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ニャニャーン大乱記  作者: ひろの
第六章 最後の抵抗、新たな支配

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第七十二話 次の一手

式典を終えたトウガとカイが、トウガの私邸に戻った。


玄関を開けると、賑やかな声が聞こえてきた。


「おかえりなさいませ!」


14歳になったトウガの四男レオンと、

6歳のミオリが、はしゃぎながら駆け寄ってくる。


「おぅ、レオン、ミオリ、ただいま」


ミオリがレオンの手を引きながら、トウガの足に抱き着いた。


「おーう、ミオリ、お利口にしていたか?」


「はい!トウガおじさま」


トウガは優しい笑顔でミオリの頭を撫でた。


ミオリは留守番中にレオンと遊んだことを、

一生懸命伝えようとして話しかけている。

トウガはきちんと目線を合わせてそれを聞いている。

少し距離を置いたところで、イレーネがその様子を見つめていた。


(やはりここにミオリ様を連れてきたのは正解でしたねぇ。

 情緒教育はここが最適ですよぉ。

 トウガさんは、なんだかんだ言って優しい人ですぅ。

 ミオリ様が両家の架け橋になってくれればいいんですがぁ)


カイがゆっくりとイレーネに近づいて、小声で話しかけた。


「今日の事、お前はどう感じた?」


イレーネはいつもの調子で返す。


「シズク様やトウガ様、私がぁ、

 排除されなかったことですかぁ?」


「そうだ」


「そんなの分かりませんよぉ。

 でもぉ、命拾いしましたぁ」


カイは困惑しながら呟いた。


「それはそうだが、お前でも真意が分からないとなると不安だな」


イレーネは少し考えてから答えた。


「えぇ、でも一つだけ感じたのはぁ。

 ラートリーはシズク様とトウガ様のご両名を

 従わせる自信があるようですぅ」


「俺はあんな奴の言うことは聞かんぞ!」


ミオリの話を聞きながらも、急にトウガが割り込んできた。


いきなり無視されたミオリが怒って抗議すると、

トウガは慌てて再びミオリと笑顔で向き合い、話を聞いている。


イレーネは続けた。


「そうですよねぇ、シズク様も同じだと思いますぅ。

 となるとぉ、ご両名を従わせる秘策があるんでしょうねぇ」


再びトウガが割り込んでくる。


「イレーネ、それを探れ。

 どうせお前はミオリの護衛をシズクから命じられているんだろう。

 お前ほどの者をそんなことに使うのはもったいない。

 ミオリは俺とカイ、そしてレオンが命に代えても守る。

 お前はウララ陛下の所在と、奴らの真意を探ってくれ」


トウガは再びミオリの怒りを買って、慌ててミオリと向き合った。


イレーネは微笑んだ。


「そうですねぇ、今はそれの方がいいですねぇ。

 シズク様には怒られますが、ミオリ様をよろしくお願いしますぅ」


その時、レオンがイレーネの袖を引いた。


「あれぇ?どうしましたぁ?」


レオンは真剣な表情で言った。


「俺にも手伝わせてくれ」


「はぁ、でもレオンさんはミオリ様の護衛をぉ……」


レオンは遮るように返した。


「俺は確かに父上からミオリを守るよう言われている。

 だが、ミオリを守るためには直接だけではなく、

 敵を知ることの方が大事だと思う。

 イレーネ、手伝わせてくれ。

 俺はイレーネの手法を学びたい。

 ミオリには父上と兄上が付いているんだ。

 俺が居なくても問題ない」


イレーネは少し驚いた表情を浮かべた。


「ほぉ?良いですけどぉ、

 ミオリ様の遊び相手もちゃんとしてくださいねぇ」


レオンは無表情で答えた。


「……それがイレーネに師事するための条件であるなら遊ぶ」


「はぁい」


イレーネは心の中で微笑んだ。


(こんなところにも、面白い風が居ましたねぇ)


・ ・ ・


その夜、ラートリーの私邸。

広大なバルコニー。

満天の星空が、帝都を照らしていた。


ラートリーは、いつものように星を見ながらくつろいでいた。

グラスを手に、静かに夜風を感じている。


(元帥府、設立完了。

 だが、これはまだ始まりに過ぎん)


彼の目は、遥か彼方を見つめていた。


その時、扉が開いた。

セリオンが入室する。


「父上、本日はお疲れさまでした」


ラートリーは振り返らず、星を見つめたまま答えた。


「うむ、まずは元帝府を無事設立出来た。

 だが、まだ基盤としては弱い」


セリオンは父の隣に立った。


「はい。ですが、父上はこの元帥設立もただの過程であり、

 次の目標に向けて動き始めておられるのではないですか?」


ラートリーは微笑んだ。


「次の目標?

