憧れという病
「エイヴァちゃんはホントにオシャレだね!」
「そうかな〜?あんまり他と被りたくないだけやけどね」
エイヴァさんはコメディが大好きなとっても元気な少女でその美的センスはスバ抜けていている
是非グッズ開発にアドバイスを欲しいと思うくらいに
エイヴァさんと初めて話したのは、どうしてあんなにパールルームにこだわるのだろうと不思議に思っていた頃だった
ある公園で1人ボンヤリとベンチに座るのを見かけた
いつも元気なエイヴァさんの思い詰めたような静かな横顔に話し掛けずにはいられなかった
その時エイヴァさんがステチュを目指すきっかけとなった憧れの人の話をしてくれた
「どうしたの1人でこんな時間に?何か悩み事でも?」
「あ、マーサさん私どうしたらええんでしょうかね」
「ん?」
「…うちは小さな頃から、他の子と同じが本当にイヤやったんです…」
「ん?」
「今となっては個性があって良いと言われることも多くなったんですけど…変わった服装、変わった髪型、変わった持ち物、変わった…のせいで孤立することが多かったしイジメに近い事もあったんです…
そんな時に出会ったあの人がうちの目指す未来となったんです」
どこからか桃の花びらが舞ってきた
「どうしたの?子ども、こんな時間に1人で…」
「め、女神?」
「人よ」
「初めてこもも様に声をかけられた時この世の者とは思えない程、全てが美しかったんです」
「まだ襲名前の『森泉こもも』様と出会ったのは、イヤな事があるといつも行く公園だったんです何を話したかは、ほわーとした空気に包まれていたせいで実はあまり覚えとらんのですが…とにかくずーと泣いていた気がするんです…」
「泣いていた…」
「そうなんです…こもも様と話すと今まで我慢していた物がどんどん溢れてきて…その後しばらくして、うちはジェムストウン学園の受験を決心したんです『森泉こもも』様に近付きたい一心で」
「どうしてもパールルームに進級したいんです!」
「エイヴァお前はどう考えてもパールじゃないだろう!」
「明日からおしとやかにしますから」
「お前な〜お前がこの学園に合格できたのはエセスカイ弁のお陰なんだぞ」
「スミス先生、そんな事いわんで欲しいわ」
「それにお前パールだと襲名は無理なんだぞ」
「襲名なんてどうだっていいんですよ…」
襲名、襲名ってうるさいんですよ!」
「………………」
「あ!スミス先生、ダイヤモンドの襲名講演の…どうしたんですか?顔死んでますよ!」
「物凄く才能があるのにな〜欲がなくて」
「誰の事ですか?」
「エイヴァ」
「あぁ…」
「あいつは」
「あの子は」
「サンストーン向き」
「サンストーン1択」
何か考えてあげないと…




