第15話:王都の雑踏と、無自覚な「守護者」たち
ついに辿り着いた王都グランセリア。
白亜の城を中心に広がるその街並みは、これまでの村とは比べものにならないほどの人混みと活気に溢れていた。
「わあ……! すごい、本当に大きな街……!」
私は馬車の窓から身を乗り出し、キラキラした瞳で街を見渡す。
すると、街ゆく人々が次々と足を止め、こちらを振り返り始めた。
「おい、見ろよあの馬車に乗ってる子……」
「なんて綺麗な……。本物の女神様か?」
ざわざわと広がる感嘆の声。神様にもらった「圧倒的美貌」のせいで、私はただ窓の外を見ているだけで注目の的になってしまう。
「……ルミナ。あまり外をキョロキョロ見るな。……ほら、中に引っ込め」
シエルが不機嫌そうに、私の肩を掴んで馬車の奥へと引き戻した。
「えっ、なんで? 景色、見たいのに」
「……男たちの視線が汚い。君はもう少し、自分の容姿が周囲に与える影響を自覚した方がいい」
シエルはいつもの毒舌を吐きながらも、私の隣に座り直し、外から私が見えないようにカーテンを少しだけ閉めた。……その指先が、ほんの一瞬、私の髪を避けるように触れた気がした。
「ガハハ! シエルの言う通りだぜ、嬢ちゃん。王都には悪い奴も多いからな。ほら、街を歩く時は俺の後ろから離れるんじゃねえぞ」
ガルドが豪快に笑いながら、私の前に壁を作るように座る。
彼の大きな背中は、なんだかいつもより頼もしく見えて、私は少しだけ胸がドキドキした。
(二人とも、心配してくれてるんだよね……。厳しいけど、優しいな)
そんな私たちの様子を、向かいの席で見ていたエルナが、口元を隠してクスクスと笑う。
「あらあら……。これじゃあ、王都に着いてからも退屈しなさそうね」
「……何がおかしいんだ、エルナ」
「いいえ、何でもないわよ、シエル君。……ただ、これだけかっこいい騎士様二人に守られてるんだもの。ルミナちゃんは幸せ者ね?」
「騎士!? 僕は騎士じゃない、監視者だ!」
「俺は……俺はただの盾ですよっ!」
二人が同時に顔を背ける。
私はといえば、「二人とも、役割に一生懸命なんだなぁ」と、相変わらずのポンコツ思考で、エルナがくれた「お腹に優しいハーブティー」を一口飲んだ。