 俺の次の目標は何だとお前は思っている?」


セリオンは静かに答えた。


「父上の次の目標は……誰も成し遂げなかった銀河統一。

 その初代統一帝になられることでは?」


ラートリーは高らかに笑った。


「ふはははは」


セリオンは続けた。


「いずれ父上はウララから譲位を受けて、神聖皇帝になられるでしょう。

 ですが、父上は神聖皇帝如きに収まる器ではございません。

 初代銀河統一帝こそが、父上に相応しい称号です。

 そのための次の一手をご準備なされているのでは?」


ラートリーは星を見つめたまま答えた。


「セリオン、お前も頼もしくなったものだな。

 正解だと言いたいが、間違っている」


セリオンは驚いた。


「どこが……でございましょう?」


ラートリーは振り返った。


「お前の言う通り、俺は銀河統一を目指している。

 だが、俺自身は神聖皇帝にも銀河統一帝にもならん」


セリオンは困惑した。


「まさか、父上はあくまで元帥として最後まで帝国を支えつつ、

 私の代で神聖皇帝、そして銀河統一帝になれとおっしゃりますか?」


ラートリーは首を横に振った。


「それも間違っている。

 お前を神聖皇帝にも銀河統一帝にもさせぬ。

 お前も元帥までだ」


セリオンは眉をひそめた。


「……と申されますと、父上の真意は?」


ラートリーは息子を見つめた。


「分からぬか?俺がなぜお前の身を案じ続けたか考えてみよ。

 お前には俺以上の価値があるからだ。

 ただそれだけだ。それ以上の期待はお前にはしておらん」


セリオンは精一杯不服を隠し、冷静に返した。


「私に父上以上の価値があると?」


ラートリーは頷いた。


「そうだ。かつてお前に言った言葉を覚えているか?」


セリオンは少し考え込んだ。


「確か……。

 『お前にはいずれもっと重要な役目を与える。

 それまで研鑽を怠るな』……でしたか?」


「そうだ。よく覚えていたな。

 お前には重要な役目が待っている」


セリオンは静かに尋ねた。


「ウララ――ですか?」


ラートリーは微笑んだ。


「さすが俺の子だ。

 察しがいいな。お前をウララの皇配にする。

 さすがに俺ではあの小娘に釣り合わん。

 だが、お前なら誰からも文句は出るまい」


セリオンは冷静に答えた。


「まずは外戚となられるおつもりですか?

 意外と俗な方法を取られるのですね」


ラートリーは笑った。


「俗か。

 面白い観点だな。

 だが、俺はこの”俗な”方法で銀河統一を行う」


セリオンは理解した。


「……つまり、私がウララに子を産ませ、その私の子に銀河統一帝を?」


「そうだ。俺やお前は元帥としてまだ見ぬ子を支え続けるのだ」


セリオンは尋ねた。


「なぜそこまで?」


ラートリーは星を見上げた。


「ウララの子は、今でも神帝と敬われる、

 あのココ先帝陛下の皇孫にあたる。

 俺やお前が譲位を受けたところで、

 完全な支持は受けられん。

 だが、ウララの子であれば……、ココ先帝陛下のお孫であれば

 話が変わる。

 初代銀河統一帝はココ先帝陛下の血脈こそが最もふさわしいのだ」


セリオンは深く一礼した。


「分かりました。父上の意向には従います。

 ただ、私がウララの皇配になるのは、ある意味で

 最も難易度の高い選択かと思います」


ラートリーは笑った。


「ふははは、そう思うか?その通りだ。

 シズクとトウガの最大の妨害に合うだろう。

 だがそれを越えて、この婚姻を成し遂げられるように謀れ」


「は!」


セリオンは心の中で呟いた。


(父上の真意が読めぬ。父上はなぜにこうも非効率な手法を取られる?

 もし私を皇配にするのであれば――

 やはりシズクとトウガは排除しておくべきだったのでは?)


ラートリーは真剣な表情で言った。


「セリオン、お前が皇配になるまでは、何が何でもウララを隠し通すのだ。良いな?」


「は!」


セリオンは再び一礼し、退室した。


一人残されたラートリーは、再び星を見上げた。


(俗な方法か、よく言ったものだ、ふはははは)


彼は微笑んだ。

この俗な想いこそが、ラートリーという人間の……

隠された唯一の人間性に起因するとは誰も知る由がなかった。

★★ライト層読者さんへの簡単説明コーナー★★

挿絵(By みてみん)

はーい!作者子ちゃんによる、簡単に説明するコーナー!

硬派な人はスルーしてくださいね。ちょっとやってて恥ずかしいので…。


第七十二話「次の一手」、今回は各陣営の次の動きが描かれました!


トウガさんの私邸でのミオリちゃんとレオンくんの様子、めちゃくちゃ微笑ましかったです!

トウガさんが話を中断されてミオリちゃんに怒られるシーン、笑っちゃいました!

そして、レオンくんがイレーネさんに「手伝わせてくれ」って言うシーン、14歳とは思えない覚悟ですね!

「俺はイレーネの手法を学びたい」って、将来有望すぎます!

でも、今回の一番の衝撃は、ラートリーさんとセリオンくんの会話でした!

ラートリーさんの真の目標が「銀河統一」で、しかも自分じゃなくて「ウララとセリオンの子に初代銀河統一帝を」って……!

これ、めちゃくちゃ壮大な計画ですよね!


「ココ先帝陛下の血脈こそが最もふさわしい」って、ラートリーさん、本当に何手も先を読んでます!

そして、最後の一文「この俗な想いこそが、ラートリーという人間の……隠された唯一の人間性に起因する」って、すごく気になります!


ラートリーさんにも、何か隠された想いがあるんですね…。

次回も、絶対見逃せませんよ~!

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