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ニャニャーン大乱記  作者: ひろの
第二章 忠義と野心の交錯
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第二十四話 変わる評議会

ニュクスの乱は決着した。


混乱はあったが、次第に平穏を取り戻す。


評議会にも変化が訪れた。


ジジがいなくなり、会議は四人で行われるようになった。


シノは遠征中のためホログラフでの遠隔参加だ。

彼女は憑き物が落ちたように、軍務に積極的に取り組むようになった。

元々士官学校時代から順応性が高かったが、

今回の政争に懲りた彼女は心を入れ替え、原点を見直したようだった。


彼女は政治ではなく、得意の軍略によって、高みを目指すようになった。

積極的に遠征に出るのは、ウララへの忠義の誓いもあるが、彼女なりの信念を貫く姿勢でもあった。

また、評議会ではシズクとは距離を置くようになり、むしろジジの代わりにトウガを補足して手助けするような場面も増えた。

トウガも、かつて彼女を参謀長として信頼していた頃のように、再びシノを頼るようになっていった。


シズクも時世を読む。

今、自我を優先したところで、得るものはなにもない。


彼女は彼女なりに考え、積極的に政務に尽くした。

ウララが親政を開始したとして、実績と信頼を積むことで発言力を維持することを意識したのかもしれない。


シズクが本気になれば、政務においてもこれほどの成果を挙げるのか──誰もが驚嘆した。


むしろ、軍事や謀略よりも政務の方に適性があるのではと噂する者もいた。


彼女の周りにはあらゆる分野の一流の専門家集団が揃っている。

人を使うのが上手い彼女は彼らの力を最大限にまで引き出した。


「私は提督が性に合っている。政治とは難しく面白くはないな。」


彼女は常々そう言っているが、その実績を見れば嫌味以外に聞こえない。


かつてココの皇配ハルが、ココの親政時に歴代最良の一つとも言える善政時代を築いた。

だが、それに負けないどころか、それを凌駕するほど、シズクの政務は合理的で効率的、

それでいて、民意を正しく分析し、公平かつ公正に応えていた。

また天性の強引さもあって、その緩急自在な判断力は、必要な法律制定の速度感が倍増した。


もし彼女が提督ではなく、この国の宰相を目指していたとしても、

神聖帝国の歴史において、数少ない名宰相の一人として名を成したであろう。


彼女はトウガにない長所を多数持つ。

この調子で実績を残せば、ウララにも重用されることは間違いないだろう。


それを実現しようとして、またしても過剰にその力を発した。

もし、彼女が最初からウララの宰相として、支えていたならば、この大乱の芽は育たなかったかもしれない。


彼女はココの遺児を掲げ、他の四大将を従え、帝位以外の全てを手に入れるという野心を持っていた。

そんな彼女に仮定の話を語った所で意味はない。

そして、彼女がその夢を捨てたかどうかは定かではない。


ラートリーは敢えてシズクの邪魔はしなかった。彼もまた、次の時代の居場所を求めた。

彼はシズクが手を付けていない外交や対外的な諜報活動の指揮を執った。

その辣腕をもって、先帝ココを失って以降、陰りが見えた神聖帝国の国際的な地位を引き上げた。


そしてジソリアン同盟列藩国や、凶暴な爬虫類型人類のメクト・パクス統制府など、神聖帝国に対して常に敵対を繰り返す国々に対して、計略により未然に侵攻を防ぐなどの国防に貢献した。


トウガはジジの代わりに近衛師団を引き継いだ。

また評議会からの推薦で、評議会議員と兼任して軍務大臣に就任し国内の軍事力の増強と兵の訓練にあたった。


円滑に国政がまわる。


トウガは満を持してウララ親政開始の再審を申し出た。


前回と打って変わり、全員が賛成する。


シズクの提案により、若きウララのため、この四人が顧問となってウララを支える顧問制ウララ親政とすることが決定した。

以前と違い、この顧問制は真にウララが立ち上がるための補助となることが明白で反対する要素はなかった。


また、可決後、ラートリーの提案により、現状のウララの精神状態を考慮し、親政開始は一旦保留とし、ウララが顧問制国務会議に参加できるようになるまでの間、現状の評議会を暫定で継続することも決議された。


ついにウララ親政の土台は成立した。


だが、ラートリーの懸念通り、現状のウララの精神状態は芳しくなかった。


ジジとニュクスを喪った彼女は完全に心を閉ざしてしまった。


今でこそ食事は取るようになったが、失意の中、感情も示さず、ただ、生ける屍のように物思いに耽っていた。

親政開始は到底考えられるものではなかった。



ニュクスの乱以降、トウガは足しげくウララの元に通い、励まし続けた。


トウガに対してウララは返事はするが、そこに心は感じられなかった。



それでもトウガは諦めず、時間が出来ればウララの元に通った。


半年が過ぎ、それでもウララの状況には何の改善も見られなかった。


四大将達はウララの回復を信じて、自らが出来ることに努めた。

ニャニャーン神聖帝国の政治に停滞はなかったが、未来を感じられる状況ではなかった。


誰もが彼女をどう立ち直らせるかを模索していたが、彼女の意志は、誰にも開けられぬ扉の奥に閉じ込められていた。



さらに半年が過ぎようとしていた。


トウガは今なお、暇を見てはウララの傍で励ますが、一向に改善の見込みが立たなかった。


暫定評議会の活躍によって、国政という意味では最盛を迎えつつもあるが

その中心に立つべき存在は、まるで天岩戸に隠れた神のように一向に表舞台に現れる気配は見られなかった。


誰もが、少しずつ諦めの気配を感じ始めていた。

★★ライト層読者さんへの簡単説明コーナー★★

挿絵(By みてみん)

はーい!作者子ちゃんによる、簡単に説明するコーナー!

硬派な人はスルーしてくださいね。ちょっとやってて恥ずかしいので…。


引き続き、結果の経過観察です!


ニュクスの乱であれほど荒れていた評議会が、ついにまとまりました。

そして、トウガさんがずっと望んでいた「親政の開始」も可決されました!


1章でもめていたことがようやく解決して、平和な神聖帝国が動き始める……かと思いきや!


ですけど……主役がおらーん!!


ウララちゃんが、心の傷からまだ癒えていません。

このままでは、せっかく決まった親政も始められません。


でも……、サイコパス天才集団の四大将が、このまま黙って見ているわけがないですよね?

きっと、ウララちゃんを復活させる「必殺技」がある……と、作者子ちゃんは信じたいです!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


ニュクスの乱を経て、神聖帝国は前を向きました。

四大将はそれぞれの役割を果たし、国政は安定しています。


ですが、その中心にあるべきウララが、いまだ不在のままです。

ジジとニュクスを喪った彼女は、心を閉ざし、誰にも届かない場所にいます。


ウララは再び立ち上がるのでしょうか?

それとも、四大将が彼女を切り捨ててしまう未来が来るのでしょうか?


皆さまなら、ウララの再起をどう描きますか?

彼女の向かう先の予想、ぜひ聞かせてください。


ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

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