第三話 五大将評議会
第一章 栄光と均衡の終焉
千年に一度の奇跡が顕れた。
神聖女帝ココ──人を見抜き、人を惹きつける天性のカリスマ。
そして彼女に見出された五人の英雄──シズク、トウガ、ノアール、ラートリー、シノ。
彼らはそれぞれが皇帝となり得る器を持ち、時代が違えば玉座に座っていた者たちだった。
この六人が同時代に揃ったことは、神聖帝国にとって祝福であり、運命であり、奇跡だった。
彼らは先駆文明という神にも等しき敵に挑み、技術の壁を越えて勝利を掴んだ。
その勝利は、神聖帝国の歴史を塗り替え、銀河に新たな秩序を刻んだ。
だが、奇跡は永遠ではない。
「銀河は震えた。
先駆が墜ち、
神聖なる旗がその空を覆った時、
誰もが覇者の誕生を信じた。
だが、銀河歴二一一年
──その瞬間、奇跡は裂けた。
女帝ココ、五星を束ねし者、
その命は、技術の刃に奪われた。
五つの星は、光を失いかけた。
だが、それでも帝国は立ち上がる。
忠義の剣を掲げ、
野心の火を胸に、
新たな時代を求めて。
帝国の空に、ひときわ強く輝く五つの一等星。
その中央に 孤独な月が光る──」
神聖女帝ココという強烈なカリスマを失った神聖帝国には、大きな懸念が立ち込めた。
別の時代、別々に生まれれば、皆が皇帝になることが出来たと言われるほどの器量を持つ五大将を、誰が取りまとめるのか?
彼らはこのまま帝国を支え続けてくれるのか?
誰もがそう思っていた。
青髪の提督シズク・アジュール女公。冷静沈着で非情な策略家。その胸に野心を秘める。
赤髪の提督トウガ・クリムゾン公爵。熱血漢で時に熱くなるが、人望も厚い猛将だ。
黒髭の提督ノアール・オブジディアン侯爵。帝国の盾と称され、皆からの信頼が厚い。
緑髪の提督ラートリー・ヴァーダント侯爵。頭の回転が速い天才肌で、何を考えているか読めない男。
黒髪の提督シノ・アンバー辺境伯。野心のためなら何事も利用する利己的な一面を持ち、高みを目指している。
この五人を何とか同じ方向に向かせようと、文官たちは苦心していた。
先代女帝ココの3歳になる娘ウララが、幼くして神聖女帝として即位した。
通常であれば摂政を置くべきだが、五人の力は拮抗しており、誰もがその一歩先に踏み出すことを許されなかった。
文官たちの手配により、五人が「評議会」のメンバーとして同格の立場で女帝を支え、国政を担うこととなった。
だが、この五人が横並びの地位に甘んじるとは誰も思っていなかった。玉座は絶妙な均衡の上に成り立っていた。
元々優秀な彼らだ。互いが支えあっている間は、国内は安定した。
後世の歴史家も、これほどまで評議会政治が長続きした例は珍しいと記している。
これは、五人の力が真に拮抗し、互いに牽制しあった結果に他ならない。
また、実質的にトウガとノアールは女帝派であり、二頭摂政の役割を果たしていたことも、評議会政治が安寧に長続きした要因だった。
そして、十数年が経ち、神聖女帝ウララは15歳になった。彼女は成長するにつれて、母譲りのカリスマの片鱗を見せ始めた。
女帝の成長。それは必ずしも良い結果を生むとは限らない。
★★ライト層読者さんへの簡単説明コーナー★★
はーい!作者子ちゃんによる、簡単に説明するコーナー!
硬派な人はスルーしてくださいね。ちょっとやってて恥ずかしいので…。
女王様がいなくなって、その娘、3歳のウララちゃんが新しい女帝になりました。
普通なら大人が代わりに政治をするんですが、今回はちょっと事情が複雑でして…。
なんせ、最強のサイコパスが5人もいるので、誰かが摂政になると、他の4人から「ずるい!」って言われちゃうんです。
そこで、5人全員で話し合って政治をすることになりました!
今回は、この5人について少しだけ知ってもらいますね。
覚えやすいように、髪の色で覚えてください!
・青髪のポニテガール、シズクさん:万能超人です。何でもできる人と覚えてください。
・赤髪の熱血兄貴、トウガさん:熱血脳筋タイプ!でも、一番信用できそうですね!
・黒髭のイケオジ、ノアールさん:みんなのお父さんポジです。あれ、この人、もしかしてサイコパスじゃない…?
・緑髪の天才、ラートリーさん:何を考えているかわからない天才です。万能超人のシズクさんとどう違うか?ん~、例えるなら、頭の良さがSS級、他の能力はS級って感じですかね?
・黒髪の平民美少女、シノさん:平民努力家です。でも、向上心が強すぎて、ちょっと怖いかも?
今回は覚えること多かったですが、これだけは覚えておくと、物語がさらに面白くなりますよ!
あ・・黒髪が二人・・。
この5人、みんな大貴族です。
順位はこんな感じ!
公爵(女公) > 侯爵 > 辺境伯 ≒ 伯爵
辺境伯は、国のフチを守る伯爵なので、軍事的な権力は強めです。伯爵よりは少し偉いかも?
5人の立ち位置、少し見えてきましたか?
この力関係を頭に入れておくと、これから始まる政治劇がもっと楽しめますよ!
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あとがき
遂に物語が動き始めました。
ウララが凡庸であれば話はシンプルにまとまったのでしょうが・・・。
彼女はココの才能を確かに受け継いでいた。
これが吉と出るか凶と出るか。 英雄たちが蠢くニャニャーン神聖帝国、どうかお見守りください。
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