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ニャニャーン大乱記  作者: ひろの
第二章 忠義と野心の交錯
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第二十八話 逃避行

シノ艦隊は国境星系に向けて逃避行中である。


あまりゆっくりしていると討伐艦隊に追い付かれる恐れがあるが、

かつての祖国でありながらも、もはや敵国の中心にいるような状況であるため

シノ艦隊は必然的に隠密行動を強いられた。


シノは現在、ある程度は立ち直り、自ら国境星系への移動の指揮を執っていた。


見つかればかつての友軍から襲われた。

そしてここまでに既に味方哨戒艦隊を三つ、下部主力艦隊一つを返り討ちにした。

だが、弾薬や装甲、シールド、これらが補給できない孤立艦隊となってしまった今、

出来れば温存してすすみたいものである。


だが、そのような甘い事を言ってはいられなかった。


「前方、第22哨戒艦隊!捕捉されました。」


「撃破する。相手は脆弱な哨戒艦隊だ。被害を抑えつつ、速攻で仕留めるぞ。

 弾薬節約を徹底せよ!全艦戦闘配備!」


・・・・


シノはまた一つ返り討ちにする。


・・・・



レンド中将が疲れた表情で語り掛けた。


「きりがありませんね。

 それにラートリー候の主力艦隊がどこまで迫っているか……。

 星系レーダーとリンクが途切れているせいで全く分かりません。

 目前に急に現れる恐れもあります。

 今のうちに少しでもお休みになってください。」


「ありがとう。でも眠れそうにないんだ。」


「いえ、横になるだけでも違いますよ。」


またも艦隊レーダーに敵影を補足し、警報ランプが点滅する。


「ほら、横にもなれそうにない。」


シノが苦笑いで返す。


「敵艦隊補足! ……海賊団です。」


シノが手元の情報盤に共有された敵情報を流し見た。


「遂に海賊にまで狙われるのか……。」


レンドも自嘲気味に返事をする。


「そうですね。我々には懸賞金もかけられているそうです。

 いや、それよりも提督の首でしょうか。

 シノ提督を討ったとなれば、懸賞金どころか、その名声でこの辺りの

 海賊共をまとめて大海賊団の団長にもなれるんじゃないでしょうか?

