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千物語 I  作者: 松田 かおる


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時間よ、止まれ。

「…なになに、『時間停止モノは9割が嘘』だって?」

ふと見かけたネット記事を、思わず口に出して読み上げてしまった。

そりゃあそうだろう、そんな簡単に時間をホイホイ止めたりすることなんてできないって。


…ん?9割が嘘?


と言うことは、残りの1割は本当だってことか?

それじゃあ、「時間よ、止まれ!」って念じたら、止められる人がいると?

そう思って何の気なしに、目の前の時計に「時間よ、止まれ!」と念じてみた。


…どうやら自分が「残り1割分」の側だったようだ。




それから少し調べたところ、時間を止めることについてはいくつか条件があるみたいだった。

 ・止めたい相手に対して強く念じれば、その対象の時間を止められる

 ・止められる時間は1時間以内

 ・「時間が止まっていないもの」に触れると、時間停止をキャンセルできる

などなど。

まぁ、それなりに制限はあるようだ。


かと言って世間で出回っている「時間停止モノ」のような大それたことをするつもりもなく、本当に必要な「ここぞ」という時くらいにしか力を使わなかった。


例えば、

「どうしても急いでいるときに乗りたいバスや電車が発車しそうな時」

とか、

「特売セール品の最後の一個をゲットする時」

とか。

そんな程度のことくらいだ。


ただ、たまにはちょっとしたいたずらで時間を止めるようなこともあるが、誰も傷つかないようなことばかりだ。

そのおかげで、少し生活に張りが出て楽しくなってきた部分もあるので、このくらいは許してもらいたい。


そんな感じでそれなりに楽しみながら過ごしていたある日。

自転車に乗って街中を走っていたら、下り坂で急にブレーキが壊れてしまって効かなくなってしまった。

下り坂の先には、結構交通量が多めの交差点がある。

そしてスピードは増すばかり。

…このままでは交差点に突っ込んで、大事故になってしまう!

なのでとにかく、強く「止まれ!」と念じる。


そして自分が強く念じた結果、ちゃんと「止まった」。


『で、信号無視の自転車が交差点に突っ込んで来たと思ったら、急に真ん中で止まった…と?』

『そうなんですよ。そのまま通り過ぎればぶつかることなんてなかったんですが、あの自転車、まるで時間が止まったようにピタッと止まって…って、信じてくださいよお巡りさん』


そんな会話が遠い場所から聞こえてきた。


どうやら無意識のうちに、危険だと思った自分に対して強く念じたようだった。


-止めたいのは、自分の方じゃなかったのになぁ-

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