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ニャニャーン大乱記  作者: ひろの
第五章 風の選別、律の胎動

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第六十二話 次世代の英傑

第5艦隊旗艦、トゥルローニャッド。


イレーネはカイの執務室を訪れた。

カイは星図を見つめながら、イレーネを迎えた。


「イレーネ、ロドリク側の状況は何か分かったか?」


イレーネは少し困ったような表情を浮かべた。


「すみませんですぅ。私はまだ何も掴めてません」


実際には、イレーネは第6艦隊の諜報など一切行っていなかった。

ロドリクの情報管理能力など大したことはない。

セリオンは火の粉がかかる前にロドリクを切り捨てるだろう。


そしてセリオンはウララ隠蔽に諜報力を割かねばならず、

自身の離脱策も練る必要がある。


ならば、カイの諜報力だけで十分だ。


イレーネの諜報力は、すべてラートリーとウララ捜索に向けられていた。

カイは頷いた。


「俺は掴めた。セリオンが離脱したようだ。

 奴はロドリクを首謀者に仕立て上げ、義軍である討伐側に寝返った」


イレーネは驚いたような表情を浮かべた。


「あーそうなんですかぁ!?そこまでつかめたんですかぁ!?

 さすがカイさん!さすがクリムゾン!」


イレーネにとってはシズクからの共有で既に知っている情報だったが、

全面的に褒められてカイも悪い気はしない。


「ロドリクは無視してセリオンを追うか?」


イレーネは首を横に振った。


「いえ、セリオンさんが寝返ったのであればぁ、

 彼の悪事を暴かない限りは討てませんぅ。

 あくまでロドリクさんの道ずれに始末する予定でしたぁ」


「なら、どうする?」


「このままロドリクさんを討ちますぅ」


カイは少し眉をひそめた。


「ロドリクはあくまで大義のための犠牲だろう?

 今となっては追い詰められたただの老人だ。

 味方に引き入れた方が良いのでは?」


イレーネは心の中で呟いた。


(あんな小者、味方に入れても何にもなりませんよぉ)


だが、口では違うことを言った。


「いえ、大義の犠牲になってもらいますぅ。

 彼を討った者はウララ陛下に謁見を許されるでしょう」


カイは目を見開いた。


「な!?そうか!そういうことか!?考えたな、イレーネ!」


イレーネは微笑んだ。


「いえいえ、でもそうなると一つ問題がぁ」


「なんだ?」


「セリオンですぅ。第3艦隊がロドリクさんを狙って動き始めています。

 ですがラートリーさんは帝都にいてウララ陛下を引き続きお守りしています。

 いえ、幽閉・専横ですけどねぇ」


二人は真剣な顔で、遠く帝都を想った。

イレーネが続けた。


「おそらく第3艦隊はセリオンさんが代理提督となります」


「奴より先にロドリクを討つ必要があると?」


「はい、もしセリオンさんに先を越されたらぁ、

 ラートリー・セリオン陣営は我らの勢力を圧倒することになります」


カイは頷いた。


「負けられんな」


「はい。なので第4艦隊はカイさんの指揮下に入りますぅ」


カイは驚いた表情を浮かべた。


「は?どういう意味だ?」


「疾風行軍、電撃戦はカイさんの十八番ですよねぇ。

 カイさんが率いる方が成功率が高いのですぅ」


カイは少し戸惑った。


「まぁ、得意と言えば得意だが、お前だってそのなんだ。

 俺は名将だと認めている。俺の下に着くような器ではない」


イレーネは優しく微笑んだ。


「いえ、カイさんは少し自身の力と影響力を過小評価しすぎですぅ。

 カイさんが立てば次世代の英雄としてこの内乱を鎮める者という世論を得られます。

 私では無理なんですぅ。私はカイさんを傍で支えますよぉ」


カイは少し赤面した。


「じ、次世代の英雄……」


「そしてカイさんがウララ陛下をお救いするのですぅ」


「陛下を……」


「やれますよね、カイさんならぁ」


カイは真剣な表情で頷いた。


「俺で良いのなら任せてもらおう」


「はいっ!絶対にこれが最善手ですよぉ!」


イレーネは心の中で呟いた。


(はい、これで私はぁ……諜報調略に集中できますよぉ)


