立ち入り禁止
立ち入り禁止
脚本 片栗キノコ
登場人物
警官のような人(または死神)
通行人のような人(または人ではないなにか)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
開幕
警官とKEEP OUTと書かれた黄色いテープの前に立っている。周りは不思議なものに囲まれている。そこに通行人が来る。
通行人 あれ・・・ここ・・・
警官 あぁ、すみませんここ立ち入り禁止でして
通行人 なにかあったんですか?
警官 多分交通事故ですかね
通行人 多分?
警官 ええ、多分
通行人 うーん・・・それは困りました
警官 こちらに迂回のルートを確保しているので
警官が地図を見せる
通行人 このルートだと・・・
警官 ルートだと?
通行人 目的地までは少し時間がかかりますね
警官 それは困りましたね
通行人 はい、困るんですよ
警官 そうですか
通行人 なのでここ、通してもらっても・・・
警官 それはできません
通行人 そこをなんとか
警官 さっきも言ったとおりこの先事故が起こってるんですよ
通行人 はぁ
警官 なので通すことはできません
通行人 いいじゃないですか、減るもんでもないし
警官 通させると私の給料が減るんですよ
通行人 私の給料は減りませんよ?
警官 ・・・そうでしょうね
通行人 てことで・・・
通行人テープの中に入ろうとする
警官がそれを阻止する
警官 いやいや
通行人 えっと・・・通れないんですけど
警官 通させないようにしてるんです
通行人 いやいやいや
警官 いやいやいや
通行人 ちょっと止めないで下さいよ
警官 困りますって
通行人 私は困らないですから
警官 私が困るんですって
少しの沈黙
通行人 いやいやいや
警官 ちょちょちょ
通行人 なんなんですかさっきから
警官 こっちの台詞ですよ離れてください
通行人 嫌ですよ
警官 嫌じゃないですから
通行人 ほら、時間に遅れますよ
警官 なら早く迂回ルートを通ってくださいよ
通行人 なんで言うこと聞かないといけないんですか
警官 いや、だからさっき言ったじゃないですか
通行人 納得できません
警官 そこは納得してくださいよ
通行人 ふぅ・・・困った人ですね
警官 納得してくれましたか?
通行人 いや、強行突破です
通行人と警官が揉める
警官 はぁはぁ・・・
通行人 はぁはぁ・・・
警官 引き返してください
通行人 わかりました、今日のところはここまでにしといておきます
警官 ありがとうございます
通行人はける
警官 あれ・・・そう言えば
警官がテープの先をみる
警官 交通事故だったっけな
暗転 時が過ぎる演出
警官が座ったりしている
通行人、警官 あっ
警官 これはいつぞやの通行人さん
通行人 あなたはいつぞやのおまわりさんじゃないですか
警官 はいおまわりさんです
通行人 今日はどうしたんですか?
警官 今日も立ち入り禁止です
通行人 今日もなんですか
警官 えぇ、今日もです
通行人 それは困りました
警官 困りますか?
通行人 すごく困ります
警官 なるほど
通行人 今日はダメなんですか
警官 基本ダメです
通行人 この先に何かあったんですか?
警官 殺人事件が起こりました
通行人 あらま
警官 あらまなんですよ
通行人 けど、私も急いでいるんですよ
警官 だからなんですか
通行人 通させてほしいんですけど
警官 それは出来ない相談ですね
通行人 なぜですか?
警官 なぜだと思います?
通行人 疑問文には疑問文で返せと学校で習ったんですか?
警官 ・・・この先立ち入り禁止のため通すことはできません
通行人 だから、それでは私が困るんですよ
警官 いかなる理由があろうと現場に立ち入ることは許されていません
通行人 もう少し合理性のある会話をしましょうよ
警官 はい?
通行人 いや、いいですか私はここを通りたい
警官 はぁ
通行人 で、あなたは通したくない
警官 まぁそうでしょうね
通行人 けど、私はここを通らねば遅れてしまう
警官 ですからこの前話した迂回ルートを・・・
通行人 いいですか?私は困っているんです
警官 困ってるのは百も承知ですが
通行人 あなたは困ってないじゃないですか
警官 いや、入られると困るんですけど
通行人 何が困るっていうんですか貴方のクビが飛ぶだけでしょ
警官 1番困りますよ、人生の路頭に立たされるじゃないですか
通行人 私が立たされないならいいじゃないですか
警官 私のことはどうでもいいとお考えで?
