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第18話:黄金の晩餐会と、三つの影

王城の広間に足を踏み入れた瞬間、光の洪水に眩暈がした。


数千のキャンドルがシャンデリアに反射し、着飾った貴族たちが、エルナさんに磨き上げられた私を見て一斉に息を呑むのが分かった。


「……僕から離れるなと言っただろう。君は、無防備すぎる」


シエルが、いつになく低い声で囁きながら、私の腰にそっと手を添えた。エスコートという名目だけど、その力はどこか「誰にも触れさせない」という強い意志がこもっている。


「ガハハ! 嬢ちゃん、胸を張れよ。この場にいるどの花よりも、あんたが一番綺麗だぜ!」


反対側では、正装(といっても無理やり着せられた感があるが)のガルドが、周囲の軟弱な貴族たちを威圧するように仁王立ちしている。


そんな時、人混みが割れ、一人の青年が歩み寄ってきた。


燃えるような金髪に、高貴な顔立ち。この国の第一王子、エドワードだった。


「……素晴らしい。まるで月光が形を成したような美しさだ。聖女殿、私と一曲踊っていただけないだろうか?」


王子が優雅に膝をつき、私の手を取ろうとした、その時――。


「――お断りします」


シエルが王子の手を、冷徹な動きではねのけた。


「彼女は今、王都の魔力汚染の調査報告という重大な任務の最中です。不躾な誘いは控えていただきたい、エドワード王子」


「ほう……。一介の監視者が、私に意見するか? それとも、君が彼女を独り占めしたいだけかな?」


王子の挑発的な笑みに、シエルの瞳が凍りつく。一方でガルドも、「王族だろうが、嬢ちゃんが嫌がることすんなら俺が相手だ!」と拳を鳴らした。


(あ、あの……! 私、ダンスなんて踊れないし、それより……)


キラキラした豪華な料理の香りに、私のお腹の「持病」が警鐘を鳴らし始めていた。


「……うう、二人とも、一旦ストップ……。ちょっと、お腹が……」


「ルミナ!?」


「嬢ちゃん、またガスか!? ほら、俺の背中に隠れろ!」


王子が呆気にとられる中、シエルとガルドが慌てて私をテラスへと連れ出した。


夜風にあたりながら、二人に介抱されていると、ふとシエルをじっと見つめる老騎士が目に入った。


「……おい、あそこにいるのは、まさか……『暗黒の処刑人』の……」


その呟きを耳にした瞬間、シエルの肩が微かに震えたのを、私は見逃さなかった。

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