第九幕(三)
急いで駆け付けてもダンテさんたちがお菓子の話で持ち切りなものですから、天使さんはご機嫌が斜めのようです。
二人には一瞥もくれず、門まで飛んでいきます。
「天使さん、怒ってそうです……」
「そうですな」
ダンテさんたちも、天使さんの無愛想っぷりに気付いたようです。
「こらぁ、開けんかい、このボケがぁ! なに扉閉めくさっとんじゃ! 誰の許しをもろて、こげなことしとるんかわかっとんのか! こちとら、バックに神様がおるんじゃ。お前らが束でかかってこようが、これっぽっちも恐くないわ! 休みだいうのに、門を開けるためだけに、こんな遠くまで行けと言われとるんじゃ、さっさと開けんかい!」
天使さん、めちゃくちゃ恐い。
ただならぬ気配に、悪魔たちは門を素直に開けております。
「はなっから、開けとけや!」
天使さん、復讐の女神たちと何事か話すと、戻ってまいりました。
「あのう……この先に進んでよいんでしょうか」
ダンテさんが、おそるおそる伺います。
「メガイラたちは、お前らを通すと申しておる」
「本当でしょうか」
「くどい、通すと申しておる」
そう言うと、役目を終えた天使さんは、飛び去っていきました。
何はともあれ、天使さんのお陰でディースの都に入ることできたダンテさんたちでありました。
門をくぐり辺りを見回しますと、至る所に墓標が立っております。
「ウェルさん、せっかく入ったというのに、ここ墓場ですよ。墓場に来たよう、ゲゲゲ……しかも、燃えてます」
墓穴からは炎が立ち上がり、「チン」という音と共に黒く焼き焦げた亡者たちが飛び出しております。
「天使さんが言っていた『黒い、トースト亡者である』とは、このことですかね」
「違いますな」
「この墓穴に入っているのは誰でしょうか。アチチそうですから、全員、修造でしょうか」
「いや、墓穴に入れられ焼かれているのは、異端者たちです」
「痛車に乗っている輩ですか」
「ああ、そう言ってまた敵をつくる……ダンテさんには困ったものです」
ウェルギリウスさんは、頭を抱えて先に進むのでした。