通行人 その考えで合ってると思います
少しの沈黙
警官 いやいやいやそれはないでしょ
通行人 なぜあなたが決めつけるんですか?
警官 え?
通行人 あなたが路頭に迷おうがあたしは関係ないじゃないですか、別にどうでもいいんですよ
警官 確かに
通行人 ね?
警官 しかし、それとこれとは話が別ですよ人生路頭に立たされようが入られると困るんですよ
通行人 随分ケチくさいですねなんですか、なんで止めるんですか、私はただ通りたいだけなんですよ
あなたのくだらない人生論と語り合う暇なんてあたしにないんですよ
警官 私も語りたいわけじゃないですから
通行人 じゃあ通してください
警官 嫌です
通行人 また水掛け論ですかイタチごっこですかどうして私の邪魔をするんですかどうして通させてくれないんですか
警官 あなたには少々道徳性に欠けていますよ
通行人 道徳?今は関係ないじゃないですか
警官 いいですか、ここから先は生きていた人間が居座っているんですそこにあなたが赴く筋合いはない
通行人 別に居座っている人に興味はないですけど
警官 興味がなくてもです
通行人 あなた方は入ってるじゃないですか
警官 私達は事件の解決のために仕方なく入っているんです
通行人 仕方なくってなんですか、なんで解決する必要があるんですか
警官 それは・・・被害者や遺族の無念を晴らすために
通行人 勝手に決めないで下さいよ、なに勝手に解決しようとしてるんですか、なに被害者の代弁者みたいなことしてるんですか
警官 あなたには関係のないことでしょう
通行人 ・・・私も仲間に入れて下さいよ
警官 それはまだできません
通行人 なぜできないんですか!
沈黙
警官 できることなら私も入れたいです、ですがしたくてもできないんです
通行人 ・・・わかりました、ではどうすれば出来ますか?
警官 ・・・わかりません、ですがいずれ出来るでしょう
通行人 そう・・・ですか
警官 すみません
通行人 いえ、こちらこそ大きな声を出してしまいすみません今日の所は失礼させていただきます
警官 ご理解いただきありがとうございます
通行人 また来てもいいですか?
警官 お待ちしております、そうだお茶会の準備もしておきましょう
通行人 いいですね!空のワイングラスに
警官 誰の誕生日でもない日
通行人 6時を指す時計に
警官 イチゴのタルト
通行人 考えただけでワクワクしてきました
警官 そうですか、では次までに用意しておきますね
通行人 ありがとうございます、それではこの辺で
警官 えぇ、さようなら
通行人はける
警官 さて、準備を急がねば
警官お茶会の準備を始めるがすでに準備が出来ていることに気づく
警官 はて、そう言えば今回の犯人は誰でしたっけ?
暗転、警官は椅子に座っており何もないワインをクルクルしている
通行人が顔に絆創膏を貼ったまま出てくる
通行人 おや
警官 おや
通行人 久しぶりですね
警官 そうでしたっけ?
通行人 そうですよ、お茶会の準備してくれたんですね
警官 えぇ、来るのは知っていましたから
通行人テープの方をみる
通行人 今日は通れないんですか?
警官 はい、今日も立ち入り禁止です
通行人 そうですか、残念です
警官 私もです
通行人 ちなみに通ることは
警官 ダメです
通行人 ですよね
警官 まぁまぁ、今日はお茶会楽しく生きましょう
通行人 それもそうですね、ではワインを一杯
警官 はいどうぞ
空のワイングラスを通行人に渡す
通行人 どうも
通行人も警官から一番遠い椅子に座る
通行人は飲むフリや皿から何かを摘むふりをする
警官も帽子をとったり写真を取るフリをしたり不思議な怪奇現象がおこる
警官 どうです、楽しいですか?
通行人 まぁ生まれてこの方こんなに楽しいことはないですね
警官 それは良かった、生きてて良かったでしょう
通行人 否定はしません
二人とも食べるフリや怪奇現象が続く
警官 今日はどんな用事でここにいらしたのですか?
通行人 いえ、特に用事は・・・いや、何か大切な用事があったんですが・・・
警官 あ、この質問は失言でした忘れてください
ノイズが走る
通行人 気にしないで下さい、今思い出します
ノイズがさらに走る
警官 大丈夫です、思い出さないで下さい
ノイズが騒がしくなる
警官が手を鳴らす
通行人 ちょっと何してるんですかもう少しで思い出せそうなのに
警官 いいじゃないですか思い出さなくても今日は楽しいお茶会なんですから
通行人 それもそうですね、今日は楽しいお茶会ですもんね
警官 そうだ、お話をしましょう
通行人 いいですよ、何を話しましょうか
警官 最近はどうですか?
