表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/31

第一幕(二)

 さて、丘でも登りましょうかと、ダンテさんが歩き始めたときでございます。


 目の前にまだら模様の豹が現れた。

「うひょう、なんじゃ、こいつ。鋭い牙じゃ勘弁してください。なんまんだぶ、なんまんだぶ、アーメン」


 ダンテさん、怖くて目を瞑り後ずさりしますが、後ろに谷があることを思い出します。さすがに、気にせずほっとけ、とはいきません。


「おおそうじゃ、崖っぷちだった。それに、こいつよく見たら、でっかい猫ではないか。こらっ、どかんかい!」

 ダンテさんが強気に出たそのときでございます。


 たてがみをなびかせた獅子が現れた。


「なんじゃ、ここは。どこぞのサファリ・パークかいな。しっしっ、あっち行け!」

 二匹の獣がじりじりと迫ってまいります。


 更に、なんと、狼が現れた。


「おうおう、来たか。約束の時間どおりじゃ。おまえ雌か」

 ダンテさん、今度は驚きません。狼には偶然遭ったわけではないようでございます。


 しかも、狼を見て雌と言い当ててます。獅子なら、たてがみで雄とわかりますが、なぜ、狼の雄と雌の違いがわかったかと申しますと、

「タマタマあったわけでない」


 さて、ダンテさん、狼と遭う約束していたものですから、更にピンチとなっております。


――何してるの。


 一歩また一歩と迫る獣、後ずさるダンテさん。


 振り返った瞬間、森の中に佇む人影が目に入りました。


「そこのお人、助けてくださいな、そこのぼんやり見える人、ぼんやりの人、おいっ、ぼんやり、助けやがれ」


「ひどい云われようですな。私はかつては人であったが、今は人ではあらぬ。何に困っておる?」


「また、やっかいな人が現れたで。これなら三匹の獣のほうが、まだマシかもしれん」

 人影が、姿を現しました。


「答えてみよ」


「へい、昔は人で今は人でない、その心は『人でなし』」


「何を失礼な。謎掛けしてるわけではない。私に何して欲しいか聞いておるのじゃ」


「ならば、そこの獣をどうにかしてくれませんか」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