとかハッキリ言って無理」
「そんなっ‼︎ハシダさんは【女神の騎士】なんですよ⁉︎」
「なんだその厨ネームは。無理なもんは無理なんだよ」
「いいえできます。やってもらわないと困るんです!」
「俺には関係ないだろ!」
「残念ですがそうでもありませんよ」
「へ?」
「さっき私はハシダさんを【女神の騎士】だと言いましたよね?」
「ああ」
「それは女神が貴方の【命を握っている】のと同じなんですよ。つまり私たちの世界を救っていただけないならハシダさんも死にます」
「……」
「なので決してハシダさんには関係の無い話ではないので……」
「はああぁぁぁああぁぁぁぁああぁああぁぁぁあああぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎⁉︎⁇」
「ちょっ、ハシダさん?」
嘘っ?マジ?え?嘘っ?ちょっ、えええええええぇぇぇえ?怖い怖い怖い怖い怖い怖い。女神ってそういうもんだっけ?え、これ、えぇぇ。なんなのさ女神ってぇ。職権乱用どころの騒ぎじゃねぇよ‼︎
「ハシダさん!落ち着いてください!」
「お前、これが落ち着けるかよ!物騒なヤツに命握られてんだぞ‼︎」
「それは私たちも一緒です」
「え?」
「私たちは、ハシダさんがいないと、ただ殺されるだけ、なんです。……だから、私たちもハシダさんと一緒なんです」
あ……、そういうこと?か。なら……
「って納得できるかーーー‼︎俺をそっちの事情で殺すとか女神の諸行じゃねぇよ‼︎」
「はっ、ハシダさん⁉︎」
でも、やらないと殺される。だっーーーー、仕方ねぇのかよ。くそっ、完璧女神の手のひらの上じゃねぇか。
「やるしかないのか……」
「ハシダさんっ‼︎」
「言っとくけど、あんま危ないことはしないからな。あと俺大学の講義あるからそんな時間かけられないけど」
「ハシダさーーーーん‼︎」
「のわっ⁉︎ちょっ、ひっつくな」
「よがっだ、よがっだよ〜〜」
「泣くなっ!鼻水服に付くだろうが‼︎」
「ハジダざ〜〜〜ん」
それからシスターメルが泣き止むのに30分、俺から離れるのに更に10分かかった。
▽
「いや〜、ハシダさんのおかげでなんとかなりましたね」
「いや、俺はなんとかなってない。お前が俺の家にいるのも、こいつが俺の膝に乗ってるのも、一体なんなんだ」
あれから俺は女神の加護?とやらの無双チートを使って一気に魔物を屈服させ(ヤンキーみたいだ)魔王を猫だましで倒し(弱っ‼︎)そして妙に懐かれた。魔王は今俺の膝の上に乗っているちんちくりんのことだ。
「パパー」
「誰がパパだ、コラッ。いい加減降りろ」
「えー、いいじゃん減るもんじゃないしー」
どこで間違えたかな?結局冷凍庫は異世界に繋がれたままだ、女神が戻してくれないので。冷凍庫?なんか忘れてる気がするけど、まぁいっか。
▽冷凍庫の横にある紙
蟹美味しかったよ
〜女神〜
読んでいただきありがとうございます。
割愛した分はいつか書くかも。