通行人 それしか言うことなかったですか?
警官 疑問文に疑問文で返すのは禁止ではなかったのですか?
通行人 ・・・最近は特にありませんでした
警官 そうですか、それは良かった何事もなにもない方がいいですからね
通行人 何事も、ですか・・・
警官 ええ、そうです何事も、事件は起こらないほうが就寝前のミルクは美味しく感じます
通行人 そんなに就寝前のミルクは美味しいですか?
警官がワインボトルからグラスに注ぐフリをする
通行人がワインを飲むフリをする
警官がワインを飲むフリをする
通行人 ええ、そうですね就寝前のミルクは何より美味しい
警官 そうですか?
通行人 私も警官ですから
警官 私は通行人ですね
通行人 そうですか、通行人ですか
警官 ええ、通行人です
通行人 最近は良いことがありましたか?
警官 いえ、特には・・・あ、そういえば
ノイズが走る
通行人 まだ、傷は痛みますか
警官 ええ、そりゃあもう久しぶりに泣きました
通行人 そうでしょう
通行人絆創膏を貼っている所を触る
警官 痛っ
通行人 あぁ、すみません
警官 いえ、気にしないで下さい私が悪いんです
通行人 そうですね、あなたが悪い
警官 そう、あなたが悪い
通行人 私達が
警官 あなた方が
通行人・警官 あなたのせいで私達は悪者だ
ノイズが走る
警官 では、なぜ私達が悪いのでしょうか
通行人 さぁ?心当たりはありませんが
警官 けど、私達は痛い思いをしている
通行人 えぇ、とても痛い、体も心も
警官 なんで痛いのかわからない
通行人 なぜ死にたいのかわからない
警官 なぜ
警官立ち上がる
通行人 なんで!
通行人立ち上がる
通行人・警官 なぜ、私達が痛い思いをしなくてはならない!
ガヤが入る
両方座り直す
通行人 知りませんよ、知らない、知りたくもない
警官 そうですか
通行人 いいじゃないですか、知らなくて
警官 私達には関係ないか
通行人 ええ、関係ないですよ
警官 だって私達のせいではないですから
通行人 私達は見ていただけですから
警官 私は聞いただけ
通行人 私は見ていただけ
警官 私は
通行人 私達は
通行人・警官 私達は悪くない
沈黙
両方ワインを飲むフリをする
またもや不思議な現象が起こる
通行人 いやぁ楽しいですね
警官 あぁ、全くです
通行人 む、もうこんな時間じゃないですか
警官 あれ?もう行くんですか
通行人 ええ、早く行かなくてはまた怒られてしまいます
警官 そんな、もう子供じゃないんですから
通行人 いやいや、私はまだ子供ですよ
警官 生き急がなくてもいいじゃないですか
通行人 私も痛い思いはしたくないので
警官 そうですか残念です、またお会いできるのを楽しみにしています
通行人 ええ、私もですよ
警官 では
通行人 では、さようなら
通行人はける
警官片付けをする、その後テープの方をみる
警官 今日も立ち入り禁止でしたか
暗転警官はまたテープの前に立っている
そこに包帯や絆創膏などをした通行人が来る
警官 おや
通行人 あぁ、久しぶりですね
警官 お久しぶりです、ひどい怪我ですね
通行人 まぁ・・・
通行人がテープの先を見る
通行人 今日も、ですか
警官 ええ、今日も立ち入り禁止です
通行人 それは・・・困りました
警官 迂回ルートだと、困りますか?
通行人 ええ、困ります
警官 そうですか
通行人 今日はなぜ通れないんですか
警官 ・・・自殺です
通行人 あらま
警官 ええ、あらまですね
通行人 けど、私も急いでいるんですよ
警官 だから・・・だからなんだって言うんですか
通行人 通させてほしいんです
警官 それは・・・あまりしたくない相談ですね
通行人 なぜですか?
