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千物語 I  作者: 松田 かおる


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帰省ラッシュ

昨日、やっと仕事納めを迎えた。

何かと忙しい一年だったが、終わってみると「忙しい割にいい年だった」と感じることはなく、かと言って「悪い年だった」と感じるわけでもなく、「いいも悪いも感じることなく、気がついたら一年が終わっていた」というのが正直なところだった。

きっと余裕がないんだろうな…

とにかく一年の仕事は終わったので仕事のことは忘れて、俺はさっさと「帰省」することにした。




準備を整えて、「故郷」行きのラインに乗る。

昨今は少子化の影響もあってか、「帰省ラッシュ」という言葉も縁遠くなったような気がする。

大して「帰省ラッシュ」の影響を受けることなく、俺はスムーズに「故郷の実家」に到着した。


ほんの一年ぶりなのに懐かしさを感じる、「入口」を開ける。

「ただいまー」

俺が声をかけると、奥から

「おやまぁおかえり、今日だったっけ?」

と言いながら、母が出迎えてくれた。

「ああ、一年ぶり。また少しの間、世話になるよ」

俺がそう言うと、母は

「もう一年になるんだね、時間が経つのは早いねぇ」

そう言いながら笑顔を見せて、俺の「帰省」を喜んでくれた。




居間に通され、俺は寛ぐ。

そして「家」の様子をうかがってみる。

ー去年と何も変わってないなぁー

家具の配置や装飾品、なにもかもが「去年と同じ」だった。

でも、毎日毎日が目まぐるしく変わる今の俺を取り巻いている生活を振り返ると、こうして「何も変わらない」ことこそが大事なのかもしれない。

毎年「帰省」するごとに、その気持ちが強くなってくる。

ー…いっそのこと、俺もこっちに移住するかなぁー

ふとそんなことを考えてみる。

疲れているのだろうか…




「はい、どうぞ」

母がお茶を出してくれた。

俺のお気に入りの「何十年も昔から売られているお菓子」も、一緒に添えてくれている。

こういう細かい気遣いがありがたい。

そこはやっぱり母親なんだなぁ、と改めて感じる。


「最近どうだい?体を壊したりとかしてないかい?」

母が聞いてきた。

「うん、まぁなんとか元気にやれてるよ」

俺がそう答えると、

「お前は体が少し弱いから、気をつけなけななさ」

母の言葉がおかしくなった。


ーここでくるかぁ-

俺はそう思いながら、バーチャルゴーグルを外してラインを一旦切断した。

通信の「帰省ラッシュ」からは逃げられなかったようだ。

お盆と違って、年末は日程をずらせないしなぁ…




ラインの再接続を確認して、改めてVR空間の「実家」に「帰省」する。


「ただいまー」

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