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第7話:ルミナ、伝説を洗濯しちゃった日

「ふふん、これで服も心もスッキリよ! せっかく異世界に来たんだから、女子力も磨いておかないとね!」


シエルとガルドが森へ食料調達に出かけた間、私は一人、川辺で洗濯に勤しんでいた。


空は青く、川の水はクリスタルのように透き通っている。私は聖剣エトワール・ベルを傍らに置き、水魔法で水流を優しく調整しながら、溜まっていた汚れを落としていく。


(神様、私……こっちの世界で楽しくやってるよ。仲間もできたし、あとはもっとしっかりしなきゃね!)


自分を鼓舞するように、私は少しだけ魔力を込めて水を濯いだ。

……けれど、それが間違いだった。


『ゴォォォォ……!』


「ひえっ!?」


穏やかだった川面が、私の魔力に呼応して巨大な渦を作り出す。渦はみるみるうちに膨れ上がり、天を衝くような水柱となって爆発した。


「いやぁぁぁあ! なにこれ、洗濯してただけなのにこの世界を滅ぼしちゃったのぉーっ!?」


激しい水しぶきが収まったとき、私の目の前には一匹の生き物が浮いていた。


青く輝くウロコ、鹿のような角、そして宝石のような大きな瞳。全長は私と同じくらいだが、その存在感は圧倒的だ。


「きゅ……きゅるるるる……?」


「えっ……。龍? もしかして、龍の子?」


驚いて固まる私だったが、無意識に全身から『敬愛の加護』の光を放ってしまっていたらしい。


その神々しい光に当てられた水龍の子供は、一瞬でトロンとした目になり、私の足元に「きゅるる〜ん!」とすり寄ってきた。


「ちょっと、待って! 冷たい! 濡れる! でも……可愛いぃ!」


その時、森の奥からシエルとガルドが血相を変えて飛び出してきた。


「ルミナ! 何事だ、今の爆発的な魔力反応は――って、おい。……なんて格好だ、君は」


「うわあああ! 水龍じゃねえか! しかも子供! 伝説の『川の主』を釣り上げちまったのか、嬢ちゃん!」


シエルは、びしょ濡れで水龍に甘えられている私を見て、深く、深くため息をついた。


「……おい。洗濯を頼んだはずが、なぜ数百年誰も姿を見たことがないという古代種の幻獣を懐かせているんだ。君の『うっかり』は世界を滅ぼすレベルなのか?」


「違うの、シエル! この子が勝手に……! あ、待って、洗濯物が龍のツノに引っかかってる!」


「ガハハ! 似合ってるぜ、水龍のママさんよ!」


「誰がママですかぁーっ!」


結局、水龍の子供(名前は『アクア』に決まった)はルミナを親だと思い込み、そのまま一行についてくることに。

シエルの毒舌混じりの説教を受けながら、ルミナの賑やかな家族(?)は、また一つ大きくなったのだった。

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