警官 ・・・
通行人 いいじゃないですか減るもんでもないし
警官 ・・・
通行人 私も仲間に入れて下さいよ
警官 ・・・
通行人 なんとか言ったらどうですか
警官 ・・・この先へ行けば必ず後悔する事になります
通行人 それは私が決めることです
警官 ここを通れば後戻りができなくなる
通行人 私はもう辛いんですよ疲れました
警官 ですが
通行人 あまりくどく言わせないで下さい
沈黙
警官 ・・・わかりました、この先へ行くことを許可します
通行人 ありがとうございます
警官 私はいってほしくありません
通行人 私は前からいきたかったですよ
警官 それが最後の言葉になることを信じています
通行人 そうですか、はやくテープをどけてくださいよ
警官 ・・・はい
警官テープをどける
通行人は嬉しそうにテープの先へ入る
雨が降る
警官はテープをもどす
通行人 これで、やっと開放されますね実に気分がいい、体も軽くなってきた
警官 ・・・そうですか
通行人 そんな悲しそうな顔しないでくださいよ
警官 してませんよ
通行人 こうしてバラバラになってもあなたはここにいるでしょう?
警官 えぇ、いますよ
通行人 ならいいじゃないですか
警官 ・・・
通行人 あ、今までの事がどうでもよくなってきました
警官 そちらに行く準備ができたんでしょう
通行人 それは喜ばしい事ですね、では、ごきげんよう
警官 えぇ・・・また、合う日までいってらっしゃい
通行人はける
その後雨が一層強くなり警官が深く帽子をかぶり前を向く、その後大きな音とともに救急車や悲鳴などがあたりを包む
警官 さて、どうしたもんかな
色々な怪奇現象が起こり時が進む
警官がはける
暗転、通行人がテープの先で倒れている
そこへ警官らしき人が来る
警官 おや
通行人 ・・・
警官 あらあら
通行人 ・・・
警官 大丈夫ですか?
通行人 ・・・聞いて、ないですよ
警官 なにがですか
通行人徐々に起き上がる
通行人 痛い、じゃないですか、どうしてくれるんですか
警官 そりゃあ痛いでしょう、同じことが繰り返されるんですから
通行人 私、楽になれると思って来たんですよ、今までの事どうでもよくならないじゃないですか
警官 知りませんよ、あなたの選択でしょう
通行人 私、今まで我慢したじゃないですか
警官 ・・・
警官無視をして定位置につく
通行人 私、今まで良い子にしてたじゃないですか
通行人 今まで辛いことがあっても何も言わずに生きたじゃないですか、私が何したって言うんですか、あなただって理解してくれたじゃないですか、共感してくれたじゃないですか、それなのに
警官 ・・・
通行人 それなのに、なんですかこの仕打ちは
警官 ・・・
通行人 まただんまりですか、なんとか言ってくださいよ
警官 ・・・私は忠告した筈ですよ
通行人 知ったこっちゃないですよ、なにが忠告ですか
通行人テープから出ようとテープに触れる瞬間弾き飛ばさられる
通行人 痛っ!・・・なんの真似ですか
警官 テープには触らないほうがいい
通行人 早くここから出してくださいよ
警官 ・・・だから言ったじゃないですか
通行人 あなたなら戻す事が出来るでしょう
警官 ・・・だから後悔すると、後戻りできないと言ったんじゃないですか
通行人 早く出してくださいよ
警官 だからあれほど行くなと言ったじゃないですか
通行人 なんで出してくれないんですか
警官 確かに私なら戻す事は可能でしょう、ですが私はあなたのためにここにいるんじゃ無いんですよ
通行人 なら、早く
警官 嫌です
通行人 何言ってるんですか
警官 出せません
通行人 出せませんじゃないんです
警官 ダメです
通行人 早く出して
警官 できません
通行人 何回も言わせないで、出して
警官 できません
通行人 出して
警官 できません
通行人 出せって言ってるでしょ!!
警官 できません
通行人 ふざけないで!できないじゃないわよ!早くここから私を出してって言ってるの!こんな所!楽しいことなんてこれっぽっちもないじゃない!ぜんっぜん死んだ気にもならないわ!
沈黙
警官 できません
通行人 ・・・ふざけるな、ふざけるなふざけるなふざけんなふざけんなふざけんな!!!
警官 ・・・はぁ
通行人 早く、早くここから出してよ!
警官 うるせぇよ
通行人 え?
警官 どいつもこいつもうるさいんだよ・・・
通行人 ちょ、ちょっと何言ってるのよ
警官が椅子に座る
警官 なぁ・・・ちょっと聞きたいんだけどさ
通行人 ・・・なんですか
警官 1+1の答えはいくつだと思う?2だよな?
