第一話
初めまして。おはよう。こんにちわ。こんばんわ。前々から短編などは載せていたのですがふと思った拍子に長編にも挑戦してみようかなと思いまして書き始めました。
更新は1週間ペースで行っていこうと思います。話によっては短かったりちょっと長かったり変な所で途切れたりするかもしれませんがご了承ください。
誤字・脱字などありましたら感想などで教えてくださると幸いです。
それではどうぞm(_ _)m
とある路地のとあるビルの一室に表の社会でも裏の社会でも有名な会社がある。
その会社はわずか二人の従業員しかいないにも関わらず依頼達成率百%を誇る便利屋だ。
社名をP.P.と言う。その部屋に一つしかない窓から差し込む光をバックにふんぞり返って椅子に座る彼女。
その横で壁に背中を預ける俺は黙って成り行きを見守っている。
彼女の向かいには厳つい顔の黒服が据わって重々しい空気を放ち続けている。
「それが今回の依頼なんですね」
彼女が雰囲気に合わせて慣れない重々しい口調で切り出した。
その声は凛としていて空気に透き通るように響く声だったが多少、いやかなり彼女には似合わない声だった。確認する彼女に黒服はゆっくりと首を縦に振る。
「はい、ではよろしくお願いします」
それだけは言い残し、黒服はこちらを振り返りもせずに立ち去った。
黒服が立ち去った後の部屋にささやかな静寂が訪れるがそれも一瞬で破られる。
「グガ~ムカつく、ムカつく、ムカつく何あの無反応、無表情、君は第二のチョコちゃんかっての!」
「誰がチョコちゃんだ」
彼女は不満によるストレスの解消のために俺に無茶苦茶な言い分をぶつけてきた。
「なんで?チョコちゃん良いじゃん。可愛いじゃん、甘そうじゃん」
「甘そうって何だよ、俺を喰うのか?」
俺は溜息と共に吐き捨てるように言い、彼女の前に立ち依頼の確認をする。
「で、今回の依頼は?」
「要人警護よ」
彼女はそう言い、依頼書をこちらに放り投げてきた。俺は依頼書を手に取り、情報を吟味していく。
「要人はとある国の重要人物か、たったこれだけの情報だけで守れってのも無茶な話だ」
俺はあまりにも情報の少ない依頼書を机の上に放り投げた。
「それでどうする?ヒロ」
「名前で呼ぶな!リーダーと呼べって言ったでしょ‼」
彼女じゃもの凄い形相で窓ガラスが割れるんじゃないかと心配になるほどの大音声で怒鳴ってきた。
俺は顔をしかめながら耳を防いで耐え抜き、超音波の嵐が去った後、俺は改めて彼女に聞き直した。
「それでどうするんだリーダー。何の対策もせずに手を拱いているだけなのか?」
「そんなわけないでしょ。ありとあらゆる手段を使ってこの重要人物の情報を手に入れて弱みを握り法外な報酬を請求してやらないとね」
可愛くウインクなんてするヒロだが言ってることは闇金や暴力集団などとなんら変わらない。
「情報を教えられないということはそれだけ地位が高い人物だということだろう。そう簡単には手に入らないんじゃないのか」
「そこは私の腕の見せ所よ、私の情報収集能力をなめないでよ」
ヒロは意気揚々と事務所を出て行った。そして依頼当日の朝までヒロは事務所に姿を現さなかった。