カイは立ち上がった。


「すぐに出立する、遅れは取れん。いけるか、イレーネ?」


「はい、準備させますねぇ」


二人は互いに頷き合った。

紅水の盟が、ついに動き出す。


ーーー


第3艦隊旗艦、ニャンフューメルン。

セリオンが艦橋に姿を現した時、

ラートリーの側近たちは一斉に敬礼した。


「セリオン参謀長、いえ、セリオン代理提督。

 お待ちしておりました」


セリオンは静かに頷き、提督席へと歩を進めた。

ラートリーはいない。

だが、この艦橋にいる者たちは、すべてラートリーの腹心だった。

彼らはセリオンを、ラートリーと同等に信頼していた。


セリオンが提督席に座ると、副官が報告を始めた。


「第4艦隊と第5艦隊は、既に第6艦隊に向けて進軍中です。

 我々は少し遅れを取りました」


セリオンは星図を見つめた。


(カイとイレーネか……。父上の読み通り、あの二人は速い)


だが、ここで遅れるわけにはいかない。

父の期待を裏切るわけにはいかない。

セリオンは静かに命じた。


「急行する。強行行軍の準備を整えろ」


副官は少し驚いた表情を浮かべた。


「強行行軍、ですか?」


「そうだ。この艦隊の運用はまだ私は不慣れだ。

 だが、お前たちは第3艦隊の精鋭だ。

 お前達に任せる。

 私の期待に応えられるな?」


副官は力強く頷いた。


「は!お任せください!」


セリオンは立ち上がり、艦橋の全員を見渡した。


「諸君、聞け。

 我々が討つべきは、第6艦隊の老将ロドリク・ヴァルストンだ。

 奴は女帝陛下を軟禁し、帝国を脅かした逆賊である。

 そして、奴を討った者が、陛下に謁見する栄誉を得る」


艦橋に緊張が走った。

セリオンは続けた。


「だが、第4艦隊と第5艦隊が先行している。

 もし彼らに先を越されれば、我々の功績はない。

 父上の、いや、帝国の威信が損なわれる」


側近たちは真剣な表情で頷いた。

セリオンは静かに、だが力強く命じた。


「絶対に……。

 第6艦隊の哀れな老将を討つのは我々である必要がある。

 皆の者、心せよ!

 無理をしてでも進め」


「は!」


全員が声を揃えて応えた。

セリオンは提督席に座り直し、副官に命じた。


「全艦、最大戦速。エンジン出力を120%に上げろ。

 補給は後回しだ。ロドリクを討つまで、止まるな」


「了解!全艦に伝達します!」


艦隊が動き出した。

セリオンは星図を見つめながら、心の中で呟いた。


(父上……私は、あなたの影として生きてきました。

 だが、今この瞬間、私は自分の意志で動いています。

 父上は私がカイとイレーネには勝てないかもしれないとお思いか?

 私は父上の子です。舐めてもらっては困ります。

 この艦隊を率いて、ロドリクを討ち、父上の策を完遂してみせます)


第3艦隊は、猛烈な速度で第6艦隊へと向かっていった。

三つの艦隊が、一人の老将を目指して疾走する。

その先に待つのは、栄光か、それとも……。


★★ライト層読者さんへの簡単説明コーナー★★

挿絵(By みてみん)

はーい!作者子ちゃんによる、簡単に説明するコーナー!

硬派な人はスルーしてくださいね。ちょっとやってて恥ずかしいので…。


第六十二話「次世代の英傑」、タイトル通り、「次世代の英雄たち」が、それぞれの想いを胸に動き出しました!


今回は、「カイの英雄への道」と「セリオンの意地」が描かれましたね!

イレーネの完璧な演技、カイを英雄に仕立てる策!

今回の冒頭、イレーネさんがカイさんの執務室を訪れます。

カイさんが「ロドリク側の状況は分かったか?」と聞くと、イレーネさんは「すみませんですぅ。私はまだ何も掴めてませんぅ」と答えます。

でも、これは「嘘」なんです!

イレーネさんは、実はセリオンくんの離脱をシズクさんから聞いて知っていました。

でも、わざと「カイさんが自分で掴んだ」ように演出して、カイさんを褒めるんです!