通行人 ・・・え
警官 これって当たり前だよな?こんなの誰だって知ってるんだよ、当たり前だから・・・
通行人 ・・・
警官 けどさぁ、たまーに当たり前を理解してねー奴がでるんだわ
通行人 関係ないじゃない、ですか
警官 関係あるに決まってんじゃん、お前さ、人って死んだら生き返るって信じてるタチ?
警官 私だって好きでこの警官やってんの、お前の気持ちもわかるよ?確かにお前は一生懸命生きてたよ、うん、正直報われねーかなとも思ったよ、けどお前はこっちを選択した
通行人 私が悪いって言うんですか
警官 人の話は最後まできけよ、そっちに行ってから私と話せるなんてそうそうないぜ
通行人 ・・・わかりました
警官 私はお前が悪いとも言わねーし、お前の選択は別間違っちゃいねーと思うけどさ、そっち選択しといてやっぱりやめますはいくらなんでもないでしょ、私の事バカにしてんの?
通行人 ・・・バカにしてはないですけど
警官 バカにしてんだよ!!
警官物を蹴る
警官 ・・・私さ、いっつも思うんだけどお前らって理不尽だよねコロコロ意見変えるし、都合が悪くなると言い訳するし、なに自分の事正当化しようとしてんだよ
警官 私も人のこと言えないけどもうちょっと自分の選択に責任持ったらどうよ、
通行人 私は別にそんなつもりで言ったわけじゃ・・・
警官 なんでもかんでも人のせいにすんなよ、人のせいにして許されると思ってんのか?そんなわけないよね?なんでもかんでも許されたらこんなことになってないよね?
通行人 ・・・
警官 津島くんの時もこんなに酷くなかったよ、あいつはあいつですごくここに来たけど行ったときはすぐに行ったよ
通行人 え、津島・・・誰ですかそれ
警官 ったくわがままにも程があるんだよ、なんでどいつもこいつも戻りたいとか言うんだよ、怒られるの私なのに・・・これ以上給料減らされると今月持つかどうか怪しいのに・・・
通行人 えっと・・・
警官 うるさーーい!!!
通行人 うるさ、ちょっと大きな声出さないでくださいよ
警官 誰のせいでこうなってんのかわかってんのか!?お前のせいだよ!減給もんだよ!なぁ!?どうしてくれんだよ!明日から食パンの耳生活に逆戻りじゃないですか!
警官テープに当たる
警官 痛っあ!痛っ!なにこれ痛っいんですけど・・・!
通行人 あの、あなたってそんなキャラでしたっけ・・・?
警官 あ?関係ないでしょ、私だっていつまでも敬語じゃねぇーよ
通行人 そう、ですか・・・
警官 あのさ、お前ここから出たい?
通行人 あ、はい!出れるならですけど
警官 ったくしゃーねぇなーぁー
通行人 え、その、ここまで言っといてなんですけど良いんですか?
警官 良くないに決まってんでしょ、怒られるに決まってんじゃん、けど出たいんでしょ?
通行人 それはそうですけど
警官 うんうん、いいねその驚くほど身勝手であまりにも傲慢な回答・・・私はそういうのを求めてたんだよ
通行人 そ、そうですか
警官 そもそもこんな状況になったのはお前の身勝手のせいじゃない、一警官として私はその先が見てみたい
通行人 じゃ、じゃあ
警官 うん、いいよ戻ることを許可します
通行人 ありがとう・・・こざいます
警官 ただし二度目はないですからね
警官テープをどける
通行人 二度目?嫌ですよなんでこんな所二度も行かないといけないんですか、二度と行きませんよ
警官 ・・・そうですか、二度とこないよう祈っておきます
通行人 では、ごきげんよう
警官 えぇ、ごきげんよう
通行人ハケル
警官がテープを戻す
警官 あ、そう言えばすべて忘れることを言い伝えるのを私が忘れてました
警官 ・・・まぁいっか
暗転、怪奇現象が起こる
警官らしき人がまた直立でテープの前に立っている
通行人 あれ・・・ここ・・・
警官 おや、また来たんですか、あなた
通行人 あなたって随分失礼じゃないですか?初対面ですよ?
警官 おっと・・・そうですよね、すみません
通行人 なにかあったんですか?
警官 さぁ?多分交通事故じゃないですか?
通行人 多分?
警官 ええ、多分
通行人 と言うことは?
警官 はい、すみませんここからは立ち入り禁止です
閉幕