博愛の葛藤
その少女は、いつも有象無象の中心で笑っていたという…
生まれた時から息を吸うより息を吐くより簡単に愛される事ができる子だった
「ただいま〜」
「おかえり」
「どうだった入学式は?」
「ん〜赤い髪の子が20人位もいたんだよ」
「へ〜今年もルビー・ルームは大人気だねぇ」
「でね…黒髪ロングの子もいてその子もルビー希望で…」
「そう」
「でも…何人かが、わたしと黒髪ロングちゃんがいるから違うルームにしようかな〜とか言ってて」
「何か不思議だな〜って」
「そんなに簡単に気持ちが変わるものなのかな〜って」
その少女が初めて『清之琴鳥』ちゃんへの強い憧れを抱いたのは、教会のお手伝いでグループ決めをした時、その少女がどこに入るかで友達達がすごく揉めた日だったと話してくれた事があった
いつもそうだった…その少女を好きだと言う人達が沢山いてみんなその少女の側にいたいと言う
「嬉しいのだけど…怖い時もあって
幸せな事なのに辛いと感じたり」
そんな時ホログラムで
「『清之琴鳥』ちゃん、ことりちゃんを偶然見た時、いっぱいの人に追っかけられたり、囲まれたりしても、笑っていてキラキラしていて元気で可愛くて…」
「何て凄い人なんだろう…
わたしもことりちゃんみたいになりたい」と強く思ったと話してくれた