表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/20

第17話:鏡の中の「女の子」

「さあ、大変! 城へ行くなら、それなりの格好をしないとね」


翌日、宿の一室はエルナさんの手によって「即席の美容室」へと変貌していた。


「私はいいよ、いつもの服で……」と遠慮する私を、エルナさんは「女の子にはね、魔法が必要な時があるの」と優しい笑顔で鏡の前に座らせた。


数時間後。


「……よし、完璧ね。さあ、二人を驚かせに行きましょうか」


エルナさんに背中を押され、私は慣れないロングドレスの裾を気にしながら、ロビーで待つ二人の前へ出た。


普段の旅装束ではなく、淡い光を放つシルクのドレス。髪は緩く編み込まれ、エルナさんが魔法で咲かせた小さな白い花が飾られている。


「……あの、お待たせ。……変かな?」


私が恐る恐る顔を上げると、そこには石像のように固まった二人がいた。


「………………」


シエルは持っていた本を床に落としたことにも気づかず、目を見開いて私を凝視している。いつもは青白い彼の頬が、耳の付け根まで真っ赤に染まっていた。


「……っ。……ああ、いや。……悪くない。……いや、その……」


語彙力を失ったシエルが、珍しく視線を泳がせながら、片手で口元を覆ってそっぽを向いた。


「じょ、じょ、じょ、嬢ちゃん………………っ!!」


一方のガルドは、叫ぶような声を上げた後、そのまま「ブフォッ!」と鼻血を出して後ろに倒れ込んだ。


「ガルド!? 大丈夫!?」


「あ、ああ……。眩しすぎて、直視できねえ……。俺、今なら死んでもいい……」


「死なれては困るわ。さあ、夜会はこれからよ?」


満足げに微笑むエルナさんに促され、私たちは城へと向かう馬車に乗り込んだ。


狭い車内、私の隣に座ったシエルの肩が、いつもより少しだけ熱く感じられたのは、きっと気のせいじゃない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