2つの原石
「お婆さま〜あれどこに置きましたっけ?」
「あれってなにかしら?」
「お母様にいただいた腕時計です」
「洗面台に…」「あ!ありました〜」
「随分大きくなられましたね」
「そうね〜ソフィアと会うのは何年ぶりだったかしら」
「6才位に他の惑星に行かれて以来ですから…」
「この春から、あの学園に入学されるとか…」
「反対したんだけどね〜どうしてもって」
「おばあちゃ〜んあれどこにある?」
「あれって何よ?」
「上履きだよ〜」
「え〜押し入れじゃないの!」
「あったーありがとう!な訳で〜す」
「行ってきま~す!」
「エマちゃん相変わらずお元気ですね」
「ホントに毎日、毎日、楽しそうよ(笑)」
「随分、混んでるわね降りて歩いて
行こうかしらここで降ろして下さいます」
「はいお嬢様」
「不味い不味いこのままでは遅刻かも…
次のSTで降りて走った方が良いかも」
「あ!同じ制服で真っ赤な髪の子がいる」
「あ!同じ制服で黒髪ロングの子がいる」
「物凄く可愛い!!」
「チョー綺麗!!」
何て凄い空なんだろう!大きくて、いろんな形の惑星が沢山浮かんでいる…
「はぁ〜」やっぱり私は前世で死んでしまったのかな…
でも…なんだか懐かしい気持ちもあるんだよね〜
この学園長の孫に転生して数ヶ月、混乱した頭も少しずつ慣れて整理されてきた頃…
この世界は私のいた日本にとってもよく似ていると感じていた…
しかし…空を見上げると絶対に帰れない場所に来てしまったことを思い知らされてもいた…
この惑星はエンターテイメントに特化した星で、沢山のシアターや大小の劇場、サーカス、遊園地などもありオモチャ箱みたいな星だった
その中でこの学園は、前世でいう所の
アイドル学園なのだという事も理解してきた、しかも素晴らしい不思議が起きる学園ということも…
そんな潰れそうな学園を、もったいない、と思った私は前世のアイドル好きの血が騒ぎ、前世の頃から考えていたシステマチックな学園運営をお爺ちゃんに提案し始めた!
「瞳の色が変わる!!!」
「そうなんじゃよ才能が開花した生徒はほぼ瞳の色が変化するんじゃよ!」
そんな不思議で神秘的なことが起こるのにこの爺ちゃんは何の付加価値も付けてなかったというの!!
「もったいない、もったいない、そんな不思議な事もっと全面に出していかないと!」
それを聞いた私は、すぐに、瞳の色と同じ色をした宝石のルーム(クラス)を作ることにした
私は前世の世界でとっても残念な思いをしていた
それは私のいた世界のアイドル文化が私がこちらに来る直前…どんどん衰退していっていたからだ…
「だ、か、ら、お爺ちゃん!歌舞伎のような襲名と宝塚みたいな学園を作れば!」
「カブキ?しゅうめい?たから…何を言ってるんじゃ意味が分からん」
「とーにーかく私に任せて!!」
「そうじゃな!良く分からんがこれ以上悪くなることも無かろう」
「好きにやるといい、ついでにお前が学園長になっとくれ」
学園長か…それについてはあまり気乗りはしなかったので…しばらくは今のまま事務兼購買のオバチャンでいることにした
学園長はお爺ちゃんで裏で私がこそこそ動く方が上手くいきそうな気がしていたので
しかし、その後…私は2人の少女と出逢い
運命に導かれるまま…このジェムストウン学園の学園長に就任するのだった