何度目の春だろう
何度目の春だろう…
こちらの世界へ来てから…
桃と桜の花びらが舞い散っている…
その日は、あの日と同じ香りがしていた
いよいよ3人のチビ天使が中等部に進学する
それを機に中等部にステチュ科を新設する事になった
将来のレディステチュの研修生と言ったところだろうか
勿論、内外からいろいろな意見はあったが
チビ天使3人を何とか説得して中等部からのスタートに落ち着いた
しかし、ステチュとしての実力は既に飛び抜けていた
ミサマサコンビでのホログラムで放送されている、キラキラキッズ放送局は相変わらず大人気で10年目に突入した!
ダイヤちゃんはと言うと幼稚舎、初等科と成績優秀スポーツ万能、輝く瞳と美しい容姿は上級生、下級生問わずカリスマ的な憧れの的となっていた
襲名ステチュと肩を並べる日は近いと感じる程に
「ダイヤさんは既に覚醒を終えているのですよね?」
「そうね〜エマさんが言うには生まれて直ぐにダイヤモンドの瞳だ!と思ったようなので」
「では森の地下へ行き襲名公演と進めるべきなのでしょうか?」
「ん〜そうだね〜」
私は悩んでいた…
ダイヤさんの異世界への情熱は日に日に増していき私への執拗なまでの懇願は、このままだと勝手に地下へ降りてしまいかねなかった
しかし、年齢だけを見ると余りにも幼すぎる
襲名とはそんなに簡単な事ではないと私はこの何十年かで見てきている
それに異世界へ行きたいからステチュになる、と言うのは正しい事なのだろうか
コンコンコン
ザワザワと心臓が震える感じがした
私は久しぶりに書庫に籠っていた…
その事を知る人間はいないはずなのに
「はい?」
「声が(心の)聞こえてしまって…」
「やっぱりダイヤさん」
「お話がしたくて」
「何度言われても…」
「違うんです私…SAWに出たいです!」
SAWとわ
エンターテイメントの世界を
目指すものなら必ず出場を
熱望する夢の舞台!!
実力と実績が評価されないと
エントリーする事すら難しいと言われている
「そこで優勝したら認めて頂けますか?」
「………」




