第四十一話 陰る友情
第四章 赤青の徒花
レイナは冷静と忠義の狭間で揺れ、
エリスは絆と激情の中で、家族を守る烈花となった。
ノアはその命を捧げ、帝国の空に静かな曇りを残した。
シズクは策を巡らせ、ラートリーは毒を撒き、トウガは祈るように見守った。
咲き誇る花々は、まだ散らず、ただ揺らぎの中に立ち尽くす。
帝国は、春の終わりを知らぬまま、次なる季節へと歩み始める。
赤は情熱、青は理知。
神聖帝国に二つの花が咲き乱れようとしている。
それは、忠義の残響か。
それとも、野心の亡霊か──。
世間では反乱未遂が何事もなく鎮圧され、平和が維持されたことに皆が安堵していた。
それと同時に英雄トウガの三男 ノア・クリムゾン中将がこの反乱鎮圧において尊い犠牲となったことが周知され、若き英雄の死を惜しみ、その勇敢さと、国に対する忠義を称えた。
だが実際はそんな簡単な話ではなかった。
ノアの葬儀には顧問メンバー含め、大貴族達が参列した。
「トウガ。」
葬儀の場で重い空気を背負って立つトウガに向けてシズクが静かに呼びかけた。
「ん?シズクか。」
「すまなかった。」
「何のことだ?」
「私が人選を誤った。無理をしてでもお前に行かせてやればよかった。」
「いや、お前は間違っていない。
エリスが行って救えなかったのなら俺が行っても同じだ。」
黙っているシズクに対してトウガが声静かに続けた。
「悪いのは俺だ。
あの場にノアを送り込んだのは俺だ。何も調べもせずに。
それともお前はあの場にセフィがいることを知っていたのか?」
シズクは表情を変えず、いや、少しばかり申し訳なさそうにうつむき答えた。
「悪いが把握していなかった。あんな小者にまで目を配る余裕は、私にはなかった。」
「だろうな、その言葉が一番お前らしくて嘘をついていないのがわかる。
俺なんだよ、エリスでもレイナでもお前でもなく。
俺が・・ノアを死地に送ったんだ。」
シズクはそっとトウガの肩に手を置き、しばらく無言を貫いたあと、言葉を添えた。
「あまり気に病み過ぎるな。お前の今の姿を見てノアが喜ぶと思うか?
私は気の利いたことは言えん。だが、立ち直れ、トウガ。それがノアのためだ。」
トウガはゆっくりと視線を上げると寂しそうな笑顔を作った。
「お前も人に対して気を使えるようになったんだな。
ありがとう、心配するな。俺は親であると同時に、武人だ。
常に覚悟はしている。もう少しだけ、時間をくれ。」
シズクはゆっくりと肩から手を離した。
だが、トウガ以上に憔悴している者がいる。
エリスだ。
レイナは心配そうに遠目にエリスを見つめている。
何度エリスの傍に寄り添おうかと考えたことか。
その度に一歩を踏み出せなかった。
エリスは目を腫らして泣き崩れている。
そして、その周りにはトウガの息子達、カイ、リオ、レオンが囲み、エリスを励まし続けていた。
家族の情を理解できないレイナはその中に割り込んでいく勇気を持てなかった。
レイナは地面を凝視し、その後、空を見上げた。
そして再びエリスを見つめる。
レイナは、エリスの元へは向かわず、反転してトウガの元へ歩みだした。
「トウガ殿・・・。」
「ん?レイナか。」
「はい、この度は私がついておきながら、ノア殿を守り切れず・・・・。
大変申し訳ありませんでした。」
深々と頭を下げて謝罪した。
「レイナ、よせ。お前は悪くない。」
「いえ、私が未熟だったせいでノア殿を失いました。
これは私の責任なんです。」
トウガは優しくレイナの頭を撫でた。
「違うぞ、レイナ。お前は悪くない。戦場とはそういうものだ。
お前は今後この神聖帝国を背負って立つ身だ。
ここで立ち止まるな。」
「トウガ殿・・・・。
私は・・・・今、エリス殿に合わせる顔も、言葉もありません。
もし・・・。彼女が少しでも立ち直ることが出来ましたら
