プロローグ:あの日、少女は天使となった
この作品は、以前投稿していた『転生少女の無双物語』をベースに、キャラクター設定やストーリーを大幅にアレンジしたリメイク版です。
旧作を楽しんでくださった方も、初めての方も楽しめるようにパワーアップさせています!
よろしくお願いいたします。
降りしきる雨の音。そして、鼓膜を裂くような激しいブレーキ音。
それが、私の世界から色が消える直前に聞いた最後の音だった。
「危ないっ!」
体が勝手に動いていた。
目の前で立ち竦む、小さな女の子。その背中を突き飛ばすようにして押し出した瞬間、私の視界は激しく回転し、アスファルトの冷たさが全身を襲った。
(ああ……今日、お母さんと一緒に七草粥を食べる約束してたのにな……)
遠のいていく意識の中で、最後に思い浮かんだのは、温かな食卓の風景。
家族と笑い合いながら過ごす、なんてことのない、けれどかけがえのない時間。
ごめんね。先に、行っちゃうみたい。
――けれど、闇は訪れなかった。
「……優しい子ですね」
ふわり、と。
まるで真綿に包まれるような感覚と共に、どこからか清らかな声が聞こえてくる。
重い瞼を必死に持ち上げると、そこには星々を閉じ込めたような瞳を持つ、美しい男性――神様が立っていた。
「自分の命を賭してまで、見知らぬ誰かを救った貴女の魂は、あまりにも尊い。貴女が守ったあの少女は、健やかに、貴女の分まで未来を歩むことでしょう」
その言葉を聞いて、私は心の底から安堵した。
よかった。私の死は、無駄じゃなかったんだ。
「その優しさに報いたい。貴女には、新しい世界で、新しい人生を謳歌する権利があります。ルミナ――『光』という名と共に、愛し愛される日々を送りなさい」
神様が優しく私の頭に手を置くと、全身が温かな光に満たされていく。
「さあ、行きなさい。貴女の歩む道に、幸福な出会いがあることを」
光の中に吸い込まれながら、私は強く願った。
今度の人生では、たくさんの仲間を作って、その仲間たちと「家族」のような絆を作りたい。
そして――。
(……うん、次は絶対に、誰も死なないハッピーエンドにしてやるんだから!)
こうして、一人の少女の物語は幕を閉じ、
異世界を照らす「光」の物語が、産声を上げた。
はじめまして、胡蝶です。
読んでくださりありがとうございます!
ルミナの迷子っぷりを温かく見守っていただけると嬉しいです。




