今どきの資金調達
「なぁ。金、欲しくないか?」
大学卒業以来久しぶりに会った友人から、いきなりそんなことを聞かれた。
「そりゃあ金は欲しいけどさ、そんな簡単に手に入れられるものでもないだろ」
おれは率直な感想をやつに言った。
ところがやつは涼しい顔で、
「手に入るんだなぁ、それが」
そう言ってあっさりおれの感想を否定した。
「これ見てくれよ」
やつはそう言って、スマホの画面を見せてきた。
「何これ?」
おれが聞くと、
「金の卵を産むニワトリ」
やつはそう答えた。
「『マイニングツール』って知ってるか?」
「知らない」
「つまり、こいつを使って金を『発掘』するんだよ」
「どう言うこと?」
「ものすごく簡単に言うと、ネットから仮想通貨の情報を掘り起こして、自分の儲けにするってこと」
「へー」
「ただし一つだけ条件があって、儲けの7%が開発元に徴収されるんだ」
「それだけ?」
「それだけ。ノルマもないし、料金を請求されることもない。それに自分の好きな時間で自由な範囲でできるから、大きな負担もない」
「ふーん」
「どうだ?お前もやってみないか?」
「どうしようかなぁ」
「あとここだけの話なんだが、このツールを他の人に勧めて使わせると、そいつの儲けの3%が自分の懐に入るんだ」
「おい、それって…」
「『ネズミ講』とは違うからな。売り買いをして得る金じゃなくて、あくまでも『本人の儲けを分けてもらう』だけだから、何も問題ない」
「うーん…」
「お前もやってみないか?」
やつが身を乗り出して聞いてくる。
「なんだか胡散臭いなぁ」
おれが聞くと、やつは
「嫌ならやらなくてもいいし、無理強いはしない。とりあえず時間潰し程度にでもやってみないか?」
そう言ってきた。
「まぁ、そう言うんだったら…」
何となく納得した気分になったおれは、とりあえずツールをインストールした。
最初は暇つぶし程度に始めたつもりだったが、いつの間にか結構な金額の仮想通貨を「掘り当てて」いた。
確かにやつの言う通り、「金の卵を産むニワトリ」かもしれない。
これはおいしいツールだ。
…今度会社の同僚にも勧めてみるかな。
「今月の進捗はどうだ?」
「順調にユーザーが増えています」
「よろしい。その調子でユーザーを増やすのだ」
「かしこまりました」
「ユーザーが増えればその分我々の資金も増える。愚かな人間どもにはこれからも我々の手足となって、世界征服の資金調達に励んでもらわないとな。引き続き頼むぞ」
「かしこまりました、首領様」




