第六幕(三)
前回お読みいただいてから今日まで、チャッコさんは、黙ったまま立っております。
「邪魔なんですよね」
道を立ちふさがれ、通るに通れないダンテさんが、チャッコさんに申しております。
「あんたさんは、フィレンチェ出身だとおっしゃいましたが、ファリナータさんやテッギアーヨさん、ヤーコボ・ルスティクッチさん、アッリーゴさん、モスカが、どこにいるのか知ってるんですか」
「それなら知っております」
ダンテさんの質問に、ようやくチャッコさんが口を開きました。
「ファリナータさんたちは、天国にいるんですか、それともこの地獄にいる? モスカは?」
「彼らは、余程ひどいことをしたんでしょうな、もっと下層の黒く汚れた亡者たちの中におります」
「全員、地獄行きですか。モスカも」
ダンテさん、腕を組み感慨深く頷いております。
「はて、ダンテさんは、モスカさんがお嫌いなのですか」
ウェルギリウスさんが尋ねます。
「あれ、わかります? もしかしてもモスカしても何も、モスカちゅう奴はね、平和を乱したので嫌いですね。モスカの名前は一生忘れません」
「あの、お願いがあるのですが……地上に戻った暁には、街の皆さんに私のことを思い出してもらうために、ちょっと私のことを話題にしてもらいたいのですが、いかがでしょうか」
「ああ、そんなことならお安い御用です。戻ったらチャッピーさんのことを……あれっ、チャッキーさん?」
チャッコさん「ああ、モスカは覚えているのに……」と大きく嘆き、道に倒れてモスカの名を呼び続けたかと思えば、他の亡者と一緒にまた道の一部となってしまいました。
「彼は、最後の審判のときに天使がラッパを吹き鳴らすまで、もう起き上がることはありません」
「さようですか。それなら、先に向かいましょう。チャットGPTさん御免しますよ」
ダンテさんとウェルギリウスさん、円状にぐるり道を歩きまして、下の圏へと降りる場所に辿り着きました。
そこには、大いなる敵プルートーが待ち受けていたのでございます。