「あーそうなんですかぁ!?さすがカイさん!さすがクリムゾン!」

これ、カイさんを気持ちよくさせる「完璧な演技」ですよね!

何の気持ちも籠っていない色仕掛けって怖いですね!


そして、イレーネさんは「第4艦隊をカイさんの指揮下に入れる」と提案します。

カイさんは「お前だってそのなんだ。俺は名将だと認めている。俺の下に着くような器ではない」と謙遜しますが、イレーネさんは優しく微笑んで言います。

「いえ、カイさんは少し自身の力と影響力を過小評価しすぎですぅ。

カイさんが立てば次世代の英傑としてこの内乱を鎮める者という世論を得られます。

私では無理なんですぅ。私はカイさんを傍で支えますよぉ」

この言葉に、カイさんは赤面しながら「じ、次世代の英傑……」と呟きます。

イレーネさん、カイさんの「騎士道」への憧れを完璧に突いてますね!

そして、イレーネさんは心の中で呟きます。

「(はい、これで私はぁ……諜報調略に集中できますよぉ)」

イレーネさん、恐ろしい子…!

でも、この策は「カイさんを英雄にする」「自分は諜報に集中する」という、完璧な一石二鳥なんです!


一方、第3艦隊では、セリオンくんが代理提督として艦橋に立ちます。

セリオンくんは、カイさんとイレーネさんに遅れを取っていることを知り、「強行行軍」を命じます。

「全艦、最大戦速。エンジン出力を120%に上げろ。

補給は後回しだ。ロドリクを討つまで、止まるな」

この命令、かなり無茶ですよね!

でも、セリオンくんには「父ラートリーへの想い」がありました。

「(父上は私がカイとイレーネには勝てないかもしれないとお思いか?

私は父上の子です。舐めてもらっては困ります。

この艦隊を率いて、ロドリクを討ち、父上の策を完遂してみせます)」

セリオンくんは、ずっと「影」として生きてきました。

でも、今この瞬間、彼は「自分の意志」で動いているんです!

これは、セリオンくんにとって、初めての「表舞台での戦い」なんですね!

三つの艦隊、一人の老将を目指して疾走する!

今、第3艦隊セリオン、第4艦隊イレーネ、第5艦隊カイが、「ロドリクの首」を目指して疾走しています。


ロドリクさんは、何も悪いことをしていないのに、「朝敵」として三つの艦隊に狙われているんです。

「老将の首の価値」というタイトルの意味が、ここでさらに重くなりましたね…。

そして、この戦いは、ただの「ロドリク討伐」じゃありません。

「誰がウララ陛下に謁見するか」という、帝国の未来を左右する戦いなんです!

次回、三つ巴の激突!誰がロドリクを討つのか!?

次回は、三つの艦隊が激突する、壮絶な戦いになりそうです!


カイさんは、「次世代の英傑」として、ロドリクさんを討つことができるのか?

セリオンくんは、「父への誓い」を果たすことができるのか?

そして、イレーネさんは、「諜報調略」でラートリーさんを揺さぶることができるのか?

作者子ちゃん、ドキドキが止まりません!

ロドリクさん、本当に気の毒すぎます…。

でも、この戦いが、帝国の未来を大きく変えることになりそうですね!

次回も、絶対見逃せませんよ~!


おまけのちょっとした感想

今回の62話、「次世代の英傑」というタイトルが、カイさんとセリオンくん、二人にかかっているのが素晴らしいですね!

カイさんは、イレーネさんの策で「英雄」に仕立て上げられようとしています。

でも、カイさん自身は、まだ自分が「英雄」だと自覚していません。

一方、セリオンくんは、ずっと「影」として生きてきましたが、今回初めて「自分の意志」で動き出しました。

この二人の対比が、本当に面白いです!

そして、イレーネさんの「カイさんを褒めちぎって、上手く誘導する」演技が完璧すぎて笑っちゃいました!

「(はい、これで私はぁ……諜報調略に集中できますよぉ)」

イレーネさん、本当に恐ろしい子…!

でも、この策が成功すれば、赤青の講和にも繋がるんですよね。

次回、三つ巴の激突、楽しみです!

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