考える事は皆同じ
俺は朝が弱い、だから通勤で利用する最寄り駅の改札を抜ける度に思う事がある。
誰か此の駅のホームから電車の前に飛び込まないかなぁーって事を。
そうなれば1〜2時間会社に着くのが遅れても上司に怒られないだろうから。
いつもの如くホームは通勤通学のサラリーマンや学生で埋まっている。
だから俺は人のいない線路と黄色い線の間を何時も電車に乗る位置まで歩く。
「危険ですから黄色い線の内側にお下がりください」
って放送が耳に入るけど仕方がないじゃないか、黄色い線の外側以外は人で埋まっていて歩き辛いんだから。
と、その時、黄色い線の外側を歩いていた俺を黄色い線の内側から押した奴がいた。
俺は耐えきれずホームから線路に転がり落ちる。
線路に落ち顔を上げた俺の目に電車の正面が映り、俺は後方に弾き飛ばされた。
次に目を覚ましたとき俺は病院のベッドに寝かされていて、田舎にいる筈の父ちゃん母ちゃんや知らない顔の男たちがベッドを囲んでいた。
知らない顔の男たちは警察官で、そのうちの1人が事情を説明してくれる。
俺を押した奴は押した直後に周りのサラリーマンや学生に取り押さえられた。
取り押さえられた男は、「こいつが死ねば遅刻の言い訳ができるんだぁー」と叫んでいたと言う。
俺が電車に弾き飛ばされながらも生きていたのは、俺が何時も電車に乗る位置が先頭車両だった事と、黄色い線の外側を歩いている俺を見つけた運転手が見つけた時点で減速を早めに行っていたからだった。