私にお知らせください。
彼女にも・・・心から詫びたいのです。」
トウガは撫でる手をとめ、ゆっくりと離して、レイナと向き合った。
「わかった・・。ありがとうな。そしてこれからもエリスを支えてやってくれ。」
戦勝とは名ばかりな暗い空気が神聖帝国を覆っていた。
後日、国務会議にて。
ウララの意向によりエリスはしばらくの休暇が与えられた。
その頃にはトウガは立ち直り、外交中で不在のラートリーを除いて
シズク、トウガ、レイナの三人が国務会議でウララを支えていた。
「陛下、この報告書をご覧ください。」
レイナが議題を提案し、その資料を皆に展開した。
「アレクシス・ヴァルメル侯爵は今回の反乱に加担しておりません。
ですが、これらの状況証拠と各種の証言により、彼がヴァルドに
セフィを派遣した張本人であることは明白です。
陛下、どうかこの私にヴァルメル討伐の勅命を頂きたく。」
「・・・こいつがセフィを。確かに報告書に矛盾はない。
貴族連合に対して、見せしめのためにも、こいつを討伐することに異論はない。」
トウガが静かに賛意を示す。
シズクも黙ってうなずく。
二人の賛意をくみ取ったウララはレイナの意見を承認した。
「わかりました。ヴァルメル侯爵討伐の勅命を与えます。
ですが、レイナ。できれば穏便に済ませてください。
あなたも失うわけにはいきませんし、国民の不安を煽りたくはありません。」
「は!承知いたしました。善処いたします。」
こうして、レイナの第4艦隊はグレイモアの乱の後始末の一環としてヴァルメル討伐に遠征した。
ヴァルメルは最早戦意をもたず、レイナの到着と同時に無条件降伏を宣言した。
領地と爵位を返上する代わりに、自身と家族の命の保証を求めた。
レイナはそれを受諾し、彼を捕縛して、帝都へ送還するとともに、彼の領土の接収作業に取り掛かった。
レイナがその遠征によって長期に帝都を離脱している間。小さな出来事が起きていた。
少しずつ気持ちを落ち着けてきていたエリスは、帝都の皇宮の庭園にある噴水傍の椅子に座り、水の流れをただ静かに眺めていた。
「エリス殿」
急に呼びかけられて驚いたエリスは声がした方向を見た。
「あ・・貴殿は・・・」
「セリオンです。ラートリーの嫡子で、その名代として葬儀でご挨拶させていただきました。」
「あぁ、セリオン殿か。」
「この度は誠にご愁傷様でございました。」
ラートリーに関しても一定の不信感をもつエリスはその嫡子であるセリオンの言葉を無視する。
「実は・・ノア殿の死に関して、少々不穏な点がございまして・・・。」
さすがにこのことに関してはエリスが反応する。セリオンを睨みつけた。
「軍監の報告書を熟読いたしました。この一件、不審な点が多すぎます。
まずセフィがエリス殿の補給状況を熟知していたこと。」
エリスは睨みつけたまま、ゆっくりと反応する。
「それは私達が駆け付けるまでの日数から逆算しても、十分な補給が受けられていなかったと誰しも考える。」
「はい、ですが、私なら少しは警戒します。
もし、第4、第5艦隊にあらかじめ物資が積み込まれていたらどうですか?
補給のタイミングまで外部の人間が完璧に把握できますか?
直前の遠征で十分物資が積み込まれている可能性はあります。
また、武装のアップグレードの際に積み荷を置き換えることもよくあります。
なぜ実弾兵器がないと断定できますか?」
「貴殿は内通者がいたと・・・そう言いたいのか?」
「それは可能性の一つです。これだけであればただの可能性で終わります。
話を進めますよ。」
そして彼は手元のタブレットに艦隊戦の布陣状況の動画を投影した。
「ここです。」
ある一定の箇所で動画を止める。
「エリス殿は違和感を感じませんか?」
今までこの戦いについて振り返りを行っていなかった。違和感?
