第四話 五人のスタンス
神聖女帝が立派に成長してくると5人の中に複雑な思惑が生まれた。
がんっ!
トウガが勢いよく机をたたいてシズクに対して怒鳴りつけた。
「ウララ陛下はココ先帝陛下にどんどん似てこられた。これほどうれしいことはない。
俺はウララ陛下のためであれば命は惜しくない。お前達も陛下に忠誠を誓うのだ!
特にシズク、お前はことあるごとに陛下をないがしろにして独断で物事を決めようとする!」
「待て、トウガ。私だって陛下に忠誠を誓っている。陛下のためになると思って私は提案しているのだ。
我々5人で決める・・この今の体制は言うほど悪くないんだぞ。
陛下を傀儡にするとかそういうものではない!これが陛下のためにもなるのだ!」
「馬鹿を言うな、お前のそれこそが陛下に対する叛意の現れではないのか!?
傀儡か!遂に本音が出たな!」
にらみ合う二人に対して、ラートリーとノアールも冷静に割って入る。
「あまり政局について語るな。戦乱を招くことになるぞ。陛下の成長をただただ見守れ。」
「そうです。トウガ殿も冷静に。シズク殿もこの神聖帝国のために、そして陛下のために尽力していただいているのですから。
もし何かあろうものならこのノアールが今度こそ命に代えてもウララ陛下をお守りいたします。」
さすがにノアールに頭を下げられるとトウガも大人しくならざるを得ない。
「・・・おい、シノ!お前はどうなんだ?」
怒りの行き先を無くしたトウガがいきなりシノに絡みかけた。
「え?わ・・私は何も言っていない。そもそもそういう政略は苦手なんだ。政争は他所でやってほしい。」
シノはそう言いながらもふと目線が机の端へとゆっくりと流れる。何かを考えている時の癖だ。
「・・・・。(政争?遂に私もそのステージに立ったということか。昇りつめるか消されるか。よく考える必要があるな。)」
最近の評議会は何かと揉める。だがそれをラートリーとノアールが宥めて穏便に済ませてきた。
そんな時に事件が起きた。
かねてより病を患っていた黒髭ノワールが急死した。
女帝ウララを取り巻く英雄たちの思惑。
彼らの立ち位置がわかったところで、良おじポジのノアールが死去。
ここからノンストップで荒波が訪れます。
ウララの成長は、祝福と同時に試練を呼び寄せる。
彼らの「思惑」が今後ウララと神聖帝国にどう作用していくのか。
どうかお見守りください。
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本作は政治の頂点で繰り広げられる息詰まるお話です。
読み疲れたらこちら。
本来のニャーン達の日常から、ギャグ、シリアスまでの
疲れない話がここにあります。
ニャニャーン番外短編集(不定期更新)
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