表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千物語 I  作者: 松田 かおる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/100

大つごもり

悪友が

「初日の出、見に行こうぜ」

と、俺を誘ってきたのが始まりだった。


『車は出すからさ』

との事で、俺はその誘いに乗って出かけることにした。

お互い「一緒に新年を迎える相手がいない」ということもあって、軽い気持ちで夜のドライブに出掛けた。

ところが悪友が「目的地」と言った、とある山頂に向かう道は麓と違って積雪がかなりあって、冬タイヤでもなくチェーンも持っていない車は案の定、途中でスタックして身動きが取れなくなってしまった。


なんとか苦労して、路側の待避所に車を寄せる。

これで後続車に迷惑をかけることもなくなったので、二人して少し安心した。


中途半端に山中ということもあって、携帯電話は微妙に圏外。

しかもダメ押しのように、ちょうど山腹の雲の中に入ってしまっているようで、周りは霧よりも濃い白い世界に包まれている。

まだ日も変わらない時間、初日の出にはかなり時間があるので他の車が通る気配もない。

ただガソリンはたっぷり残っているので、エンジンをかけっぱなしにしていれば寒い思いをすることはない。

食べ物も飲み物も途中のコンビニで少し買い込んできたので、空腹や喉の渇きに悩まされることもない。

問題なのは身動きが取れないだけではあるが、それが一番の問題でもあった。


携帯電話は圏外なのでネットも使えず、いよいよ何もすることがなくなってしまい、悪友は少し前に仮眠を始めてしまった。

一人で起きているのもバカバカしいので、俺もしばらく仮眠をとることにした。




どのくらい経っただろうか、悪友に揺さぶられて俺は目を覚ました。

時間を見ると「ゆく年くる年」が始まる頃合いだ。

「んー、どした?」

俺が少し眠そうな声で言うと、悪友は

「ちょっと外見てみろよ」

と、暖房で少し曇った窓ガラスを指さした。

悪友が指差す先を見ると、さっきまであたりを覆っていた雲がきれいになくなって、視界が開けていた。

ちょうど待避所の周りには木々がなく、横を見れば麓の様子がよく見て取れた。

遥か先にはうっすらと街明かりが見え、満天の星空との対比が美しい。

「どうやらここでも初日の出が見られるらしいぜ」

どこでどう調べたのか、悪友が言う。

「じゃあ、もう面倒だしここで初日の出を見ることにするか」

俺がそう言うと、悪友も

「そうだなあ、これ以上登れないことだしな」

俺の意見に同意した。


散々な大晦日が終わろうとしているが、最後はそれなりに面白い体験ができたということで、よしとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