そんなことを考えたこともなかった。
「なぜ、レイナ殿はこの場所から動かなかったのでしょうか?」
少しだけエリスは考え込む。
「・・レイナはノアを守る必要があった。
ノアの艦隊は最早まともに動くことも戦うこともできない状況だ。
ここで、彼らを守りつつ、戦闘に加わるレイナの戦術には合理性がある。」
セリオンは顔色一つ変えずに反論した。
「それはこれを記載した軍監の報告内容ですね?
あの軍監の才ではそう分析せざるを得ないでしょう。
ですが、私はそうは思いません。
では、聞きます。
セフィの立場になったとして、エリス殿とレイナ殿に囲まれたこの状況で
無理にノア殿を狙いますか?
もしノア殿を狙うならば合流する前に撃破します。
そして両名との戦闘に注力することでしょう。」
エリスは黙って布陣を見つめる。セリオンはそんな彼女に対して
さらに捲し立てた。
「それにです。私がレイナ殿であれば、ここはこう動いて、敵の横腹を突きます。
これまでのエリス殿とセフィの戦いを見ていれば前面シールドに出力が注力されていたのは明らかです。
横から突撃すると間違いなくセフィ艦隊に大打撃を与えることできます。」
ここまで聞いてエリスもようやく違和感を感じ始めた。
「では、なぜそうしなかったと思いますか?
私は1点仮説を立ててみました。そうすると全ての違和感が解消されたのです。
レイナ殿はエリス殿を見殺しにしようとした。
最初から今回の戦いの狙いはエリス殿だったのです。
セフィがノア殿にとどめを刺さなかった。
敵に補給が不十分であると知らせるようにゲートウェイ起動を急がせた。
あるいはもっと直接的に情報を提供していたとするならば・・・・。
そして、最後のこの攻撃・・・。
普段のレイナ殿であれば敵の弱点を見出せないわけがない。」
エリスの心に小さいな一石が投じられた。それは波紋として次第に大きく広がっていく。
「だが、ここでレイナ殿の最大の読み違え。
それはノア殿とエリス殿の家族としての強い結びつきです。
彼女の生い立ちからして、家族というものの温かさには触れたことがないのでしょう。
まさかあそこでノア殿が命を賭けてエリス殿をお救いするとまでは想像がつかなかったのでしょう。
彼女の策は成就せず、今の状況があると考えると全てにおいて合点がいくのです。」
エリスは顔色一つ変えずに、そのまま真面目な顔でセリオンに反論した。
「・・・セリオン殿。面白い仮説だ。
でもそれはあり得ない。レイナに限ってそれはない。
あまりそういう不確かなことは言わない方が良いぞ。」
「あぁ・・そうでした。申し訳ございません。
私は父の血を色濃く継いでしまっており、少々心配性なところがあります。
本当に困った短所です。時々自分自身で嫌になります。
若輩の戯言として一笑に付してください。
いやはや・・・お気を悪くされたなら本当に申し訳ありません。
この事はどうかご内密に。父に知られたら叱られそうです。
それにこれ以上帝国に不穏な種をまきたくもありませんしね。
それでは失礼させていただきます。」
最後は冗談だったかのように誤魔化しながらセリオンは立ち去った。
だが、この一石、セリオンにとっては満足のいくものだった。
立ち去るセリオンに不穏な笑みがこぼれた。
★★ライト層読者さんへの簡単説明コーナー★★
はーい!作者子ちゃんによる、簡単に説明するコーナー!
硬派な人はスルーしてくださいね。ちょっとやってて恥ずかしいので…。
第四章に突入しましたね!
まるで物語のプロローグみたいで、作者子ちゃんもワクワクが止まりません!
赤は情熱のエリスさん、青は理知のレイナさん、そして、二人の友情の行方…。
そして、今回のお話のポイントは、**「ラートリー親子の恐ろしさ」と「エリスさんの心に投げ込まれた、小さな石」**です!
