秘密の少女
他人の心が読める…
それは、こちらの世界でも大変珍しい能力だった
魔法の一種、鑑定魔法の変異とも言われているが発現する者が少ないため条件などは分かっていなかった
「ダイヤ様そのような者の為に手を汚す事はありません!貴族は貴族らしくですね…」
"まったく!母親が母親なら子供もホントに変わっているわ!"
「でも!」
「ダイヤ様!私は大丈夫です!」
その能力は本当の意味で強い精神力の有る者しか耐える事は出来なかった
(もし自分にそんな能力が発現してしまったらと考えただけで恐ろしくなってしまう)
その為、少ないながらも発現した者の逸話は悲惨な末路が多かった
ある者は他人の正直な気持ちに精神を病み、ある者はその能力を政治的に利用され責任を負わされ、ある者は誰も信じられなくなり屋敷の一室から出られなくなった
「どうしてダイヤが!ダーリンどうしよう?大丈夫よね?」
「エマ、ダイヤのこの能力は絶対に知られてはいけない!隠さなければならない」
「そんな!ダイヤはダイヤとして幸せになれるよね?」
その事が分かった時、エマさんと旦那様は本当に落胆し隠すことを選んだ…無理もない事だがダイヤちゃんは本当に秘密の多い少女となってしまった
あの日ダイヤちゃんと話をした時、妙な違和感を感じたのはその為だったのかと切ない気持ちに苛まれた
もしあの時の私の心を読んだならば森の地下の扉の事を知られてしまっただろう…
ふいにダイヤちゃんのあの時の不思議な笑顔が思い浮かんだ
「けんじゃさま…しったのですね」
「???」
振り替えると見慣れたはずの少女はこの世の者とは思えない美しいオーラに包まれ困惑した顔をして立っていた
天使か聖女か女神か…
「賢者様!私は大丈夫です!人の心を知る事は本当に崇高で楽しい事です」
「え!」
「だいじょうぶなわけです!」
「だ大丈夫?!」
「人はとても可愛らしい生き物です」