 我々の艦隊は補給すらできない孤立艦隊ですから。

 既にシールドを剥ぎ取られた艦船も一定数存在するようですし。」


「大海賊団か……。

 それは少し面白いな。ニャニャーン軍に武勲をくれてやるぐらいなら

 いっそのこと奴らのために、今、ここで負けてやろうか?」


「やめてください。生きていたらきっといつか良いことも起きますよ。」


疲れ切った表情のまま苦笑する。


「じゃあ、もう少しだけニャーン神を信じてみようかな。全艦、戦闘態勢!」


・・・・


いくら消耗していようとも、海賊ごときに遅れをとるシノではなかった。


・・・・



艦隊内には疲れが目立つ。レンドも疲れているはずだが精力的に動き

警戒を怠らず情報を集めていた。

新たな情報を仕入れてシノに提示した。


「提督、かなり弱いですが、敵通信を傍受しました。

 ここからニャラクゥン星系方面に向かえば一番国境に近いのですが

 そこに下部主力艦隊の第6から第8艦隊が集結しているようです。

 偵察機に確認させましたが、それらしき艦影を確認したため、

 情報に間違いはないかと。


 ここは諦めて少し遠回りになりますが、ヘンニャ星系方面に進路を変更しては?」


「……。あ……すまない。少しぼおっとしていた。ヘンニャ星系と言った?」


「はい、ニャラクゥン星系には下部主力艦隊が3艦隊集結しております。

 既に弾薬・シールドを切らしている艦船も増えてきました。

 ここは回避してヘンニャ星系を目指してはいかがかと。」


シノはFTL航路が示された国境内星系図を表示させて眺めている。


「いや、ニャラクゥンに行こう。見て欲しい。

 ニャニャーンから国境まではこのルートが一番近い。」


シノがFTL航路をなぞっていく。そしてレンドも頷いた。


「……確かに。ヘンニャ星系がありますね。」


「つまり、追撃しているラートリー達はいち早く我々に追い付くために

 ヘンニャにおびき寄せたいはずだ。あの報道日から逆算すると今頃

 このヘンニャ辺りに到達していてもおかしくない。

 多少無理な行軍にはなるが、彼らなら無理なく為せるはずだ。」


「となると……。」


「そうだよ。ヘンニャは罠だ。

 だが、そこにラートリー達が潜伏してくれているならば、好都合だ。

 ニャラクゥンの敵艦隊さえ倒せば我々の勝利だ。隣国へ抜けられる。

 あるいは倒す必要はない。無視して最大船速で星系の反対側の端まで突っ切り、

 FTLジャンプできればイリアキテルア聖王国の領国だ。あそこはヒューマノイドの国だ。

 第5艦隊の艦船とその技術情報を提供したら、私達を保護してくれる可能性は高い。

 そもそも、場合によってはニャラクゥンの艦隊自体、下部主力艦隊ではない

 ダミーかもしれない。」


「……。確かに。

 では提督、ご指示を」


シノは疲れが見える部下達を励ますためにも、いつにも増して力強く指示を出す。


「第5艦隊はこれよりニャラクゥンに向かう!

 総員、これが最後の戦いと思ってくれ!

 ここを抜ければ生き残ることが出来るぞ!」


第5艦隊はニャラクゥン星系にむけてFTLジャンプした。


ジャンプを完了すると、直ちに最大船速で国境へ向かった。


ニャラクゥンの恒星の傍を抜け、残り半行程で国境に到達しようとしていた。


その時、前方から第3艦隊、左右の後方から第1艦隊と第2艦隊が現れた。


シノの顔に絶望が見えた。

★★ライト層読者さんへの簡単説明コーナー★★

挿絵(By みてみん)

はーい!作者子ちゃんによる、恒例の簡単に説明するコーナー!

硬派な人はスルーしてくださいね。ちょっとやってて恥ずかしいので…。


今回も解説、任せてください!


作者子ちゃんのFTL航路講座、スタートです!


まずは、星系。これは何かっていうと太陽系みたいな恒星と惑星のグループのことですね。

地球の星系は太陽系なんです。

そして銀河には太陽系みたいな星系が沢山あるんですよ。ヘンニャ星系とかね!


そしてFTL(超光速)航路っていうのは、言ってみれば星系同士をつなぐ銀河の高速道路みたいなものです!


この高速道路、好きな場所にテレポートできるわけじゃなくて、決まった出口(星系)があるんです。

しかも、二つ先の出口には行けません。

A星系から出発したら、FTL航路で繋がっているB星系かC星系にしか行けない、ってことですね。


そして、星系と星系は、光の速さで行くと何百年もかかっちゃうくらい、めちゃくちゃ遠いんです。

だから、みんなFTLドライブっていうすごいエンジンを使って、高速道路を一瞬で移動している、というわけ!いわゆるワープだ!


シノちゃんたちは今、この銀河の高速道路を使い、ひたすら端っこまで逃げているんです。


国境沿い、ニャラクゥン方面かヘンニャ方面か。

どっちから向かったら安全か!


天才シノちゃん、ここで閃いた!

むむむ・・・ニャラクゥンの方に覆面パトカーみたいなのがいるぞ!

よし、ヘンニャから降りよう!

いやいや、これパトカーが偽装で、本当はヘンニャに検問あるだろ。

ニャラクゥンに向かって、そのまま国境まで突っ走れ!!



って思ったら検問の方が偽装だった!って奴です。

高速道路上でパトカーに包囲されてしまいました。



もう、逃げ場がない!


頑張れ、シノちゃん!

応援するぞ、シノちゃん!


この一言で十分ですね!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


まさに「逃避の終わり」と「決戦の始まり」。

シノは三提督の策にはまった。これは彼女の限界か、それとも状況の限界か。


あなたはどちらと思いますか?


次回、第二章クライマックス


誰が彼女を討つのか──あるいは、誰が彼女を救うのか。


見通すことはできますでしょうか?


あなたのシノへの想いをぜひ教えてください。


オマケ画像【本文中には出てこないシーン】

挿絵(By みてみん)

私の物語は全部を語ってません。こんなシーンも隠れてるんです。


ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。


読者が一向に増えないので、作者も迷子になりかけています。

もし何か心に残るようでしたら、評価やブクマ、レビューを頂けたら。

それが次の読者への道標になります。


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