まず、ノア君の葬儀。
トウガさんは、息子を失った悲しみで深く傷ついていましたが、シズクさんの言葉で、何とか立ち直ろうとします。
一方、エリスさんは、ノア君の死に打ちのめされ、レイナさんはそんなエリスさんの姿を見つめることしかできませんでした。
「家族」という絆を持たないレイナさんには、エリスさんたちの悲しみに、どう寄り添えばいいのか分からなかったんですね…。
そんな中、今回、ラートリーさんの息子、セリオン君が本格的に登場しました!
彼は、ノア君の死に関して、エリスさんに**「ある仮説」**を語り始めます。
それは…**「レイナさんは、最初からエリスさんを見殺しにしようとした」**という、恐ろしい仮説でした!
セリオン君は、冷静に、論理的に、その仮説を裏付ける証拠を次々と突きつけていきます。
セフィさんがエリスさんの補給状況を把握していたこと。
レイナさんが敵の弱点である「横腹」を突かなかったこと。
レイナさんが「家族の絆」を理解できなかったこと。
これを聞いたエリスさんは、最初は「そんなはずない!」と否定しますが、セリオン君の言葉は、エリスさんの心に**「小さな石」を投げ込みました。
そして、その石から広がる波紋は、次第に大きくなり、彼女の心に疑い**を生み出していきます。
「自分にとって大切な友達だと思っていたレイナさんが、もしかしたら…」
この疑いが、今後の二人の関係に、大きなヒビを入れていくのかもしれません…。
しかも、セリオン君、最後に**「父に知られたら叱られそうです」なんて言って、立ち去るんですよ!
もう!この親子、人の心の弱みにつけこむのが得意すぎます!
まさに、「腹黒親子」**です!
今回の事件の本当の恐ろしさは、ノア君の死ではなく、この**「小さな疑いの種」だったのかもしれません。
そして、その種が、エリスさんとレイナさんの友情という花を、「裏切りの徒花」**へと変えてしまうのか…。
次のお話が、もう、気になりすぎて、作者子ちゃんも心臓が張り裂けそうです…!
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あとがき
新章スタートです。2話分に拡張してお届けしました。
このお話は「友情が疑念に変わる瞬間」を描いた、心理戦の再起動です。
セリオン・・ラートリーの生き写しのような彼が遂に表舞台に現れました。
この章は、嵐の予感しかしませんが、皆さまも同様でしょうか?
そして赤青の徒花の意味、皆さまには未来が見えておりますでしょうか?
ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。
もしよろしければ、次の読者への道標に、評価やブクマをお願い致します。
オマケ
■■覇を争う者達■■
蒼氷の剣 シズク・アジュール女公 (37歳)
皇族にして、自身も継承権8番目に連なる公爵家の当主である。
多才であり、その統率力は歴代最高とも評されながらも、政治、策謀においても隙がない。
観察癖があり、微細な違和感からも相手の心情や、事態のリスクを察知することが出来る。
冷静沈着だが、意外と沸点が低く周りから恐れられている。
幼少時、愛情を一切得られなかったため、心が壊れているとラートリーに分析された。
彼女自身は野心の塊であったが、後継者のミオリを出産し、母となってから自分自身に違和感を感じている。不器用ながら娘、ミオリを可愛がっており、その母性から彼女のために平和な帝国を作る決心するなど、内心の変化がみられる。
神聖帝国の”蒼氷の剣”の尊称を持ち、敵艦隊から恐れられている。
ミオリが産まれ、母となったことでステータスにも変化が。
良くも悪くも知力が少し鈍ったせいでラートリーに溝をあけられた恐れも。
初期能力値はEp3にまとめてあります。
赤炎の槌 トウガ・クリムゾン公爵 (43歳)
ココの従姉妹を妻として娶っており、皇族の一員である。
公爵家の当主であるが、トウガを含めた過去三代の当主は全員宇宙軍大将を務めて主力艦隊提督に任命されている生え抜きのエリートである。
