敗戦を経験した国
「だ、か、ら、さっきからあんた達は戦争戦争って!戦争からなんて何っにも産まれないの!!あんた達、聖職者なのに何っにも分かってないね!」
素晴らしい装飾をされた広い貴賓室は静まり返っていた!
そのせいで私の声は驚く程響いていた
「他の国は知らないけど私のいた国は敗戦以来70年以上戦争はしてないの自衛のみで!私達は学んだの!戦争の悲惨さを!子供の頃からそれを胸に刻まれるの!原爆ドームとか見に行くの!」
そういえば私、子供の頃からやたら正義感が強かったんだよね!まぁ…そのせいで周りと軋轢を招いたりしてしまって生きるのが下手だったんだけど
そんな正義感がこんな所で暴走してしまうとは…
「日本人が何であんなに外国人に親切か分かる?世界中の人達に悪いことをしてしまったっていう後悔や後ろめたさの表れなの!!それなのに、もし戦争が起きたらとか戦争を有利に運ぶにはとか新しい攻撃魔法がどうのとか…そんな事より戦争を起こさない努力をせい!!辛い思いをするのは弱いもの達ばかり!弱いものを助けるのが神じゃないの!!」
と、こちらの世界の人達が理解出来る訳のない単語を並べ立てて私的な見解を喚き散らしてしまった!
憤慨したままドアを開け外に出ると付き添いで来てくれた神父様がオロオロしていた…
帰ろうとした私をいろんな人達が止めて小さな客間に押し込まれた…
「とりあえず豆茶でも頂きましょう落ち着いてください」
「ふ〜すみません何か感情的になってしまって戦場でボロボロになったソフィアの姿が思い出されてしまって」
コンコンコン
「マーサ様…もう一度お話させて下さい」
「は、はい…」
多分1番偉いであろう老人が
1人だけお供を連れて入ってきて普通ではしないであろう謝罪の仕草をして話し始めた
「マーサ様の御言葉…私共のような未熟者には半分も理解が出来ませんでした…しかし、私共が間違っていたことだけは理解できました…どうか私共を導く光となって欲しいのです…どうか、どうか」
「ちょちょっと待って下さい私の言ったことは前の世界じゃ当たり前の事ですし、そんな大層な事は無理ですよ!」
その後もいろいろとそのお爺ちゃん(大司教様)と話をしたのだが
この世界にとって転移前の日本人の考え方はそうとう斬新だったらしい…
とにかく…そのいろいろな考え方を
教会の人達に説教して欲しいというのだ!説教???
それは無理なので転移前の良いとされる行いを話す講習会を年に何回か開く約束をした事でやっと帰れる事になった
いったいどうなるのだろうか…




