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#18 事件

お話の辻褄が合わなくなる!と気づいたため、昨日投稿した「#18 ルール」を削除いたしました ߹ ߹


昨日のものとはだいぶ方向性が変わりましたが、自分の満足いく展開に進めることができたと思うので、「#18 事件」も読んでいただけると嬉しいです ᐡっ ̫ ɞ̴̶̷ᐡ❤︎


皆さんからのいいねやブックマークも励みになってます(><)

この先の2人の恋模様も楽しんでいただけたら幸いです♩¨̮

 昼休み。俺は、いつも通りカズと話していた。


「よぉ、タク。おニューの相原さんネタあるけど、聞く?」


 ウインナーをかじりながら、カズが得意気に笑う。


「え?」


 ついこの前千春ちゃんからの目撃情報があったばかりなのに、また新スクープ?


 まったく……相原さんって、なんでこう“妙にバレる秘密”が多いんだ。


「相原さん、中学時代モテてたらしいぞ」


「ぶふぉっ!」


 俺は飲んでたお茶を盛大に吹き出した。


「ちょ、お前汚っ!」


「いやいやいや!え、なに!?相原さんモテんの!?」


「声でけーよ」


 カズに睨まれ、俺は慌てて深呼吸。

 

 とはいえ、あまりの衝撃に心臓が跳ね上がる。


「……ソースは?」


 声を潜めて尋ねる。気分は、機密情報を扱うスパイ。


「サッカー部に、相原さんと同じ中学だったやつがいてさ。聞いたんだよ」


「で?」


「“あいつ、告白されまくってたよ”だってさ」


「はあああああ!?」


 思わず机をバンッと叩く。

 

 ……嘘だろ。相原さんの魅力は、俺だけが知ってるはずなのに。


「でも、全部断ってたって」


「……よかったぁぁぁぁ」


 俺はほっと胸を撫で下ろす。


 相原さんに恋人がいるなんて、想像したくもない。

 

「でもな」


 カズがニヤリと口角を上げた。


「最近もまたあるらしいぜ」


「……何が」


「恋愛沙汰」


「ゴホッゴホッ」


 今度はおにぎりで盛大にむせる。


 な……なんだと。相原さん、リアルタイムで進行中の恋バナがあるのか?


 ななちゃん以外にも、例の笑顔を見せる相手がいるのか!?


「中学時代の部活の先輩だってさ。塾で再会して、なにやら楽しげに話してるってタレコミ」


「なんだとおおおお!?」


 俺は机に突っ伏した。


 信じたくない。まじで、信じたくない!


 カズは腕を組み、やれやれと肩を竦めた。

 

「……まぁ、相原さんと同じ塾ってことは相手も東大志望なんだろうし、お前とは天と地の――」


「え!?」


 俺は思わず遮る。

 

「相原さんって東大志望なの!?」


「は、お前知らなかったわけ!?」

 

 同時に、俺とカズの口がぽかんと開く

 

「それって、周知の事実って感じ?」


「うん」


 カズは即答。


「なんで!?」


「さぁ。でも、この高校の人はだいたい知ってるよ。相原さんが理III受けるって」


「……初耳なんですけど」

 

 衝撃の新情報連打に、脳がバグる。

 

「まじかよ……。てか逆に、よくその情報だけを避けてここまで学校生活送ってきたな……」


「うるせぇよ」


 俺が吐き出す。


「ちなみに、相原さんのご両親も兄ちゃんも姉ちゃんも東大だってことは?」


「まぁ知るわけないよね!」


「親戚全員医者の医者一族だってことは?」


「すご!もちろん今知った!」


 もう笑うしかない。


 俺は豪快に足を組む。

 

「なんだよー、みんな意地悪すぎんだろ!誰も教えてくれなかったじゃんか!」


「……いや、普通に知ってると思ってた」


 カズは苦笑する。


 相原さんが東大……。


 悔しいけど、めちゃくちゃ似合うな。

 

「……で、お前どうすんの?そのハイスペ先輩に相原さん取られるぞ?」


「はっ!そうだった!」


 俺は頭を抱える。


 カズはそんな俺に目もくれず、心にダメージを負うような追加情報を放つ。


「しかもその先輩、なかなかのイケメンらしいぜ。背高くて、陸上でインターハイ出てて……」


「はい終わったー!勝ち目なしー!」


 俺は盛大に敗北宣言をし、机に思い切り突っ伏す。


 俺はというと、女顔・163cm・帰宅部のエーーーーース!


 対戦ありがとうございましたーーーーーー!


「おい、タク!まだ終わってねぇだろ!」


 カズが俺の肩をバシバシ叩く。


「いやぁ、どう頑張っても勝てねぇっすよ……」

 

「ふーん?それでいいのか?恋人がいるって楽しいぞ?」


 勝ち誇ったように笑うカズ。

 

 頭の中に、千春ちゃんと手を繋いで歩くカズの姿が浮かぶ。


 ……く、悔しい!羨ましい!

 

 俺はガバッと顔を上げ、カレンダーを見た。


 6月15日。

 

 薄笑いのカエルが、「どうせ無理だろ」とでも言いたげにこちらを見ている。


 夏休みまで、あと1ヶ月。このままじゃ、学校で会えなくなる。

 

 ――決めた。


「俺、相原さんと夏祭り行くわ」


「は?正気?」


 なにがイケメンだ!なにがハイスペだ!


 こっちには、“ななちゃん”という最強の切り札がある。


 このカード、全力で使わせてもらおう!

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