元々優秀な一族であったが、その中の過去最高の逸材と謳われた猛将である。
忠誠心が強く、熱血で、情にも厚いため、人望を集めている。
兄弟がいなかったため、大家族に憧れており、自身は四児の父で全員男児。
親子ほどの年齢差がある従妹のエリスも養女に迎え入れている。
単細胞と思われがちだが、相手の心情や物の真偽を見抜く力を有しており、この政治の世界でも図太く生き抜いている。
あまり人を貶さない善良な人物だが、もちろん政治家でもあるため、合理的な判断もできる。
娘を持ち、少し変化があったシズクとは以前ほど衝突しなくなった。
彼の旗艦は深紅に染め上げられ黄金の波目模様がアクセントの勇壮な弩級戦艦〈トゥルフニャッド〉
神聖帝国の”赤炎の槌”の尊称を持ち、シズクと並んで帝国の2大最終兵器と敵艦隊から畏怖の対象となっている。
緑風の策士 ラートリー・ヴァーダント侯爵。 (44歳)
自身は伯爵家の出だが、天才的な軍略で敵を打ち破り現在は侯爵位を受けている。
かつて爬虫類星人との戦争時に彼が率いる第4艦隊一つで、その捉えどころのない画期的な戦術のもとに3つの艦隊を撃滅した。
皇族ではないため、常に一歩引いた位置で控えめにふるまっている。
シズクとは策略家としてのライバル同士でお互いが認めつつも、警戒しあっている。
何を考えているか読めぬ──それゆえ、最も危険な男。
今までは帝国の安定を名目に中立を保ってきていたが、最近は暗躍が目立ち、シズクとの衝突が絶えない。
彼の旗艦は緑一色に塗られて一切の装飾がない弩級戦艦〈ニャンフューメルン〉
緑風の策士の異名を持ち、敵提督は最大限の警戒を払うが、それでも彼の策には抗えない
神聖女帝 ウララ・ニャーリ (20歳)
強烈なカリスマをもって、五大将を束ねることができた神帝ココの後継者。
ココの突然の崩御により3歳で帝位を継ぐ。
成長して彼女にもカリスマの片鱗が見え始めたが、物心ついた頃から女帝として周りに愛され、自由に成長したこともあって、考えが甘いところもある。
現在、その甘さから信頼する弟に裏切られ、兄のように慕い、信頼していたジジを失った。
親政を開始、慣れないながらも女帝として経験を積んでいる。
ココの血統は確かでそのカリスマ性は花開きつつある。
静かなる刃 レイナ・ブランウッド侯爵 (26歳)
まるで鏡に映ったシズクのような人物で、冷静沈着、豪胆にして、その知略はシズクも一目置く。
シズクに対する忠誠は絶対であり、シズク自身もレイナのことを特別視している。
自身はシズク同様、家族や親の愛情というものを経験しておらず、他人の心に寄り添うことは苦手にも関わらず、シズクの命令に逆らえずエリスを情を利用して調略しようとしている。
旗艦は青を主体にして茶色のアクセントが施された弩級戦艦〈メルニャルド〉
紅蓮の烈花 エリス・ロゼヴェール侯爵 (24歳)
トウガの従妹で義理の娘。トウガによく似て直情型。
決して愚かな人物ではないが、単純で愚直な性格。
士官学校では人気者でまるで花のように美しさを称えられるが、実際はトウガの継承者とさえみられるほど、勇猛果敢な将。
ようやくトウガと同じ立場である主力艦隊提督に抜擢されたことで、クリムゾン家のために必死に努力をしている。義弟を助けたいという妄執に駆られて、逆にそのせいで義弟を失った。
その影響で心に闇を背負っている。
旗艦は桃色を基調にトウガと同じ金の波目模様が施された弩級戦艦〈トゥルニャーカー〉
出来損ないの御曹司/緑風の影 セリオン・ヴァーダント伯爵 (23歳)
ラートリーの嫡子、この年齢になっても、まだ彼は無位無官でありヴァーダント家の御曹司としてラートリーの手元から巣立ってはいない。
と、ラートリーは世間を欺き、“出来損ないの御曹司”と周囲に吹聴しているが、その実、帝王学、軍学、政治学、心理学──ありとあらゆるものをラートリーが手元に置いて叩き込んでいる。
ラートリーに匹敵する知略を備える。
艦隊を預かっていないため、旗艦も持たない。
※彼らは不老長若種のため、皆が20代くらいの外見を維持している。




