教育論と砂場のトンネル
ジェムストウン学園では午後のステチュレッスンが始まっていた
あちこちから美しい歌声や賑やかな旋律が
初夏の風に乗って聴こえてきていた
3年生はグループでのフォーメンションダンス、2年生は各教室で楽器レッスン、1年生は演技指導やボイストレーニング、技術ルームでは舞台装置の説明等が行われていた
「あれ〜マーサちゃんとミーサちゃんがいない!」
「またレッスンを覗きに行ってるんじゃない!」
先生達の日課の一つになってしまったマサミサコンビの捜索!
目を放すと直ぐにレディステチュ達のレッスンを覗きに舎を脱走してしまう…
「つぎはダンス〜」
「いこ〜」
レッスン室の窓に可愛い2つのお尻が並んで張り付いて一生懸命、覗いている
「あれ〜オチビまた脱走してきたの?」
「ふふん!」
「ふふん!!」
「ふふんて何よ!」
今日は瑠々子さんが捕まえて舎に連れてきてくれたようだ
「大人しく舎庭で遊んでなさい!」
「ダンスしたいのに…ふん!おすなばであそぶ」
「おうたがいいのにグスン…トンネルつくる」
「ダイヤちゃんあそぼ〜おすなばでトンネルつくりたいの〜」
「うまくできないの〜」
「おすなに水をまぜるてギュギュってするといいよ」
「うゎーほんとうだうまくできた〜」
「できた〜♪♪ありがとう!」
幼稚舎の舎庭には転移前の幼稚園や公園にある砂場や遊具を置くことにした
それは大好評で同じ物をいろいろな場所に置きたいと問い合わせが殺到した
「お母様の元いた世界では子供達は遊んでばかりなのですか?」
「え?子供は遊ぶのが仕事でしょ遊びの中に学びが詰まっていて…」
そうだよねこの世界の子供達は働き手としても重要な役割を担っているのでそんな事言われても困惑よね
「それにしてもお母様の元いた世界の考え方はいつも興味深いです是非是非、教育論も教えて頂きたいです」
「きょ教育論…」
私が思う教育論…
母の口癖を思い出した
"挨拶と返事とっても大事"
私の母はとっても不思議な人だった
大人と子供が混在しているような
私の教育論と言えば必然的に母が私にしてくれた子育てという事になってしまう
それが正しいのかどうなのか…
そもそも子育てに正解などないとテレビの評論家が良く言っていたし…
しかし、これからジェムストウン学園の付属校として小学校、中学校も設立し一貫教育を目指していく私にとって避けては通れない問題だった…
教育指針をハッキリと決めないといけない




