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千物語 I  作者: 松田 かおる


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愛していると言ってくれ

「ねー、あなたあたしのこと本当に好きなの?」

答えは解ってるけれども、あえて聞いてみる。

「んー?もちろん好きだよ」

当然のようにあいつは答える。

「もー、全然気持ちがこもってない!」

あたしは少し、へそを曲げてみる。


あいつがあたしのことを好きなのは、本当によく知っている。

あたしの喜ぶことをしてくれるし、いつも楽しませてくれる。


もちろんあたしも、あいつが好きだ。

「愛している」と言ってもいいくらいだ。

なのであたしは、ことあるごとにあいつに「好きだ」と言う。

ただ、あまりにしょっちゅう「好きだ好きだ」と言い続けると、「好き」のバーゲンセールみたいになってしまう。

けれども相手に気持ちを伝えるのは言葉で表すのが一番だと思うから、あたしは「好きだ」と言い続ける。




「ねー、あなたあたしのこと本当に好きなの?」

あいつがいつものように聞いてくる。

もちろん答えなんて決まっているので、

「んー?もちろん好きだよ」

俺がそう答えると、あいつは何が気に入らないのか、

「もー、全然気持ちがこもってない!」

と、へそを曲げたような反応を見せる。

やれやれ…


文字通り「言うまでもなく」、俺はあいつのことが好きだ。

むしろ「好き」を通り越して、「愛している」くらいでもある。


だからと言って、あいつのようにしょっちゅう「好きだ好きだ」と言うのも、何か違うような気もする。

言葉で言わなくても、気持ちは伝わるのだと思っている。

あいつの喜ぶことをして、あいつをできる限り楽しませる。

こうして俺は、言葉ではなく態度であいつへの好意を示すことにしている。






あたしはあいつに言ってみる。

「本当に好きなんだったら、『愛している』とでも言ってみてよ!」

俺は答えに詰まり、

「そんなこと、わざわざ言う事でもないだろう」

明らかに照れ隠しな返事。

「なにそれ!じゃああたしのこと愛してないの!?」

あたしは思わず三流メロドラマのような台詞を返し、

「もういい!あったまきた!」

そう言うとあいつは飲み慣れない缶チューハイを一気飲みして、ソファーでふて寝してしまった。




「おーい、寝ちゃったかー?」

返事がない。

寝てしまったようだ。

さすがにまずかったか…

ほんの少し後悔しながら、ふて寝しているあいつにカーディガンをかけてやり、その耳元で

「…愛してるよ」

と言ってやる。

どうせ寝ているんだ、聞こえやしない。

すると、

「聞いたわよー」

あいつが目を開き、いたずらっ子のような表情でにやっと笑った。

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