始まり
ちゅーんちゅん
と鳥の可愛い鳴き声がする野原で
ごろーんと大の字で寝転がっている少女がいた。
彼女はある目的を達成する為に旅をしている。
その途中で良い環境を見つけ、今こうしてだらーんと休んでいる
彼女の名前は レイ。レックス・フォルという本名もある。
「木陰で空気も綺麗だし天気も良い。最高の場所だぁ!」
日々の戦闘で疲れた体を癒やす為、何も考えずに目を閉じる。
ぽかぽかするちょうど良い気温で、私の意識が遠のく遠のく。
すやぁーと一秒後には寝息をたてていた。
――――
私の名前は▲▲▲だ。血肉の魔女である。
とある人が儀式の素材として使われて、私が生まれた。
勿論生まれた時から、大半の魔術は習得済みで
私の固有魔術、血液操作も使える事から、
周囲からは王位クラスに該当すると言われている。
ただ私は強すぎるあまり、人間として見られず、恐れられ
いじめられるそんな運命を背負った哀れな半非人間。
ああもう全部あのババアのせいだ。
ブツブツと言ってると、急にめまいがする。
「本当に最悪だ。気分が悪い。悪すぎる」
よろよろと壁にもたれかけ、ズルズルと落ちていき
地面に座り、意識が遠のいだ。
――――
名も知らない少女が言った。
死にたいと。
彼は答えた。
「承知しました。ではせめて、貴方を楽に殺してあげます。それが我々死海想の掲げる信念ですから」
と。
安楽死・・・優しくて甘い理想の言葉。
私は彼に身を委ね、キュッと強く目を閉じた。
暖かい液体が伝ってるけど、
ああ本当だ。苦しくない辛くない。
ありがとう。これで邪魔な私は現実からいなくなれるね。
目を開ける。
嬉しい。
口パクでありがとうと伝えて、最後に笑うと
彼もそれに答えて笑った。
彼女が息を引き取ったのを、見て現れる男。
「終わったか・・・・」
「はい無事に。それより死怪、ロストネーム(LN)との抗戦状況は?」
「ああ、相変わらずこっちが優性だ」
「それなら良かった・・・早く終わりを迎えたいですね」
ぐらり
「そうだな・・・・っておい!大丈夫か死糸!!」
急に視界が傾く。
すみません、死怪。貴方が何か話しているのは分かりますが、肝心の声が聞こえない。
視界が暗く、そして意識が・・・・遠のいでいく。
――――
運命はあり得ない方向へ動き出す。
三人の王も、運命に誘われる事だろう。