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千物語 I  作者: 松田 かおる


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40/100

狭い画面、広い空。

私は、いわゆる「引きこもり」だ。


きっかけは些細なことだったけど、もう数年も引きこもってしまっている。

こうして引きこもっているのがいいことだなんて、少しも思っていない。

だけどどうしても断ち切ることができず、こんな生活をずるずると引きずってしまっている。


なので私はカーテンすら閉じたうす暗い部屋の中で、スマホでSNSを覗いたり、自身の生活をつぶやいたりする毎日を繰り返している。

とは言っても、引きこもりのつぶやきなんてたかが知れている。

誰も見向きなんかしてくれない。


それでもこんな私のことをフォローしてくれている人がいる。


私もその人をフォローしているので相互フォローの関係ではあるけど、私の住んでいる街からは遠く離れた地方都市に住んでいる女性だということがわかるくらいだ。

特にお互い交流もなく、もっぱら私が彼女のつぶやきに「いいね」をつける。

そんな一方通行の関係だ。


彼女が私のことをどう思っているかは、知る由もない。




彼女のつぶやきは、いつもどこか私の心を引き寄せる。


内容自体は


-今日は有名な観光スポットに出かけた。海がきれいだった-

-出かけていたら通り雨にやられた。でも雨に打たれるのも悪くない-

-明日はあのお店に行って、評判の料理を食べてみよう-


と、本当に他愛もない物ばかりだ。

最近事情があって引っ越しをしたらしいせいか、「どこに行った」「あそこはよかった」という内容ばかりだ。

だけど短い文章の中からも生き生きした感じが伝わってきて、まるで自分がその場所にいるような気分にさせてくれた。




そんなある日、彼女のつぶやきが目に入った。


-ここに引っ越してくる前、ちょっとした訳があって引きこもっていた-

-でもこのままじゃいけないと思い、思い切って引っ越した-

-そうしたら新しい場所で見えてくるものがみんな新鮮に見えて、引きこもっていたのがばかばかしく思えた-

-きっかけなんて、意外とそんなものなのかもしれない-


そんな内容が、何回かに分けてつぶやかれていた。


私は彼女のつぶやきを見て、正直ショックを覚えた。

それと同時に、今もだらだら引きこもっている自分が急に恥ずかしく思えてきた。

そして彼女のつぶやき全てに、「いいね」をつけた。




スマホから更新通知の音が鳴り響いた。

彼女はそれを見て、通知をしてきたつぶやきを読む。

そして軽く微笑むと、「いいね」をタップした。



-近所の公園まで出かけてみました。空が広くて青いです。-

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